[技術解説]

第7回 エンタープライズ2.0が解決する経営課題(3)

2007年8月13日(月)

集合知と並び、エンタープライズ2.0で大きな役割を果たすのがマッシュアップである。集合知がコンテンツに関する解決策であるとすれば、マッシュアップはコンテンツを流通させるプラットフォームに関する解決策である。

3-3 マッシュアップがもたらす「変化し続ける情報系のERP」

古くて新しいテーマ、システム間相互連携

集合知と並び、エンタープライズ2.0で大きな役割を果たすのがマッシュアップである。集合知がコンテンツに関する解決策であるとすれば、マッシュアップはコンテンツを流通させるプラットフォームに関する解決策である。

マッシュアップ(MashUp)の英語の意味は「混ぜ合わせる」だ。これまで、音楽業界で複数の曲をベースに1つの曲を作り出すリミックスやサンプリングのことをマッシュアップと呼んでいた。ウェブ2.0の世界では、複数のコンテンツを組み合わせて新しい1つのサービスを作り出すことマッシュアップと呼ぶ。例えば、地図データをGoogle Mapsから、交通経路案内を駅探から、宿泊情報を楽天トラベルから、飲食店情報をぐるなびから収集し組み合わせることで新たに1つの出張支援サイトを作る、これがマッシュアップである。

ウェブという究極の分散システムをあたかも1つのシステムかのように扱うためには、システム間相互連携が必須となる。相互連携はそれぞれのウェブサービスが持つAPIを介して行ったり、RSSやWidgetという相互連携をサポートする技術標準により行われる。こうして、自分のデータベースのように他のウェブサービスを活用することができる。こうしたマッシュアップが進展するにつれ、集中管理すべきコアデータは統一された1つのシステムで管理され、他のシステムはそのコアデータを参照することになる。書籍マスタデータはAmazon、地図マスタデータはGoogleマップというように、ユニークなコアデータを持つウェブサービスが覇権を握る。それぞれのウェブサービスにとってみれば、世界で最も優れた書籍データベースや地図データベースを低コスト・スピーディで活用出来るというメリットがあるという一方で、コアデータを押さえた側は大きなビジネスチャンスを手に入れることができるわけである。

このマッシュアップの考え方、エンタープライズから見れば古くて新しい永遠のテーマ、システム間相互連携の話である。80年代にはオブジェクト指向、90年代にはEAI(Enterprise Application Integration:企業アプリケーション統合)、2000年に入るとSOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)と名を変えて繰り返し議論されてききた。特に最近のSOAブームは留まるところを知らない。しかしマッシュアップとSOAは似て非なるものである(図3-5)。まず、SOAはあくまで業務系システムを対象にしたシステム間相互連携のことをさしている。一方、マッシュアップで議論されるのは主に情報共有やコラボレーションなどの情報系システムである。またSOAはあくまで企業のファイヤーウォールの内側=社内で行われることが多いが、マッシュアップはファイヤーウォールの内側と外側、すなわち社内外の区別なくシステム相互連携が行われる。つまりエンタープライズにおけるマッシュアップは社内外情報系のシステム間相互連携をテーマにしていると言えるだろう。

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