[イベントレポート]

Notes/Dominoが進化しソーシャル技術の企業活用を追求、具体化進む「Project Vulcun」

米国コンファレンス報告 レポート2:Lotusphere 2011 2010年1月30〜2月3日 米オーランド/IBM

2011年3月3日(木)折川 忠弘(IT Leaders編集部)

米IBMは2011年1月30日〜2月3日、年次イベント「Lotusphere 2011」を開催した。18回目を迎える今年のテーマは「Get Social, Do Business」。ソーシャル技術を活用し、ビジネスを成功に導けというメッセージだ。会期中に訪れた約7000人の参加者に対し、ソーシャル技術のポテンシャルを終始アピールし続けた。なお、ここでのソーシャル技術とは、ユーザー同士のつながりを基軸としたメッセージ交換やKnow Who、協働作業支援などを具現化する技術を指す。

基調講演
ソーシャルが不可欠な時代に

 基調講演に登壇したのは、Lotusソフトウェア事業部ゼネラルマネジャーのアリステア・レニー氏。コンシューマ市場で磨かれてきたソーシャル技術の長所を、企業システムにも積極的に取り入れるべきだと会場に訴えた。

 「顧客満足度向上、斬新なアイデアの創出、人材の可能性発掘…。人と人とのつながりを主体とするコラボレーションは、業種や部門を問わず様々なシーンで効果を発揮する。もはや、企業活動に不可欠の存在だ」。独自の調査では、ソーシャルツール導入で競争力が増したと答えた企業は57%に達するという。

Lotusソフトウェア事業部のアリステア・レニーGM
Lotusソフトウェア事業部のアリステア・レニーGM。基調講演では、ソーシャルを活用し業務を効率化すべきと訴求

 まだ導入に慎重な姿勢を示す企業に対しては、「ソーシャルツール導入は“5カ年計画”などで大げさに構えるものではない。どの部署からでもいいから試すことが重要。自然体での情報共有の利点を体感できれば、ボトムアップで全社に定着していく」(同氏)。

基調講演
基調講演にはユーザー企業やパートナー企業のほか、ソーシャルツールを活用する大学生も多数参加した

事例発表
ユーザー自身が成果を示す

 会期中、導入企業の担当者が次々と事例を披露した。

 AT&Tは顧客との関係強化に役立てる。エグゼクティブディレクターのブレア・クレイン氏は顧客からの電話応対を引き合いに出した。「かなり専門的な問い合わせがスペイン語で寄せられた。レアケースゆえ、普通なら後日対応となるところ。それが社内SNSを使うと、スペイン語が堪能で当該分野に詳しい社員がすぐに見つかり、5分で応対できた」。

 ベルギーの金融機関KBCは、海外展開に伴って現地法人を買収した際、社員同士のコラボレーションにソーシャルツールが一役かったことを明かした。「国も違い、これまで接点のなかった社員同士が一丸となるには、互いの文化や商習慣を理解することが欠かせない。ソーシャルツールで“草の根”的に始まった情報交換が垣根をなくし、戦略策定や市場展開がスムーズに進んだ」(グローバルビジネス アナリスト ヘールト・ティルボルフ氏)。

 そのほか、化学メーカーのBASFやサービス業のCSC、カナダの銀行RBCなどが事例を発表。IBM自身の活用例も紹介され、「41万人の社員間で1日に600万件に及ぶ人材検索が行われている。専門技術者や過去に同様の企画書を作成した人物を探すのに手放せないツールとなっている」(ソーシャル・ソフトウェア担当バイスプレジデント ジェフ・シック氏)。

ソーシャルツールの活用例を紹介するユーザー企業の担当者
ソーシャルツールの活用例を紹介するユーザー企業の担当者。数回にわたり同様の事例紹介が行われた

新製品/サービス
主要要素技術とロードマップ

 昨年のLotusphereでは、多種多様の情報に一元的にアクセスするためのビジョン「Project Vulcun」の発表が大きな話題を呼んだ。今年は、そのVulcunをどう具現化するのかが最大の焦点となった。

 キーテクノロジーの1つが「Activity Stream」だ。これは複数のデータソースを一画面に集約するインタフェース技術。社内のメールや業務システム、さらに社外のFacebookやTwitterなど、ユーザーが必要とする情報をメニュー操作で容易に引き出せる。Lotus各製品へ実装していく考えだ。

 必要な情報を常に画面に表示させるプログラム部品(ウィジェット)の活用も視野に入れる。「iWidget」と呼ぶ同社製品向けのツールを用意し、バックエンドのプラットフォームやソフトウェアを問わず、必要な情報をすぐ参照できるようにする。「今後はウィジェットを利用してBPMやECM製品にソーシャル機能を追加していきたい」(シック氏)。

 製品/サービス別に2011年のロードマップも発表した。オフィス製品「Lotus Symphony」はSaaS版を提供開始する。SaaS版では複数ユーザーによる共同編集機能を追加。IBMが研究中の技術をユーザーに公開する「LotusLive Labs」の成果である「Project Concord」の技術を取り入れた。

 オンプレミス版のLotus Dominoアプリケーションをクラウドから提供することも発表。これまで「LotusLive Notes」としてメールやカレンダーなど一部の機能しかSaaSで提供していなかったが、今後は複数の機能をクラウド経由で利用できるようにする。「IBM Cloud」と呼ぶIaaS上にアプリケーションを展開/配信するほか、Amazon EC2からの配信も予定する。

 Lotus Dominoは小規模な機能拡張にとどまる。次期バージョンではWindows 7(64bit)のサポート、モバイル用ブラウザ向けのインタフェース提供、アプリケーション開発機能「xPages」向けのテンプレートを追加する。

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