[株価から見るIT企業の強みと弱み]

ネットワークサービスの付加価値が強さの源泉 [インターネットイニシアティブ(証券コード 3774)]

2008年10月23日(木)

筆者は証券会社にてIT企業の調査を担当している。株価を予測することだけが仕事ではない。企業業績(ファンダメンタルズ)と株価には一定の相関があるという立場から、企業業績を総合的に分析することが仕事である。この点で筆者の分析は、一般企業がIT製品やサービスを選択する時にも役立つ可能性があると思う。そこでこのコラムでは株価を軸にしてIT企業を紹介していきたい。

企業分析の上で見逃せないのが、市場の変化のタイミング、あるいは企業が新規事業参入や構造改革などで変化しようとするときの状況をどう評価するかである。第一回目として取り上げるインターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は、そんな変化のタイミングにある企業の一つである。もともとは、インターネット接続事業者として1993年に日本で初めて商用インターネットサービスを提供した企業だが、当時と現在では市場環境が全く違う。1993年当時はインターネット接続自体が大きな付加価値だったが、現在ではそれはコモデティ。その上のサービスやコンテンツに付加価値がシフトしている。

この変化に対応すべくIIJは、数年来、付加価値サービスの強化を急いできた。具体的には、迷惑メール対策サービス(SMX)、自動ルーター設定サービス(SMF)、データセンター運用支援、VPNなど多岐にわたる。その結果、付加価値サービス売上高は、03年3月期の47.8億円から08年3月期には137.2億円へと2.6倍に拡大している。

付加価値サービスの強化は、1迷惑メール対策のように一度導入すると他社への切り替えが困難になるロック・イン効果、2インターネット接続と比較して高い利益率の確保、という“一粒で二度美味しい”効果がある。ネットワーク運用のアウトソーシングを受託する戦略も進めており、1インターネット接続、2付加価値サービス、3システム構築、4運用、と企業のネットワーク運用すべてを取り込もうとしている。この狙いは着実に奏効し、03年3月期から08年3月期までの間に売上高は440億円から668億円、営業利益は−16億円から47.6億円に拡大した。

ただし株価は、ここ2年間ほど30万円〜45万円とボックス圏を抜け出せていない。付加価値サービスの強化は、すでに株価に織り込まれていると考えられる。したがって株価の上振れ要素としては、サービスのさらなる伸長が必要になる。今年度、同社はMVNO形式(仮想移動体通信事業者)で法人向けにモバイルデータ通信サービスを提供するIIJモバイル、ネットワーク接続されたコピー機からデータセンターにアクセスしてドキュメントを印刷するオンデマンドソリューション事業などの新サービスを相次いで発表した。現在のところ業績への寄与は限定的だが、IIJの掲げる2011年3月期の売上高1000億円、営業利益100億円達成にはこうした新事業の寄与が欠かせない。

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