[河原潤のITストリーム]

オラクル新章。その先は真の垂直統合ベンダーか、単なる総合ベンダーか:第6回

2010年2月16日(火)河原 潤(IT Leaders編集委員/データセンター完全ガイド編集長)

既報のとおり、EUの独占禁止法調査当局は1月27日(米国時間)、米オラクルによる米サン・マイクロシステムズの買収を無条件で承認しました。最後の障壁と言わたこの承認によって、IT業界史に残る大型M&Aが現実のものとなるわけです。

承認を受けたオラクルは、同日にサン統合後の製品ポートフォリオを発表しています。オラクルの、M&Aに伴う新しいポートフォリオの発表はすっかりおなじみの感がありますが、今回は、それが同社のほぼ全製品分野にまで及びました。

この発表でCEOのラリー・エリソン氏から発せられたグランドメッセージは、「今後は、1960年代のIBMのような、ハードウェアからソフトウェアまでを統合して提供できるベンダーを目指す」というものです。「1960年代のIBM」と言っても、オラクルがサンのSPARCサーバーを、かつてIBMコンピューティング・モデルの根幹を担ったメインフレーム(IBMは今でも重要視していますが)と同等に位置づけようとしているわけではありません。昨年9月にExadataシリーズの第2弾として投入されたOLTPアプライアンス「Sun Oracle Database Machine」のような、オラクルのデータベース技術とサンのハードウェア技術を融合した製品の開発に注力していくことになるのでしょう。

CPU、サーバー、ストレージからOS、ミドルウェア、アプリケーション、そしてサポート/サービスに至る垂直統合型のポートフォリオを提供していくというオラクルのスタンスは明快です。ただし、CPUやサーバー、ストレージ自体をみずから開発して製造・販売し、ユーザーに継続してサポートを提供していくハードウェア事業には幾多の高いハードルが待ち受けているはず。技術/製品と共に、この事業分野の経験・ノウハウとしてサンの人材も獲得しているとはいえ、新規参入のオラクルが、垂直統合モデルの一角をなす大きな事業にどこまで力を注ぐことができ、どこまでライバル各社に伍する競争力を生み出せるのかについては、組織体制や開発ロードマップなどの具体的な計画が明らかにならないと見えてこないものがあります。

先の発表でオラクルは、統合に伴いサンの人材を解雇するどころか、新たに募集をかけて組織の強化を図っていくことを強調しています。開発レベルからハードウェアとソフトウェアを高度に融合した、真の垂直統合ベンダーが出現するのか。それとも1社で何でもそろうことばかりが取り上げられる巨大総合ベンダーといった評価にとどまるのか。私は、オラクルがまず、IBMやHPなどと直接戦うハードウェア事業を早く軌道に乗せられるかどうかが1つ、ポイントになると見ていますが、ともかく同社の動きには、この先も注視せざるをえません。

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