[株価から見るIT企業の強みと弱み]

M&Aによる拡大戦略を転換 ソフトウェアへの本業回帰で次の成長機会を探る[サイボウズ(証券コード 4776)]

2010年2月15日(月)

サイボウズの株価が底堅い。2009年9月28日、米国マイクロソフトとの業務提携を発表してから株価は急上昇。提携前は1万8240円(09年9月25日終値)の水準が、この発表により1カ月で3倍近くの5万600円(09年10月20日終値)まで暴騰した。この提携は同社にとって、どういうインパクトがあるのか? 今回は同社の業績、今後の株価について考えてみよう。

M&Aによる業績拡大

サイボウズという社名から多くの人が連想するのは、“グループウェアの会社”というものではないだろうか。同社は“情報サービスの大衆化”という理念のもと、1997年に「サイボウズ Office 1」を発売。当時、グループウェア市場で高いシェアを有していたLotusNotes(日本IBM)やMS. Exchange(マイクロソフト)といった大手が手薄だった中小中堅企業向けに、グループウェアを提供してきた。

設定や使い勝手の分かりやすさ、シンプルな機能、割安な価格などから、同社の製品は中小中堅企業のみならず大企業の部門、学校、官公庁などへ浸透。グループウェアでは必ず名前が挙がるほどのブランド認知に至った。2006年以降は高いブランド認知力、および顧客ベースを背景に、M&Aによる事業拡大を模索。具体的な方向性として、①通信=グループウェア顧客にMVNOによる携帯通信サービスを提供(インフォニックスの買収)、②ソリューション=同じく顧客にグループウェアに付随するソリューションを提供(ネットワーク構築を手掛けるクロスヘッド、内部統制を支援するブリングアップの買収など)している。こうした買収により同社の業績は、08年1月期に売上高120.3億円まで拡大した(図1)。

図1 サイボウズ連結売上高および営業利益率推移(単位:百万円、%)
図1 サイボウズ連結売上高および営業利益率推移(単位:百万円、%)

本業回帰で次の成長機会を探る

しかしM&Aによる拡大路線は、同社自身が「連結子会社の運営とシナジーの醸成にコストがかかり、業績を伸ばそうと思ってもなかなか伸ばせなかった」(石井和彦CFO)と総括するように、シナジー効果よりもむしろコストが先行した。それを踏まえて09年1月期からM&A路線を修正し、グループウェアの「かんたんオフィス」(中小企業向け)、「ガルーン」(大企業向け)の開発・販売を中心とした本業に専念する方向に舵を切った。10社あった連結子会社も5社まで減らしている。

とはいえ本業のソフトウェア事業が盤石であるかといえば、そうではない。特に近年は、不況による顧客の買い控えに加えて、ネオジャパンのような競合企業や、Webメールやカレンダー共有を組み合わせたGoogle Appsをはじめとする強力なライバルが出現。楽な状況ではなくなってきている。事実、09年1月期の「かんたんオフィス」シリーズのラインセンスは22.0憶円(前年比-5.3%)と前年度を下回る水準に陥っている。

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