[イベントレポート]

伊藤忠の丹羽氏、「給付金2兆円のばらまきよりも、技術と人への投資が大事」と強調 --iEXPOの基調講演「日本の将来と経営の真髄」で

2008年11月13日(木)

 「いつ時代にも必要不可欠なのは、食料とエネルギー。これらを日本は外国に頼っている以上、稼がなくてはならない。そこで日本に何があるかと考えると、人と技術しかない。だから世界一の人材の国にしないといけない。だが高等教育にどれだけの金を使っているのか。技術にしても問題意識は盛り上がっているが、宇宙科学を例にとれば12の省庁が関与しているのが実態。2兆円の給付もいいが、中小企業への金融問題も含めて、やるべきことは多い」。伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏は、NEC主催のC&Cユーザーフォーラムで、こう強調した。

 同氏の講演は、最近の経済情勢から幕を開けた。「石油価格が高騰というが、100年かかって60倍になっただけ。他の物価と比べれば全くたいしたことはない。蕎麦一杯の価格、会社員の給与はもっと上がった。資源価格は先進国が力で押さえ込んできただけのこと」。グローバル金融危機については、「実態経済と金融経済を比べると、ここ数年がバブルだったことがよく分かる。それがはじけて現在の株価、債券、現金の価格は平常時より少なくなった。マイナスになっているわけだが、歴史的に見ると、落ち着くところに落ち着く」。

 では問題は何か。丹羽氏は、ドルへの不信感と日本では特に中小企業におけるクレジットクランチだという。「日本円にして75兆円の公的資金枠があるというが、裏付けがあるかというとない。米国債を発行するしかないが、ドル暴落のリスクがある以上、買う国はどれだけあるのか。結局、買ってもらうには(買う側にとっての為替リスクを排除できる)外貨建て債券を発行するしかない。米国がそうした政策を打ち出すことが必要だ。一方、日本では中小企業への資金供給が厳しい状況。これは政府が適切な手を講じるしかない」。

 この流れの中で強調したのが、人材と技術の問題である。「日本の将来を考えたとき、最大の問題は人口の減少。これはとんでもない危機である。労働人口は毎年0.5%、30万人ずつ減少する。しかし、生きていくためには、食料と水、エネルギーが必要」という論旨だ。

 高等教育について丹羽氏は、「今、大学には4人に3人が入る時代。マス教育だ。となると質は低下する。大麻問題や集団レイプの問題が起きても、“そういうこともある”で終わってしまう。ある研究者によると、エリートはせいぜい全体の15%までだ」。その上で丹羽氏は、企業の経営マネジメント層の役割を指摘した。「企業が熱意を持って人材育成に取り組むべき。手前味噌で恐縮だが、伊藤忠では全社員に対し、入社後4年以内に海外に行かせる。主任クラスになれば短期MBAに出す」。さらに「企業はやはり人、人材である。それに問題があるとすれば、トップが悪い。それだけトップの責任は重いし、それゆえトップを長く続けることは難しい」と述べた。
(IT Leaders編集部)

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