[市場動向]

富士通、理化学研究所の新スーパーコンピュータシステムを受注

2008年12月9日(火)IT Leaders編集部

富士通は2008年12月8日、独立行政法人理化学研究所より、理論ピーク性能が現行システムの約9倍の108テラフロップス(TFLOPS)を誇る新スーパーコンピュータシステムを受注したと発表した。

 新スーパーコンピュータシステムは、3つの計算サーバシステムからなる複合システムであり、その中核となる大規模並列PCクラスタシステムは、「次世代インテル Xeon プロセッサ(開発コード名:Nehalem)」を搭載する、同社のPCサーバ「PRIMERGY」の次期モデル1,024台によって構成される。新スーパーコンピュータシステムは、2009年度第2四半期の本格稼働が予定されている。

 理研は、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、脳科学、ライフサイエンスなどの幅広い分野で研究を進めており、これらの科学技術研究・開発の発展を支援することを目的として、常にその時代における最高水準の最新鋭計算機システムを導入している。

 現行システムは、それまで部門単位で利用されていたPCクラスタを、LinuxやGrid、Webなどの最新技術を駆使することで、大型計算機センターシステムとしての運用を可能にし、次世代の計算機センターのモデルとして国内外の注目を集めた。
新システムは、現行システムの発展型として、今後ますます計算需要が増大していくライフサイエンス分野や物理学研究分野での利用にも耐えうる計算性能と、さらなる利便性、運用の効率化を目的として導入される。

 新システムは、3つの異なる用途の計算サーバシステム(大規模並列計算、大容量メモリ計算、多目的計算)と共通のフロントエンドシステム、磁気ディスク装置、テープ装置によって構成される複合システム。中核となる大規模並列計算用PCクラスタには、同社のPCサーバ「PRIMERGY」次期モデル1,024台(2,048CPU、8,192コア)が採用される。

 システムの操作環境は、同社のHPCミドルウェア「Parallelnavi(パラレルナビ)」によって統合され、利用者はそれぞれの計算サーバシステムの違いを意識することなく、1システムイメージで使うことが可能。また、インターネット環境からの利用も想定したセキュリティの高い計算環境を提供する。

 新スーパーコンピュータシステムの特長は以下のとおり。

1. 次世代インテル Xeon プロセッサ採用による高性能の実現
 次世代インテル Xeon プロセッサには、プロセッサ間およびプロセッサとI/O間の高速データ転送を実現するインテル QuickPath Interconnectが実装されており、非常に高い演算処理性能を実現。また、PCサーバ「PRIMERGY」で構築する大規模並列PCクラスタシステムの性能(1TFLOPS)あたりの消費電力は現行システムの約7分の1となる予定。

2. HPCミドルウェアParallelnaviシリーズによる高い運用性の実現
 「Parallelnavi」シリーズは、科学技術計算に適したプログラム開発からジョブ(プログラムの処理単位)の実行、運用管理まで、スーパーコンピュータに必要な基盤ソフトウェアを全て網羅し、高い運用性を実現する。さらに、複合システムのデータ運用性を高めるため、各計算サーバシステムから磁気ディスク装置への同時大量アクセスに対してもファイルデータの一貫性・整合性を保証しながら、理論性能で従来システムの約8倍となる毎秒12.8ギガバイトの転送速度を実現する。Parallelnaviシリーズの特徴は以下のとおり。

  ・マルチコア対応の自動並列化機能を持つコンパイラなど、ハードウェア性能を最大限に引き出す科学技術計算向けのプログラム開発環境および高速な実行環境
  ・最大100万本のジョブ投入が可能な高速ジョブ投入機能
  ・計算処理の手戻りを少なくする「チェックポイント・リスタート」機能

独立行政法人理化学研究所 紹介サイト
http://www.riken.jp/

富士通のHPC紹介サイト
http://jp.fujitsu.com/solutions/hpc/

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