[河原潤のITストリーム]

パブリッククラウドの「規模の経済」がユーザーにもたらすもの:第32回

2011年3月2日(水)河原 潤(IT Leaders編集委員/データセンター完全ガイド編集長)

ここ1、2年でクラウドに関する、ベンダー/ユーザー双方でのノウハウの蓄積が確実に進んでいます。その結果、いよいよスケールメリットがはたらき始め、利用側のメリットがより大きなものになってきていると言えます。

パブリッククラウド・サービスを提供するベンダーにとって、いわゆる「規模の経済」がもたらすメリット(スケールメリット)の追求は、サービスを継続的に提供していくうえでの前提となっています。その実現に不可欠なマルチテナント型アーキテクチャ(マルチテナンシー)は、SaaSの登場初期に従来のASPモデルとの最大の違いとして頻繁に説明されたため、広く知られていることと思います。

マルチテナンシーはSaaS、IaaS、PaaSなどパブリッククラウドの全レイヤに採用されています。例えばSaaSの場合、ベンダーはアプリケーションが共通のデータベースやアプリケーションのビジネスロジックなどを共有する仕組みの提供基盤を構築し、個々のユーザーにはその仕組みを意識させずにサービスを提供する、というのがマルチテナンシーの典型的な形態になります。

ベンダーは、ユーザー数が増えるのにしたがって、サーバーやストレージの増強などの投資を行う必要がありますが、マルチテナンシーの仕組みによって、全体では1テナント当たりの構築・運用コストが低減していくことになり、それがユーザーにとってのメリットにつながっていきます。現在、市場で成功を収めているパブリッククラウドに見られる利用料金の値下げや、料金を維持しての機能・サービスレベル向上などがそれにあたります。

また、ベンダーは、パブリッククラウドで追求されるスケールメリットがユーザーにもたらすものとして、上記に加えて、セキュリティ面でのメリットも挙げて強調しています。元ヘロクのCEOで現在は同社の買収先であるセールスフォース・ドットコムでプラットフォーム・シニアバイスプレジデントを務めるバイロン・セバスティアン氏は次のように説明しています。「セキュリティにおいても、クラウドにおける規模の経済がはたらくことになる。大規模な環境での厳しい要件を満たす最高レベルのセキュリティがベストプラクティスとなり、(マルチテナンシーによって)すべてのユーザーの環境に適用される」

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