[木内里美の是正勧告]

vol.7 ASP、SaaS、クラウドを考察する

2009年4月9日(木)

筆者が大成建設の情報部門の責任者をしていた2002年頃、電子商取引(BtoB)の仕組みを作ろうという話が持ち上がった。数千社に及ぶ協力会社と大成建設の間で、日々の電子調達や情報交換を行おうとするものである。

現業部門からこの構想をヒアリングした時、頭に浮かんだのはASP(Application Service Provider)だった。大幅なコストダウンのミッションを受けて全社システムの再構築を進めている最中であり、自前で仕組みを構築・運営する不合理さを直感したからである。

1990年代末頃にブームになったASPは、しかし、期待とは裏腹に急速に縮小していった。洗練されていないWebアプリケーションや通信網の脆弱さゆえである。2002年当時には要求仕様とマッチするASPは存在せず、筆者らはカスタマイズドASPとして9社に提案を求めた。その結果、ASPの基盤を持っていたM社と設計や委託契約を詰め、2003年11月に運用を開始した。

仕様改善を重ねながらすでに運用6年目に入っているが、可用性、セキュリティレベル、サービスレベルとも自前では適わない高水準のサービスを提供してもらっている。ユーザー仕様の取り込みや、社内システムとのマッシュアップ(コンテンツの複合)を実現していることを考えれば、現在のSaaSモデルと同じ概念である。

「IT Doesn’t Matter」との出会い

時を同じくして、とても印象的な論文に出会った。ニコラス・G・カーが2003年5月にハーバード・ビジネス・レビューに寄稿した「IT Doesn’t Matter」である。私自身、インフラ化、コモディティ化していくITを肌身で感じていて“持たざる経営”を目指し、「究極は旧来型のシステム部門を無くすことを目指そう」と言っていたので、この論文の意図するところが鮮烈に伝わってきた。

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