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[製品サーベイ]

イメージバックアップソフト製品比較─OSも含めディスクの内容を丸ごと複製、万一のPC障害時に素早い復旧を図る

2010年6月9日(水)IT Leaders編集部

持ち歩いていたノートPCをうっかり落としてハードディスクが動かなくなるなど、時として不幸が起こり得る。データは復旧できないしPCの再設定も面倒だ。こんな時、ディスク全体を複製しておくイメージバックアップソフトが役に立つ。

「え?」。ある日突然、PCが起動しなくなり画面はブルースクリーンに。そして顔も“真っ青”になる─。

仕事に使うPCのディスクが障害を起こした時のダメージは大きい。せっかく作成したデータの数々は消え失せる。その上、PC本体(あるいはディスク)を交換して、OSや各種アプリケーションをインストールしたり、プリンタの設定をしたりするのには多大な時間がかかる。

そうした不測の事態に備え、素早く元の状態に復旧するためのソフトとして「イメージバックアップソフト」がある。単にマイドキュメントにあるデータを定期的にコピーしておくような仕組みではなく、OS、アプリケーション、データ、各種設定ファイルなどを含むディスクの「イメージ」そのものを複製しておく。トラブルが発生した際は、このイメージを書き戻すことで短時間で復旧を図るわけだ。

イメージバックアップは、いざという時にエンドユーザー自身でセルフレスキューできるほか、最近ではIT部門が社内に配布するPCのキッティング(仕事の現場ですぐに利用できる状態にPC環境を整えること)用途にも使われている。イメージバックアップの機能は、大規模システム向けの運用管理ツールの中で提供されている例もあるが、本稿では企業内個人でも導入できる市販ソフトに焦点を当てた。

PC操作中でも複製可能 復元用の GUIツールも用意

一般的なイメージバックアップ製品が備える主要な機能を見ていこう。最初は、対象ディスクのイメージ全体をフルに複製する「完全バックアップ」が必要だ。大容量の場合は数時間かかることもある。完全バックアップを実行した後は、その後の更新分のみをバックアップすることで、作業時間の短縮を図る製品が多数派だ。この際、直近の完全バックアップを起点に、そこから更新された分すべてを毎回バックアップする「差分バックアップ」と、前回のバックアップからの更新分だけをバックアップする「増分バックアップ」の2種類がある。差分バックアップは完全バックアップからの時間が経過するほどある程度の処理時間がかかるが復元は短時間で済む。増分バックアップは毎回の処理時間は短いものの、復元時にそれなりの時間を要する。

完全バックアップや差分/増分バックアップの実行は手動だけでなく、指定した日時や間隔で自動実行するスケジューリング機能を備えているのが一般的だ。一度設定すれば、あとはソフトに任せればよいので日頃の負担を強いることはない。

最近の製品は、PCを使用して通常の仕事をしている最中でもディスクのイメージをバックアップする「ホットイメージング機能」を備える。イメージバックアップソフトは、ファイルを構成するディスク上のセクタ単位やクラスタ単位でバックアップ処理をする。この時、PCが使用中だと、システムプロセスやアプリケーションの操作によりファイル状態が刻々と変化する。そこでイメージバックアップソフトは、様々な仕組みでファイルの変更を追跡し、イメージに反映する工夫を凝らしている。

代表的なものは、ファイルへの操作リクエストを捕捉する「ファイルシステムフィルタドライバ」を用いたものだ。これはオープンや更新などのファイル操作を管理する「ファイルシステムドライバ」と、物理ディスクへの読み書きを担う「デバイスドライバ」の中間に位置するドライバの一種。アンチウイルスソフトのシステム監視機能などにも利用されている。これがファイルの変更内容をリアルタイムに捉え、その内容を専用の領域に保存。最終的なイメージファイルに変更内容をマージする。この機能を差分/増分バックアップの仕組みとして採用している。

