[新製品・サービス]

増える仮想環境を意識した運用管理ツール、管理対象範囲は製品により異なる

2009年6月30日(火)

運用管理ツール 仮想化を生かしてサーバーを統合・集約すると、システムの運用管理は複雑になる。仮想環境も含めれば管理すべき対象は、増加するからだ。それに対処するべく、運用管理ツールを機能強化するベンダーが増えている。5月〜6月初旬に登場した製品の特徴を見ていこう。

本誌6月号で特集したように、サーバーをはじめとするITプラットフォームの仮想化はもはや常識になりつつある。それに伴って浮かび上がるのが運用管理に関わる問題である。

これまで物理サーバーやソフトだけだったシステムの中に、仮想環境が加わることで、物理環境と仮想環境が混在することになる。しかし既存の運用管理ツールの大半は、仮想環境の運用を想定していない。そのため物理サーバーにはAという運用管理ツール、仮想サーバーにはBというツールといった具合に、別々のツールを使い分ける必要がある。そうなると運用担当者の負担は大きくなってしまう。

それでも平常時は何とかなるかも知れないが、障害発生時には原因の特定や復旧が難しくなる。例えばハードウエアレベルの障害が起きた場合、物理サーバーの障害を特定・復旧するだけではなく、複数ある仮想環境の状態を的確に把握し、復旧を図る必要があるからだ。

そこで最近、物理/仮想の両環境を一元的に管理できる運用管理ツールが増えている。ここでは5月から6月初旬にかけて登場した主要製品を紹介する。

日立製作所 JP1 Version 9
VMware環境の管理機能を強化

まず日立製作所が6月3日に発売した「JP1 Version 9」。周知の通り、JP1はジョブの自動実行から資産管理まで、運用管理の幅広い分野をカバーする製品群で構成される。新版では、そのうちの統合コンソール機能である「Integrated Management」やシステムの稼働監視を行う「Performance Management」において、仮想環境の管理機能を強化した。

仮想化ソフトから物理サーバーや仮想マシンの構成情報を自動取得するほか、仮想環境で問題となりそうな予兆を検知したり、収集した稼働情報をもとにトラブルの原因を特定したりする。

仮想化によって増えるサーバーを管理する上で便利な機能も追加した。JP1ではこれまで、管理対象のサーバーにエージェントプログラムをインストールして稼働状況を監視していた。新版では、「Performance Management」に 「Remote Monitor」を追加。エージェントのインストールなしで、サーバーを監視できるようにした。

管理対象となる仮想化ソフトはVMwareのみだが、今後、日立の仮想化技術「Virtage」や、マイクロソフトの「Hyper-V」も対象にする計画だ。

日本オラクル Enterprise Manager 10g
アプリやミドルウェアに焦点

日本オラクルが5月に発売した「Oracle Enterprise Manager 10g Release 5」は、仮想化ソフト「Oracle VM」や、同社のミドルウェア、さらにはアプリケーションの運用管理に焦点を合わせている。Oracle Database 11gやWebLogic、Oracle Coherence、Oracle Service Bus、Siebel CRM 8.1.1などだ。

このうちOracle VMに関しては、物理環境と仮想環境の統合管理を可能にし、仮想環境に対するプロセサやメモリーなどのリソース割り当てや、稼働中の仮想環境を無停止で別のサーバーへ移行する「ライブ・マイグレーション」機能をサポートする。

Javaアプリケーションの性能問題を早期に発見し、問題の発生を未然に防止するApplication Diagnostics for Javaも用意した。

富士通 ServerView Resource Coordinator VE
簡易な画面で仮想環境を監視

同じく5月に富士通が発売した「ServerView Resource Coordinator VE V2」は、同社のサーバー「PRIMERGY」シリーズ向けの管理ソフト製品群「ServerView Suite」の1つ。従来は「Systemwalker Resource Coordinator」という名称だった。

V2の特徴は、ビジュアルな表示で視覚的にサーバーの状態を把握しやすくしたこと。例えば物理サーバーとその上で動作する仮想サーバーや仮想スイッチのネットワーク接続状態を、グラフィカルに表示する。同社は、障害が発生した際にネットワークの状態を直感的に把握できるという。

物理/仮想サーバーの初期設定や起動、停止、あるいは交換なども、詳細情報を極力省いてシンプルに表示する簡易ビューアで行えるようにした。例えば電源ボタンのアイコンをクリックするだけで仮想環境の起動・停止ができる。

野村総合研究所 Senju
復旧業務をシステムで自動化

野村総合研究所が6月1日に発表したのは、「Senju Operation Conductor Ver.10.0」。VMwareを監視する機能を追加し、VMware上の仮想サーバーの起動や停止を制御できるようにした。

運用管理ツールとしての機能も強化している。その1つが「ランブックオートメーション」。障害発生時に行う関係各所への連絡やバックアップ作業などをテンプレート化しておくことで、手順書に従って行っていたシステムの復旧作業を、システム上で自動実行する機能だ。もう1つは「メッセージアクション」。事前に設定した障害に関するメッセージが表示された場合、時間やメッセージID、内容などにより、メールを送信するのか、特定のコマンドを実行するのかなどの対応を自動で切り分ける。

日立のJP1 Version 9と同様に、エージェントなしで動作するため、導入時に既存のシステム環境を変更する必要がないメリットもある。

図1 取り上げた4製品の管理対象範囲。製品ごとに管理対象が異なることが分かる
図1 取り上げた4製品の管理対象範囲。製品ごとに管理対象が異なることが分かる
表1 今回取り上げた運用管理ソフトの概要
製品名/ベンダー名 概要 価格(税込)
JP1 Version 9/
日立製作所
稼働状況の監視やパフォーマンス測定、暗号化などを行う製品群で構成。仮想化ソフトから、仮想/物理サーバーの構成情報を自動で取得できる 50万4000円~(JP1/Integrated Management - Managerの場合)
Oracle Enterprise Manager 10g Release 5/
日本オラクル
主にアプリケーションやミドルウェア、データベース層を管理するソフト。アプリケーションのパフォーマンス監視やバージョンアップを実施できる。Javaアプリケーションのパフォーマンスやミドルウェアの「Oracle Service Bus」などを監視できる 38万400円~(1プロセサあたり)
ServerView Resource Coordinator VE V2/
富士通
仮想/物理環境を同一画面上で監視できる。簡素化したビューアにより、サーバーの状態をアイコンで分かりやすく表示する。VMware、Hyper-V、Xenといったサーバー仮想化ソフトを管理対象にできる 22万500円~
Senju Operation Conductor Ver.10.0/
野村総合研究所
用途に応じ、複数の管理画面を利用でき、システム担当者と運用オペレータが分業して作業を進めることができる。エージェントをインストールせずに管理対象となるサーバーやネットワーク機器の状態を監視可能 52万5000円~
関連記事

増える仮想環境を意識した運用管理ツール、管理対象範囲は製品により異なる運用管理ツール 仮想化を生かしてサーバーを統合・集約すると、システムの運用管理は複雑になる。仮想環境も含めれば管理すべき対象は、増加するからだ。それに対処するべく、運用管理ツールを機能強化するベンダーが増えている。5月〜6月初旬に登場した製品の特徴を見ていこう。

PAGE TOP