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競争力の源泉はデータマネジメント 専門カンファレンスが米国で開催

2010年4月30日(金)

米国カンファレンス現地レポート データマネジメントの普及活動を展開する世界最大規模の団体、DAMA(Data Management Association)が主催するイベントが、サンフランシスコで開催された。米国では毎年開催されており、回を重ねるごとに注目が高まっている。

Enterprise Data World 2010は、データを企業の資産として事業に活用する「データマネジメント」についてのイベントだ。5日間で1600ドルを超える参加費が必要にも関わらず、アメリカ、カナダといった北米をはじめ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、デンマークなどの欧州、その他にもブラジル、マレーシア、クウェートなど世界各国から700人近くが会場に押しかけた。

参加企業の顔ぶれは、SIerやプロダクトベンダー、コンサルティングファームはもちろん、米国防総省やカナダ歳入庁など国の機関、フィリップス、ファイザー、イーライリリーやシェルといったグローバル企業など多岐にわたる。職種で見ると、データアーキテクトやデータベース管理者などIT技術者だけでなく、マーケティングや販売のバイスプレジデントといった経営層も多く、データマネジメントへの関心が高まっていることが伺える。

カンファレンス期間中は、400件の事前応募から選び抜かれた発表が活発に繰り広げられた。5日間でのべ150件以上の発表があり、参加者は自分の興味があるテーマを選んで会場に足を運んでいた。データアーキテクチャ管理、BI(ビジネスインテリジェンス)、データ品質管理といった専門領域の話から、クラウド環境でのデータマネジメント、グローバル企業での複雑なデータマネジメントの導入事例など内容は多彩で、どれも実務に根ざしたものばかりである。

ユーザー事例に注目が集まる

特に参加者の注目を集めていたのが、幾多の経験を積みながらデータマネジメントを導入した企業によるプレゼンテーションだ。

例えば、オーストラリア郵便公社の事例発表。同公社では、これまでマスターデータが個々のシステムでバラバラに管理されていたため、郵便物の配送や請求に誤りが出るケースがあったという。そこで、150以上のアプリケーションで別々に管理していた顧客や商品などのデータを対象に、マスターデータを一元管理するMDM(Master Data Management)の取り組みに着手した。「ITツールは、MDMに必要な要素のごく一部に過ぎない。成功には、ビジネスを運営する立場の人と協働し、ビジネスプロセスに必要な情報が正しく管理されるようにポリシーや標準を作成し続けるなど、息の長い取り組みが必要だ」(オーストラリア郵便公社のプリンシパル・インフォメーション・アーキテクトのエヴァ・ガーディン氏)。

プリンタメーカーのLEXMARKもトップマネジメントの支援を受け、7人のフルタイムの社員を含めたデータガバナンス組織を設置。製品やその部品、サプライヤーなどの情報を一元管理するMDMを推進している。さらにインテルからもファイナンス分野でMDMに取り組んでいる事例が紹介されるなど、ユーザー事例のセッションではMDMに関するものが目立った。

Data Management Association基調講演
写真1 イベントには約700人の参加者が押しかけた。基調講演もほぼ満席に

知識体系DMBOKの動向

こうしたデータマネジメントの活動を支える知識体系として、DAMAは2009年4月にDAMA-DMBOK(Data Management Body of Knowledge)を発表した。この体系ではデータを企業の資産として認識してデータ戦略を策定し、それが的確に実施されるようにコントロールするデータガバナンスという概念を中心に据えている。

加えて、それに関連する分野として、BI、メタデータ管理やデータセキュリティ管理など、データマネジメントの各領域で考慮すべきポイントをまとめている。プロジェクトマネジメントにおけるPMBOK、ビジネス分析におけるBABOKに相当する知識体系だ。国内でも間もなく、日本語のCD-ROM版がアマゾンで購入できるようになるはずだ。

発表から1年が経過したことを受け、カンファレンスでは実際の利用者からフィードバックを得る時間も設けられた。実務に根ざして役立つ知識体系を構築していこうとするDAMAの意欲が感じられる。DMBOKを使用した事例はカンファレンスでもいくつか発表されており、データマネジメントの世界標準の知識体系として浸透し始めたことが伺える。

Data Management Associationセッション間のブレーク
写真2 セッション間のブレークでは、世界各国から集まった人々がワイワイガヤガヤと情報を交換

改訂進む認定資格CDMP

データマネジメントのプロフェッショナルを育成し、認定するためのCDMP(Certified Data Management Professional)資格に関するセッションも耳目を集めた。

2009年のDMBOK発表以前から存在していたこの資格は、現在ではDMBOKの内容と合致するように試験内容の改訂が進んでおり、DMBOKと歩調を合わせた展開を見据えて整備がなされている。

カンファレンス会場の一角ではCDMP資格の認定試験が何度も開催され、会期中にも数十人の資格保有者が新たに誕生。アメリカのデータマネジメント関係者の間ではCDMP資格への関心は高いようである。

このカンファレンスの期間中に開催されたDAMAミーティングでは、日本からの参加者によりDAMA支部を日本で立ち上げるという宣言がなされた。「アジア地域では中国やインドといった新興国でデータマネジメントの重要性が認識されてDAMA支部の設立が進む一方で、日本には支部がなかった。今回の設立宣言を機に、日本でも企業の競争力底上げに貢献するため、データマネジメントの普及を今まで以上に強力に推進していきたい」と参加者は述べた。

Data Management Associationソフトウェアベンダーによる展示コーナー
写真3 20社を超えるソフトウェアベンダーによる展示コーナー。傍らではコンサルタントへの30分の相談会も
来山 真
株式会社リアライズ
データガバナンス・スペシャリスト
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