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[ユーザー事例]

ツールを駆使して少人数で短期・内製開発─手づくりで再構築に挑むユーザー、 アプリケーション資産も有効に再利用

“特急開発”ツールの進化系 Part 2

2011年1月18日(火)栗原 雅(IT Leaders編集部)

汎用プログラミング言語による開発に比べて習得が容易で生産性も高い。こんな最新ツールの特性を生かし、 メーカーや小売業など多業態を支える基幹系を少人数で次々と再構築してきた鈴廣蒲鉾本店と、 アプリケーション資産の再利用を実現した全国農業協同組合連合会の取り組みを紹介する。

 生産性の高いツールを駆使して、基幹系システムの独自開発に挑むユーザー企業は思いのほか多い。

 実例を列挙するなら、良品計画とローソンがユニバーサル・シェル・プログラミング研究所の「ユニケージ開発手法」を用いて、マーチャンダイジングと全国店舗の売上管理システムをそれぞれ独自開発(表2-1)。ドトールコーヒーはウルグアイのアルテッチ製アプリケーション開発環境「GeneXus」を使って物流販売管理システムを構築した。アトリスの「PEXA Suite」を使ったプロジェクトも、2010年11月時点で最低4件が同時進行中である。食品卸売会社の基幹系再構築など、イスラエルのサピエンス・インターナショナル製品「Sapiens」によるプロジェクトも盛んだ。

表2-1 主に基幹系システムを想定したアプリケーション開発環境を使って独自開発に挑むユーザー企業の例
企業名 主に使用しているアプリケーション開発環境
※カッコ内は開発元
アルプス電気 Sapiens(サピエンス・インターナショナル)
鈴廣蒲鉾本店 GeneXus(アルテッチ)
成城石井 ユニケージ開発手法(USP研究所)
全国農業協同組合連合会 Sapiens(サピエンス・インターナショナル)
TDK Sapiens(サピエンス・インターナショナル)
東洋大学 GeneXus(アルテッチ)
ドトールコーヒー GeneXus(アルテッチ)
雪国まいたけ PEXA Suite(アトリス)
良品計画 ユニケージ開発手法(USP研究所)
ローソン ユニケージ開発手法(USP研究所)

以下では、設計/開発からメンテナンスまで自前で取り組む小田原の鈴廣蒲鉾本店と、独自開発した基幹系システムをグループ内で横展開している全国農業協同組合連合会の取り組みをみていく。

【鈴廣蒲鉾本店】
多様な業態支える基幹系を少人数で相次ぎ再構築

「OSのバージョンアップがあろうと、すぐにシステムを手当てできる体制が整った。改修のたびに社内稟議に時間を要し、メンテナンスが後手に回ることもない」。こう話すのは、鈴廣蒲鉾本店で情報システム部部長を務める吉田敏之氏である。同社はGeneXusを用いて段階的に進めてきた基幹系システムの再構築を2009年10月時点でほぼ完了。GeneXusが自動生成したプログラムを再コンパイルすることで、種類やバージョンが異なるOSに基幹業務アプリケーションを移植できるようになった。加えて「プログラムの中身を情報システム部のメンバーが理解しているので、自らの手でメンテナンス可能にもなった」(吉田部長)。

鈴廣は多様な“顔”を持つ。かまぼこや干物、地ビールのメーカーであることはもちろん、直営店の運営や通信販売を行う小売業、百貨店やスーパーへ商品を販売する卸売業、さらには懐石料理を提供する外食産業にいたるまで営む事業は多岐にわたる。それだけに汎用的なパッケージソフトで全事業をカバーする基幹系システムを実現するのは難しく、以前から独自開発の方針を採ってきた。ただし、開発やメンテナンスの実作業は協力会社に依頼していた。

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