書店では、「ヒントがほしい」「自分の行動や思いの意味を確認したい」「もう1度感動したい」といった心の“引っかかり”を解消してくれるような本を探します。書名で選ぶことが多いですね。「マンガでわかる良い店悪い店の法則」もそう。書名を見て、即購入しました。一読して驚いた。接客の常識を覆す内容です。例えば、「販売員が売る気になればなるほどお客さんは寄ってこない」とか「販売員がお尻を向けているとお客さんは立ち止まる」とか。
お客さんにお尻を向けるなんて、我々小売業にとって考えられないことです。でも、お客さんにとってはそのほうが気楽に商品を見られる。著者はそう指摘します。こちらがよかれと思ってやっていることが、お客さんには必ずしも好まれていないんです。顧客視点に立つと、物事の見方がこうも変わるのかと考えさせられました。具体的なシーンをマンガで描写しているので、筆者の言わんとすることが瞬時に分かるのも、この本のいいところです。
「弁護士の仕事術・論理術」は、ベテラン弁護士によるハウツー本。周りとの信頼関係を築きつつ、仕事を効率よく回すためのスキルを「事実をつかむ力」「文章で訴える力」といった章立てで紹介しています。一般のビジネスパーソン向けに書かれていて、「これはシステム開発の現場でも使える」と感じるスキルが多かったですよ。弁護士らしく論理的で明快な文章で、言いたいことをスパッと端的に述べています。
松下幸之助氏の「実践経営哲学」は、一代で世界的企業を築きあげた同氏が、自らの経営理念や哲学を20項目にまとめた1冊です。読んだ感想を一言で言うと、「これぞ王道」。特に記憶に残るのは、「うまくいかない原因は、自分自身の内にある」という言葉です。部下を率いる身になり、私自身も同じようなことを考えるようになっていたので、共感を覚えました。先ほど挙げた「弁護士の仕事術・論理術」とは対照的に、松下氏の文章は、読み手の情緒に訴えかけます。
このほか、いわゆる入門書の類を好んで読みます。興味を抱いた分野について、気軽に大枠の知識を得られるので。ゴルフにテニス、心理学、相対性理論、犯罪心理学など、これまで様々な分野の入門書に手を出しました。物事を1つの方面から突き詰めるタイプではないんですよ。飽きっぽいとも言う(笑)。
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