イメージの復元方法は2通りある。(1)ディスクにインストールしたイメージバックアップソフトからの復旧、(2)CDやDVDなどの外部記憶媒体を利用したレスキューメディアからの復旧、の2つだ。システム(OS)が起動するときは(1)、起動しないときは(2)で対応するのが基本的な利用スタイルとなる。

各製品は、製品のインストールディスクにレスキューメディアの役割を持たせていたり、CDやDVD、ブルーレイディスクなどを使ってレスキューメディアを作成する機能を備える。レスキューメディアをドライブに挿入して起動すると、Linuxや、Windowsの簡易実行環境である「Windows PE」ベースの復元用アプリケーションが立ち上がる。アプリケーションはGUIを備え、通常のアプリケーションと同等の使用感覚で利用可能。作業手順を案内するウィザードに従って外付けハードディスクや光メディアなどに保存したイメージを指定して復元する。

製品によってはイメージ全体だけでなくファイルやフォルダ単位のバックアップを可能にしたり、イメージディスクをドライブとしてマウントし、ファイルの中身を閲覧・編集可能にしているものもある。

OS標準のバックアップも「イメージ」に対応し始めた

オフィス内PCの多くを占めるWin-dowsと、クリエイタなどにユーザーが多いMacintosh。実はこれらのOSには、基本的なイメージバックアップ機能が標準で備わるようになってきた。

[Windows]
7から全エディションに搭載

最新版であるWindows 7は、「バックアップと復元」というバックアップ機能を備える。これには大きく3つの機能がある。(1)システムの構成情報やアプリケーション設定、レジストリ情報などを自動/手動でバックアップする「システムの復元」、(2)ファイルやフォルダを一定の間隔で自動的にバックアップし、以前のバージョンに戻せる「Windows シャドウコピー」、(3)ディスクイメージ全体をバックアップする「システム イメージ バックアップ」、の3つだ。このうち、(3)がイメージバックアップソフトの機能に相当する。

(3)のシステムイメージの作成は、Vistaから搭載している機能。VistaではHome Premium以上が必要だったが、Windows 7からすべてのエディションで利用可能になった。差分バックアップやスケジューリングなど、イメージバックアップの基本的な機能が備わる。OS全体だけでなくファイルやフォルダ単位でのバックアップも可能だ。対象となるファイルシステムはNTFSのみ。

イメージファイルはVirtual PCなどが採用する仮想ハードディスク形式(.vhdファイル)として作成する。この機能はコントロール パネルから利用できるほか、Windowsのインストールディスクやレスキューメディアとして事前作成する「システム修復ディスク」から利用できる。

Windows 7では新たにLAN上にあるネットワークドライブをイメージファイルの保存先に指定することが可能になった。この新機能は、ドメインへの参加が可能なProfessional以上のエディションで利用できる。

[Macintosh]
直感的な使用感を追求

Mac OS Xが標準搭載するイメージバックアップ機能が、「Time Machine」だ。Mac OS X 10.5 Leopardから搭載している。Windowsの機能と同様に、差分/増分バックアップやスケジューリングなどの基本機能を押さえている。復旧には、OSのインストールディスクを利用する。

Mac BookからMac Book Proなど、イメージファイルを取得した端末とは異なるハードウェア構成の端末に復元するときに、必要なデバイスドライバを追加・削除する「移行アシスタント」機能も搭載。さらに検索機能である「Spotlight」と連携し、ファイル検索時、Mac本体だけでなくTime Machineの保存先に指定した記憶媒体の中のイメージファイルも検索対象にできる。画面の奥から手前に向かってその時々のフォルダの状態を示す画面イメージを時系列順に表示し、過去のファイルを直感的に探せる。イメージの保存先として、ハードディスクと無線LANルーター機能をセットにした「Time Capsule」を別途販売している。

イメージファイルは圧縮しないため、最低でもバックアップ対象のシステムと同規模以上の記憶媒体が必要となる。対象ファイルシステムは、Mac OS用のフォーマットであるHFS+のみ。そのため、Mac上にWindows OSをインストール可能にする「Boot Camp」の領域はバックアップの対象にはできないことに注意が必要だ。

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