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[市場動向]

グループウェア主要4社の新基軸─「人が主役」を前面に脱ヒエラルキーを追求、業務データとの連携も

進化するグループウェア Part 3

2010年2月16日(火)IT Leaders編集部

2010年、グループウェアはどこへ向かっているのか。ベンダー各社が言う“コラボレーション”の具体的なイメージとはどのようなものか。「ソーシャル系技術の融合」「リッチな操作感」「業務システムとの連携」などに、大手4社の最新製品像を追う。

 グループウェアの先駆けとして知られる、ロータスノーツ。その系譜を受け継ぐ「IBM Lotus Notes/Domino」を擁する日本IBMは今、コラボレーション促進の起爆剤としてWeb2.0技術の取り込みを急いでいる。

 その動きを示すのが、2009年8月にリリースした「IBM Lotus Connections 2.5」。ファイル共有や共同作業の分担・進捗状況を記録する機能に加えて、各自のスキルやこれまでに携わった業務やプロジェクト、有する資格などを表示する「プロフィール」や「コミュニティ」「ブログ」「Wiki」といった機能を提供する。

 同製品が目指すのは、「社内の人と人をつなげて、1人ひとりのスキルや経験を広く活用できる体制づくりを支援していくこと」(ソフトウェア事業部Lotusテクニカル・セールスの行木陽子氏)という。例えば、プロフィールをキーワード検索することで、社内の専門家や特定業務や業界に精通する人を簡単に探し出せる。個人ブログやブックマーク、公開資料の参照記録などを確認すれば、その人の専門外の知識や関心事など、経歴からだけでは読み取れない情報を詳しく知ることも可能だ。

 こうした“Know Who”検索を高度化させるため、同社は「SmallBlue」と呼ぶ人物検索技術を開発し、現在、社内で利用中である。Connectionsに蓄積する個人のプロフィールデータに加えて、メールやメッセンジャーでのやりとりを分析し、組織内の“人脈図”を自動で作成する。

 それにより社内の誰が誰とつながっているのかを、視覚的に把握できる。面識のない社員に連絡を取るための最短ルートを算出して表示する機能もある。「顔を合わせたことのない社員に問い合わせるときの敷居が低くなる。その結果、情報共有を促進できる」(行木氏)。こうしたConnectionsの機能は、東京大学が開発し、運用中のWeb上のサービス「SPYSEE」に近いものと言えるかも知れない。

画面1 IBM Lotus Connectionsの画面例。社員のスキルや職歴を公開し、業種、分野に精通する人を探し出せる
画面1 IBM Lotus Connectionsの画面例。社員のスキルや職歴を公開し、業種、分野に精通する人を探し出せる

成果物と経緯をセットで共有

 国産グループウェアの大手、サイボウズもWeb2.0技術をいち早く採用。「サイボウズブログ2.0」と呼ぶ社内ブログ機能を提供中だ。「電子掲示板のようなフォーマルな場では、社員はせっかくアイデアを持っていても発言しにくい。些細なことを気軽に書き込める場所を用意すれば、そうした隠れたアイデアを吸い上げられる」(開発本部 副本部長の関根紀子氏)。

 実は、同社はWeb2.0の登場以前から、気軽な情報発信を促すインタフェース設計に力を入れていた。

 例えば、「サイボウズ ガルーン2」は共有カレンダへのコメント書き込み機能を備える(画面2)。一般に、共有カレンダは会議などの日時や場所を確認するために使うことが多いが、ガルーン2では予定の1つひとつにコメントを付けられるのだ。例えば、その会議で何について話すのか、誰が出席するのか、どんな資料を用意すべきか。それらをコメント欄を使って相談できる。コメント履歴を時系列のツリー表示で確認できるため、途中から会議に出席することになった社員が予備知識を得ることにも役立つ。「当社のケースだが、基本的な事柄は会議前に合意がとれてしまうこともある」(関根氏)。

画面2 「サイボウズ ガルーン2」の画面例。カレンダーの予定にコメントを書き込める
画面2 「サイボウズ ガルーン2」の画面例。カレンダーの予定にコメントを書き込める

このほか、共有ドキュメントにも意見や指示などをコメントできる。報告書を例にとると、最終的な文書だけでなく、それがどのように修正され、最終版に至ったのかといった経緯を共有できる。

●Next:SharePointの新版に備わる機能は?

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