「情報弱者」という言葉がある。かなり変則的な使われ方もしているが、この言葉は本来、情報通信技術を利活用するのが困難な状況にある人を指していた。経済的なこと、通信インフラなどの環境的なこと、高齢者あるいは高齢者でなくてもうまく使えないこと、または視聴覚障害などのチャレンジドのことなど、困難な理由は様々だろう。困難さゆえに起こる格差を、デジタル・デバイドと呼んでいる。
通信機器の発達には目覚ましいものがあり、携帯電話をはじめとしてスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ネットブック、電子ブック、ゲーム端末、モバイルコンピュータ、そして伝統的なPC(Personal Computer)など多様な情報端末が溢れている。それらの端末には洪水のように情報が流れ込む。好むと好まざるに関わらず、現実の状況はそうなのだ。
常態化するモバイル依存症
例えば大都市圏に居住している人にとっては、電車で多くの乗客が携帯の画面を睨んで操作しているのは日常的な光景になった。メールのやり取りやニュースを読んだりしているのだろう。朝のカフェには新聞を傍らにおいた若い女性がモバイルPCのキーボードを猛烈なスピードで叩いている。会議中にもメールを確認している社員を見かけるし、授業中の大学生もしかりだ。
このように情報端末を駆使して効率よく?処理している人もいれば、携帯電話は持っているがメールは読むだけでもっぱら通話オンリー。複合機もうまく使えないからFAXも誰かに頼むという人もいる。ここで取り上げたい象徴的な情報弱者VS情報強者は組織活動にみられるこのようなタイプの人たちであり、一般には前者が情報強者で、後者が情報弱者ということになる。
情報弱者は実は強者だ
情報強者である技術マネジャが、PCやスマートフォンを駆使して手際よく業務を処理している。情報強者だけに一見、効率はいい。効率がいいのだから当然、時間に余裕がありそうだが、現実は全く逆だ。いろいろなリクエストがきてスケジュールはタイトになる一方である。移動中にもメールで連絡したり経路検索したりGoogleマップで行き先を確認したりしている。確かに便利だがひたすら多忙感だけが残る。
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