[海外動向]

インフラ拡充を競う米国ベンダー大手、目指すは世界の“発雲所”—Part2

2009年9月11日(金)

米国クラウド最前線 2006年夏に米AmazonがEC2を開始してから3年。クラウドコンピューティングは、IT業界はもとよりビジネス界に大きな影響を及ぼしつつある。一方、ユーザーが特定のクラウドサービスに囲い込まれる“ロックイン”を懸念する声も上がっている。

米国商務省の国立標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は2009年6月、クラウドコンピューティングの定義(草案)を発表した(表2-1)。これまで、クラウドに関する定義はあやふやで人によって異なる見解を示していた。NISTの今回の発表により、「柔軟性」や「従量課金」といったクラウドが備えるべき要件が明確になったといえる。

表2-1 NISTによるクラウドコンピューティングの定義
備える特徴 摘要
オンデマンドのセルフサービス ユーザーが必要なときに必要な資源をセルフサービスで要求して使える
ユビキタスな
ネットワークによるアクセス
クライアントの多様なプラットフォームから標準の手順で、ネットワークを経由してアクセスできる
場所に依存しない資源プール ユーザーの要求に応じて動的にコンピューティング資源をマルチテナント方式で割り振り、解放できる。ユーザはそれらの資源がどこに設置されているか気にかけることはない
迅速な柔軟性のあるサービス ユーザーの必要に応じて、利用する資源を迅速にスケールアップあるいはスケールダウンできる
従量課金 ユーザーが使用する資源の量をシステム側で測定し、その量に応じて利用料を課金する

表2-2に、代表的なクラウドサービスの利用料金の例を示した。いよいよ、IT資源を電気・ガス・水道といった公共サービスと同様の気軽さで使える時代が始まった。

表2-2 主なクラウドサービスとその利用料
種類 サービス名 サーバー
(1時間当たり)
ストレージ
(1ギガバイト当たり)
データ転送
(Gバイト当り)
摘要
入力 出力
IaaS Amazon EC2 $0.10〜$0.80 $0.12〜$0.15 $0.10 $0.10〜$0.17 仮想サーバーの提供
RackspaceMosso $0.015 $0.15 $0.08 $0.22 仮想サーバー、ストレージを提供
GoGrid $0.08 $0.15 $0.00 $0.50 仮想サーバー、ストレージを提供
PaaS Google App Engine $0.10 $0.15 $0.09 $0.11 Python、Javaのアプリケーション開発・実行環境を提供
Windows Azure
(2009年10月にサービス開始予定)
$0.12 $0.15 $0.10 $0.15 Microsoftの.NETアプリケーションの開発・実行環境を提供

火付け役はAmazon
大手ユーザーも採用

クラウドの先駆けとなったのは、米Amazonだ。同社がストレージ貸しのサービスを開始して世界を驚かせたのは、2006年3月のこと。斬新なサービスに対する好奇心も手伝って、ユーザー数を急速に伸ばした。

しかし、ストレージだけではせいぜいバックアップかアーカイブにしか利用できない。ユーザーからは、「演算処理機能も使わせてほしい」という要望が上がった。同社はその声を待っていたかのごとく、同年8月に仮想マシンの利用サービスを開始した。「Elastic Compute Cloud(EC2)」である。

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