[木内里美の是正勧告]

iPhone、iPadにみるUIの威力(vol.23)

2010年8月12日(木)

iPhoneやiPadが世界中で大ヒットして、米アップルが絶好調だ。株式の時価総額は米マイクロソフトを上回り、米エクソン・モービルに次いで全米2位になった。ビジネスモデルも秀逸だが、筆者はそれ以上に、同社の製品が醸し出す美意識とユーザーインタフェースに感銘を受ける。これらはアップル創業者のスティーブ・ジョブズが、こだわり続けてきたものだ。

クパチーノでみた未来

筆者がアップル製品に初めて触れたのは1991年のこと。所属部署がMacintoshの大量導入を決定し、導入リーダーを担当したことがきっかけだった。米国カリフォルニア州クパチーノにあるアップル社を訪問し、ラボを見学する機会を得た。そこで見たのは「ナレッジ・ナビゲーター」という、未来のコンピュータのイメージだった。

これ自体は製品ではないが、その思想は世界初のPDA(個人用携帯情報端末)である「Newton」、そしてiPhoneやiPadに結実している。パソコン嫌いの筆者に初めて興味を持たせたMacintoshを含め、それらには人を楽しくさせるインタフェースがある。

実際、iPadを使って電子書籍のページを捲る時の感覚は、ワクワクする。端的に違いをいえば、日本製の携帯電話には200〜300ページくらいの取扱説明書が添付されているが、iPhoneは30ページくらい、iPadでは呆気ないくらいマニュアル類がない。この違いを生んでいるのが直感的に操作できるユーザーインタフェースである。

企業ITのインタフェースは?

この観点に立つと、企業の情報システムはおざなりであることがよく分かる。機能優先の中で、インタフェースの設計は「画面設計」で片付けられ、使いやすさや分かりやすさ、その結果としての効率性などは、ほとんど無視だ。入力画面などもひたすら入力を求めるだけで、利用者の利便性や効率性を考え、こだわった設計に時間を費やすことは少ない。業務アプリケーションはそういうものでいいという‘常識’があるらしい。

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