[市場動向]

集積度アップと機能拡張の開発サイクルから見えるプロセサの近未来像

サーバー向け最新プロセサの“今”を理解する Part4

2010年6月22日(火)IT Leaders編集部

自社のサーバー群を技術進化の波に合わせて適宜更新していくには、「今」のみならず「近未来」にも目を向ける必要がある。Xeon/Itaniumの開発戦略からは、今後の進化の方向性が垣間見える。

自社のサーバー群を技術進化の波に合わせて適宜更新していくには、「今」のみならず「近未来」にも目を向ける必要がある。Xeon/Itaniumの開発戦略からは、今後の進化の方向性が垣間見える。継続的な処理性能向上のほか、電力効率アップや機能拡張など、さまざまな課題を突きつけられるプロセサは、今後どのように進化を続けるのか。その答えをひも解く鍵が、インテルの特徴的な製品開発サイクルにある。

2つの技術革新を交互に繰り返す

同社は、「TickTock戦略」と呼ぶ開発計画に沿ってプロセサの強化を進める(図4-1)。XeonやItaniumも実際にこのアプローチに則っている。

図4-1 TickTock戦略に基づくプロセサ開発
図4-1 TickTock戦略に基づくプロセサ開発

TickTock戦略では、(1)製造プロセスの微細化、(2)アーキテクチャの刷新─を交互に繰り返す。(1)は、回路内の配線幅を示す「製造プロセス」を狭めることで、より多くのトランジスタを実装したり、製造コストを抑えたりする。(2)は仮想化支援やプロセサ内部の通信路の刷新、キャッシュやメモリー搭載容量の拡張などを主に目指す。(1)と(2)を約1年ごとに交互に繰り返し、それぞれは約2年周期で刷新する。

「TickTock戦略のタイムフレームを念頭に技術力を集中投下することで、先進的なテクノロジーをいち早くプロセサに実装できる。メリハリある開発体制はプロセサを継続的に進化させていく上で有効にはたらく」(インテル マーケティング本部 エンタープライズ・プラットフォーム・マーケティング 統括部長 徳永貴士氏)。

Xeon 7500番台は図4-1において「Nehalem」に位置する。製造プロセスを据え置き、 「Coreマイクロアーキテクチャ」から「Nehalemマイクロアーキテクチャ」へと変更した。新たにQPIやDDR3メモリーを採用したほか、定格の動作クロック数以上で稼働する「ターボ・ブースト・テクノロジー」などを追加した。

一方Xeon 5600番台はXeon 7500番台の一歩先を行く。図4-1では「Westmere」に位置し、Xeon 5500番台から製造プロセスを32nmに微細化した。アーキテクチャは引き続き「Nehalemマイクロアーキテクチャ」を採用し、Xeon 5500番台と互換性を保持する。

ItaniumもTickTock戦略に基づき技術革新を進める。ただし、「Itaniumは信頼性を重視することから、検証やテストに時間がかかる。1年おきに新製品を投入するのは難しい」(徳永氏)。そこで(1)と(2)を1年ごとに進めず、2年ごとに同時に刷新する独自の路線を行く。

TickTock戦略から見るXeon/Itaniumの未来

今後のXeon/Itaniumの開発ロードマップを図4-2に示した。

図4-2 XeonとItaniumの今後のロードマップ
図4-2 XeonとItaniumの今後のロードマップ

Xeon 7500番台は製造プロセスの微細化に着手する。2011年には製造プロセスが32nmとなる新プロセサ「Westmere-EX(仮)」(開発コード名)を投入する予定だ。Xeon 5600番台は「Sandy Bridge」と呼ぶ新アーキテクチャを採用したプロセサ「Sandy Bridge-EP(仮)」(開発コード名)に移行する。さらにその後、製造プロセスを22nmに微細化する予定だ。

ItaniumについてはXeonより具体的なロードマップをインテルが公表している。製造プロセスが32nmとなる「Poulson」(開発コード名)を2010年以降に投入。さらに次期「Kittson」(開発コード名)も発表済みだ。「今後もItanium事業に積極的に開発費を投入していく」(代表取締役社長 吉田和正氏)と表明していることから、Itanium事業は当面継続していくこととなる。

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