[ユーザー事例]

「IT施策はコンサル依存ではなく自ら考える」─ローソンCIOの横溝陽一氏

2009年3月2日(月)IT Leaders編集部

コンビニチェーンのam/pm買収で注目を集める同業のローソン。そのCIO(最高情報責任者)である横溝陽一氏が2009年2月26日、SASインスティチュートジャパン主催のフォーラムに登壇し、構築を進める新システム「ローソン3.0」の狙いを語った。ちなみにローソン3.0は、店舗運営、商品施策、商品開発を中核にしながら、本部集約型の情報分析、在庫リスク管理も含めたサプライチェーン管理、顧客や他業種とのコラボレーション、M&A(企業の合併・買収)を含めた海外・新規事業展開などを実現を目指す統合的な情報システムである。

 横溝氏は、まずコンビニ業界の売上高が百貨店業界のそれを上回ったことや、主婦/高齢者のような客層にもコンビニが浸透していることなど、小売業を巡る変化の状況を述べ、ナチュラルローソン(健康志向)やローソン100(低価格)など地域や町に密着した店舗展開をするローソンの基本戦略を紹介。その上で、「今後、勝ち残りの鍵になるのは商品力である」ことを強調した。

 次いで、そのために欠かせないのが品揃えの実現と、機会ロスや廃棄ロスの最小化、あるいはM&Aであり、「特に店舗における7つの敵──(1)弱気発注、(2)お客と関係なく発注、(3)行き当たりばったり発注、(4)客層を無視した発注、(5)新商品だけを採用、(6)質の高い仮説がない、(7)品揃えを正確に評価できない──を撲滅する」と語った。

 さらにこうした目的に向けて、ITを活用した業務改革を実践しているという。「バリューチェーン・マネジメントと、リアルタイム・マーケティングが経営の両輪。今やデータは山ほどある。それを分析し、武器にできる本部発信型のインテリジェンス機能を実現したい。そのために先端的なIT、例えばSaaS(本誌注:セールスフォースCRM)や、(主催者であるSASの)ビジネス分析ツールを導入した。コンビニにとっては、これらを活用してPDCAサイクルを回すことが極めて大切だ」。

 具体的なシステム内容の説明には踏み込まなかったが、講演の最後に横溝氏は、「CIOの“I”はインフォメーション。だが私としてはイノベーション、インテリジェンスでありたい。経営課題に片足を、もう片足をITにおき、『IT施策を自ら考える』を旨としている。自分たちが経営課題をまず理解し、それを解決するITを企画・導入していく。(外部の)コンサルタントに頼んでも、(経営への)想いは存在しない。自分で考えることが重要だ」と言い切った。以前、i2テクノロジーズジャパンのCEO(最高経営責任者)を務めた経歴を持つ横溝氏だけに、この言葉の意味は重い。もちろん何でもかんでも自社でやるのではなく、システムの企画やIT製品やサービス、ベンダーの評価などを自社でやるという意味だ。

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