[最前線]

ITを真の武器とするためのインフラのグランドデザイン

パターンベース手法で非機能要求も漏さらず基盤に反映

2010年10月4日(月)NTTデータ

1990年代に始まったオープン化の流れによって、システム化の対象範囲は飛躍的に広がり、現在も拡大を続けている。 一方で、多くの既存システムは業務や組織ごとに企画・検討されてきた経緯から、必ずしも全体最適になっていない。 システムの複雑化と製品・サービスの多様化が加速する今、システム基盤のグランドデザインをしっかりと描くことがIT部門の緊急ミッションの1つになっており、ITを真の意味で経営の武器として活用していくうえで避けて通れない。 本稿では、NTTデータが実際のプロジェクトでグランドデザインを描く際に用いているパターンベース手法を紹介する。

 サーバー内の論理的な分割や仮想化技術を使って、複数のサーバーを物理的・仮想的に統合することが容易になった。こうしたこともあり、保守切れを機に短期的な視点でサーバーを移行・統合するケースも目立ってきた。しかし、これでは複数のシステム基盤※1を場当たり的に運用し続ける羽目になる。大きく異なるシステムの混在は結果として安定運用の支障を招き、TCO※2の大幅な削減も達成できない恐れがある。

 TCOを大幅に削減して戦略的なシステム基盤を手に入れるには、システム基盤全体のグランドデザイン(長期的視点にたったシステム統合基盤と移行計画)を描くことが欠かせない。しかも一過性の取り組みで終わらせるのではなく、ビジネス環境や技術・ベンダー動向に応じて柔軟に見直す必要がある。その際、工数をかけず繰り返し実施・変更できるようにするために、システム要件と実現方式および適用製品・実装のレイヤーにデザインを分離し、全体方針や考え方、対応関係と検討手順を明確にすることが肝要だ。

 本稿では、一時点の製品依存ではなく、最適なシステム基盤を維持し続けるために、可用性や性能といった非機能要求とそれらの要求を実現するシステム基盤技術をパターン化して活用する方法を提案する。最初にシステム基盤のグランドデザイン検討プロセスについて概説したうえで、デザインツールとなる「非機能要求グレード」「インフラデザインパターン」「処理方式パターン」の内容と利用法を解説する。最後にパターン集の有効性と副次効果についてまとめる。

グランドデザインを描く3段階の基本プロセス

 一般にシステム基盤のグランドデザインでは、「現状システム分析」「次期システム基盤検討」「ロードマップ(移行計画)の策定」の大きく3つのプロセスを実行する(図1)。それぞれの具体的な内容を順を追ってみていこう。

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