[技術解説]

シンプロビジョニングとは?─必要な容量を動的に確保し、リソースの無駄と設計の手間を解消

ストレージの「今」を知る Part4

2011年4月12日(火)折川 忠弘(IT Leaders編集部)

ストレージの筐体を超えて大きなストレージプールを作り出す仮想化技術とは別に、サーバーに提供する「ボリューム容量」を仮想化する技術が「シンプロビジョニング」である。 すでに広く導入が進んでいるこの技術を概説する。折川 忠弘(編集部)

ストレージの容量はピーク時に備えて、もしくは今後増えるであろう将来予測の下、ある程度余裕を持たせて割り当てるのが一般的だ。後から容量を増やしてチューニングを施すのが簡単ではないからである。

しかし、その結果として実際には半分以上の容量を使わず無駄にしているケースもあるという。できるだけ少ない容量でカバーし、余裕がなくなってきた時に簡単に容量を追加できる方法はないものか。こうしたニーズに応えるものとして「シンプロビジョニング」を利用するケースが増えている。

物理的な割り当てより大きく見せかける

シンプロビジョニングは、サーバーに割り当てるストレージの容量を、「物理実装」分より大きく見せかける技術だ。

図4-1にシンプルな例を示した。例えば中長期的な視点でサーバーが10TBの容量を持つストレージを必要とする場合、従来は最初から10TBのディスクを集めて割り当てることが必要だった。ここには将来やピーク時に備えた“保険”分の容量も加算されており、フルに使うことはまずない。そこでシンプロビジョニングは、サーバーには10TB分の容量があるように見せつつ、実際はそれより少ない容量(図では3TB)のディスクを割り当てるだけで済ませようというものだ。

図2-2 インフラの提供形態は、個別機能からリソースモデルへ
図2-2 インフラの提供形態は、個別機能からリソースモデルへ 出典:ガートナー(画像をクリックで拡大)

もう少し詳しく説明しよう。ストレージは一般的に、配下にあるディスクをいくつか束ねて「論理ボリューム」(外部から見た場合の論理的なビュー)を形成する。これはサーバーのOSやアプリケーションからは隠蔽されており、サーバーは提供されている容量が、具体的にどのディスクによって構成されているかは関知しない。この点では、ストレージは古くから仮想化技術が使われてきた分野とも言える。

従来、ボリュームとして提供する容量は、それを構成するディスクの容量の総和とイコールにするしかなかった。ここでボリュームの“容量”を仮想化しようという試みがシンプロビジョニングである。つまり、サーバーには余裕を持たせた一定枠の容量として見せつつ、ストレージ内部では実際に必要な分だけのディスクを都度用意する。こうした機能をストレージ単体、もしくはネットアップの「Vシリーズ」のような他社製ストレージを束ねて運用する製品が実装し始めている。最近はハイエンド機のほか、ミッドレンジ機やエントリー機でもサポートする動きが広がっている。

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