[モチベーションを科学する]

オーダーメードの育成戦略で部下をやる気にさせる(第8回)

2009年5月12日(火)

クールヘッドとウォームハート チームのなかには、ベテランもいれば新人もいるだろう。当然、知識や経験の量やレベルも様々、性格も様々。部下の育成にあたるリーダーは、1人ひとりの特性に合わせた柔軟なアプローチを採る必要がある。画一的な育成戦略はどこかにひずみを生み、全体のモチベーションに影響することがある。

「経済学者はクールヘッドとウォームハートを持たねばならない」。これは20世紀初頭に活躍した英国の経済学者、アルフレッド・マーシャルがケンブリッジ大学での教授就任講演で述べた言葉である。クールヘッドとウォームハートを日本語で言うなら、「冷静な頭脳と温かい心」といったところだろうか。

この言葉はもともと経済学を志す学生に向けられたものだが、企業の管理職にもとても重要な示唆を与えてくれる。今回はこのクールヘッド/ウォームハートをキーワードに、チームのモチベーション・マネジメントに取り組む際のヒントを提示していきたい。

相手に応じてやる気向上策を使い分け

まずは、クールヘッドである。経済学の文脈においてはこれは、しっかりとデータを分析し、数値の行間を客観的に読み込む冷静な頭脳を指す。では、モチベーション・マネジメントにおけるクールヘッドとは何か。それは、部下が抱える表層的な課題に流されその場しのぎで対応するのではなく、部下1人ひとりの特性を深く洞察したうえで「どんなサポートをすれば、この部下の成長スピードが最も速まるか」を冷静に考える“深層思考”にほかならない(図1)。

図1 部下の育成に携わるときの心構え
図1 部下の育成に携わるときの心構え

ここで、クールヘッドによるモチベーション・マネジメントの具体例を紹介しよう。ある企業のシステム部門において、課長として10人のメンバーを率いるAさんの例である。

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