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「ユーザーの理解とベンダーとの信頼関係が大切」-日本ユニシスの年次カンファレンスから

2009年6月5日(金)

SaaS/クラウドコンピューティング BITS2009 / 日本ユニシス  日本ユニシスは、年次イベント「BITS2009」(2009年6月4日~5日)の初日、クラウドコンピューティングに先駆的に取り組むユーザー企業3社を招き、企業内でのクラウド利用に関するパネルディスカッションを実施した。

 パネラーとして登壇したのは、JTB情報システムの北上 真一副社長、ニッセンホールディングスIT企画部の射鹿 良次部長、三井物産IT推進部の中島 透部長の3氏。モデレーターは、日本ユニシス常務執行役員ICTサービス部門長の角 泰志氏が務めた。

 冒頭、各パネラーはそれぞれの立場でクラウドへの取り組みを披露した。

 JTB情報システムの北上副社長は、顧客向けとして開発した旅の写真共有サイト「Toripoto」を紹介。Toripotoは、マイクロソフトのクラウドサービス「Windows Azure」のデータベース「SQL Services」を利用して開発したサービス(現在はベータ版)だ。元々ASP.NETで開発していたアプリケーションをWindows Azure向けに移植したもので、ユーザー認証は、同じくマイクロソフトの認証サービス「Windows Live ID」との連携で実現している。

 北上氏は、クラウド利用の利点は柔軟性にあると強調。「コンシューマ向けサービスは、ストレージをどれだけ用意すべきかといったことを事前に予測するのが難しい。クラウドであれば、そういった悩みから解放される」。また開発期間の短期化もメリットだと述べた。「年末年始を挟んだ実質2週間で開発が完了。スタッフは本来のコア業務に専念できた」(北上氏)。

 今後のクラウドの進展という観点からは、企業間でのシステムリソースの融通が進むという見方を示した。「既にアマゾン・ドットコムがクラウドサービス提供に動き、国内でも地銀でシステム共同化が進んでいる。自前のデータセンターを持つ企業と持たない企業との間でリソースを融通し合い、それでも足りない部分を外部のクラウドサービスで補う、といった取り組みが進むだろう」(北上氏)。

 「サーバー仮想化を手始めにシステムのクラウド化を推進する」との姿勢を示したのは、ニッセンホールディングスの射鹿氏。ニッセングループの情報システムを一手に担う同社のIT企画部は、93年にグループシステムのオープン化に着手。2001年以降は、日本ユニシスとシステム運用のフルアウトソーシング契約を締結し、同時にオフショア開発の推進や物流のグループ会社を設立するなど「IT運用体制変革の時期だった」(射鹿氏)。

 変革期を経て、今後同社が取り組むIT施策は、システムの仮想化、そしてクラウドへの移行だ。仮想化については、昨年からサーバーの仮想化を推進。今後はストレージやネットワークも仮想化を目指しながら、いわゆる「プライベートクラウド」を見据えた取り組みを推し進める。射鹿氏は「将来的にはプライベート、オープン双方のクラウドを組み合わせたシステム環境を構築していきたい」と意欲を見せた。

 三井物産の中島氏は、闇雲にはクラウド化を推進しないとした上で、現状での取り組みに触れた。今まで約1年もかかっていたデータセンターへのアプリケーションサーバー導入期間を短縮する1つの解として、システムのクラウド化に注目。だが「仮想化によって物理サーバーをいくら減らしても、論理的なサーバー数が変わらなければ、運用の手間は減らない」(中島氏)といった課題を挙げた。

 同社はクラウドの真価を確かめるため、次の施策を実施している。(1)システムの集中化、(2)一部システムのクラウド化、(3)社内クラウド実験環境構築の3つだ。

 (1)は、システムの調達機能をIT推進部に一元化することにより「2年ほどかけて全システムをIT推進部が保有・管理できる状態にする」(中島氏)。(2)は仮想化・クラウドの実験として実施。まず人事システムから開始し、「100台の物理サーバーを50台まで減らせた」(同)。(3)は独自の学習環境として構築する。「ベンダーに依頼するにしても、発注側がクラウドについて理解していないと、ベンダー丸投げになってしまう」(同)という意識があったからだ。中島氏は「クラウド推進のためには、ユーザー自らが知識を付けた上で、ベンダーとの契約内容を明確にし、相互信頼関係を醸成することが重要となる」ことを強調した。

 ディスカッションの後半は、クラウドの企業利用推進に必要な考え方について活発な議論が繰り広げられた。

 三井物産の中島氏は、「クラウドへの移行でシステム運用を外部に任せるにしても、“現場感”を持つことが大事」だと指摘。ニッセンホールディングスの射鹿氏は、「自社にとって何がコア業務で何がノンコア業務なのか、ミッションクリティカルな業務なのかそうでないのかという判断基準から、クラウド移行の優先順位を付けることが大切だ」と語った。

 JTB情報システムの北上氏は、「クラウドはIT部門の仕事を大きく変えるという側面にこそ目を向けるべき」と会場に訴えた。「クラウドへの移行でシステム運用の自動化や無人化が進むと、IT部門のスタッフは時間に余裕ができるようになり、仕事への意欲が上がる。今は情報システムの仕事は3Kなどと言われて若者のIT離れが進んでいるが、クラウドはこの状況改善に役立つ可能性がある」(同)と締めくくった。

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