[木内里美の是正勧告]

vol.1 言葉の違いを意識せよ

2008年11月6日(木)

元々、建設土木系の技術者だった筆者は、21世紀になって情報システム分野にどっぷり関わりをもつようになった。以来、情報システムの醍醐味や面白さを味わいながらも、何か変だな? と感じることも多い。この「何か変?」を追求し、是正勧告をするのが本コラムの趣旨である。 是正勧告というと少し仰々しいが、具合の悪いところを改めるように説き勧めることであって、決して批評や批判ではない。あくまでも前向きの提言である。是正しなければ無駄も多く、せっかくのテクノロジーが活かされない。それは産業力を弱め、ひいては国力を弱めることになる。こういう思いに至るのは、学生時代に培われた改革スピリットが私を突き動かすようである。

ITとISは明確に異なる

今では「経営とIT」とか「IT戦略」とか何の違和感もなく使われている「IT=Information Technology(情報技術)」という言葉は、使われだしてまだ10年くらいだろう。2000年12月にガートナー・ジャパンが出版した「ITトレンド」のまえがきには、『いつのころからか、マスコミにITという妖怪が登場した。そして、もしかすると自分の職場にもITがやってくるかもしれないという危惧を、多くのビジネスマンが抱いている…』と書き出されている。

ハマーとチャンピーの共著「リエンジニアリング革命(原題:Reengineering The Corporation〜A Manifesto for Business Revolution)」が日本に紹介された1993年には、ITというような言い方はされていなかった。普通に「情報技術」と言われていた。2005年頃にはITは「ICT=Information and Communication Technology(情報通信技術)」という言い方で読み替えられ盛んに使われるようになり、無機質な感じからより使い手の論理に近づいたようでもある。

しかしこの言葉の使い方には何か変? が感じられる。ITにしろICTにしろ、その本質は技術である。実際に利活用されるものは、「IS=Information System(情報システム)」である。ISの要素はICTで構成されているが、ITやICTのままで経営や事業に活用できる仕組みになるわけではない。「ITだってISだって、意味は伝わるからいいじゃないか」と思えるかも知れないが、この違いにこだわることが実は重要なのだ。ITの陰にISが隠れてしまっている。

「基幹システム」という言葉も変

ISに視点を置くか、ITに視点を置くかで取り組み方が変わる。例えば大学や大学院の情報系学部・学科をみると、ITは教えているがISは教えていない。同様にISの研究者もほとんどいないので、実務能力の高い人材を養成できていない。

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