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[市場動向]

米国企業に“30年遅れ”の現状を打開、データマネジメントの普及図る国際団体が日本支部設立

2010年11月16日(火)IT Leaders編集部

データマネジメントの普及や啓蒙を目的とする非営利団体「Data Management Association International」は2010年11月15日、日本支部の設立を発表した。主に企業でデータ管理業務に携わる個人を中心に、教育や交流の機会を提供する。

 「国内企業のデータマネジメントへの取り組みは米国企業より30年遅れている」―。M&Aの急増など企業を取り巻く環境が急速に変化する状況下で、データの品質を維持管理するデータマネジメントの重要性はますます高まっている。ソニーや協和発酵キリンがデータマネジメントの先進企業として知られるが、そうした取り組みが国内で広く普及しているとは言い難いのが現状だ。

 そうした中、データマネジメントの普及や啓蒙を目的にする非営利団体「Data Management Association(DAMA) International」(本部:米フロリダ州)が日本支部(DAMA J)を設立した。冒頭のコメントは、DAMA Jの初代会長に就任したデータ・インパクト代表の松本 聰氏が、DAMAが米国で1980年に発足したことを念頭に置いての発言だ。DAMA Jの設立により、国内企業の取り組みを米国の水準まで早期にキャッチアップさせたい意向だ。

 DAMAは、データ関連の業務に携わる現業部門や情報システム部門の責任者や担当者を対象に、セミナーや教育、情報共有の場を提供する非営利団体。米国を中心に世界で約7500人の会員を擁する。啓蒙活動の一環として、データガバナンスやマスターデータ・リファレンスデータ管理、データクオリティ管理など、データマネジメントに関する10分野の知識体系を網羅した「Data Management Body of Knowledge(DMBOK)」を2009年4月に発行している。日本語版はデータマネジメントに関する専業コンサルティング企業であるデータ総研が2010年3月に発行済みだ。

 DAMA Jは2010年11月15日に開催した設立記念セミナーを機に、正式な会員獲得を開始。2011年1月にも初会合を開く予定だ。今後の主な活動内容として、DMBOKの研究や、DMBOKを基にしたデータマネジメントの成熟度調査の提供を予定する。その第1弾として、DMBOKの10分野それぞれに対して質問項目を用意し、自己採点できるチェックリストを提供する。コンサルティングなどを含めた高度な成熟度調査については、「DAMAが認定するDMBOKの教育機関であるデータ総研などと共同して進めたいと考えている」(松本会長)。

 研究や成熟度調査については、米国で作成されたDMBOKにあるすべての項目を国内ですぐにカバーするのは難しいという判断から、「まずはマスターデータ管理やデータモデリングといった分野を中心に活動を進める」(松本会長)考えだ。

 「特定のベンダーやツール、方法論に偏らないというDAMAのポリシーを維持するため」(松本会長)、原則としてベンダーやシステムインテグレータなどからの資金援助は受けず、会費のみで運営資金をまかなう。「物理的な事務所を設けずに、電話やメールといった形でコミュニケーションを取るバーチャルな組織体として運営し、事務所の運営費をほとんど発生させない」(同)。会費は個人会員が年間1万円、企業会員が登録人数5人の場合年3万円。参加人数の目標として、「達成時期は明確に定めていないが、700人程度の参加を目指す」(同)という。

DAMA日本支部の設立メンバー。左から佐久間 まさよ財務担当理事(ナレッジプロパティ代表取締役)、黒澤 基博管理担当理事(データ総研代表取締役社長)、松本 聰会長(データ・インパクト代表)、大西 浩史企画担当理事(リアライズ 代表取締社長)、林 幹高情報担当理事(日揮情報システム システムアナリスト)
写真:DAMA日本支部の設立メンバー。左から佐久間まさよ財務担当理事(ナレッジプロパティ代表取締役)、黒澤基博管理担当理事(データ総研代表取締役社長)、松本聰会長(データ・インパクト代表)、大西浩史企画担当理事(リアライズ 代表取締社長)、林幹高情報担当理事(日揮情報システム システムアナリスト)
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