[河原潤のITストリーム]

今夏の大節電を起点に、グリーンITの長期計画を描く(第34回)

2011年4月20日(水)河原 潤(IT Leaders編集委員/データセンター完全ガイド編集長)

契約電力が500キロワットを超える大口事業者に対して25%の抑制を求めるなど、今夏の電力需給対策はかなり厳しい内容になっています。そこでは、「Green of IT」「Green by IT」両面からの総合的・長期的なロードマップを描くことが欠かせません。

今年4月8日、経済産業省による夏の電力需給対策案が政府方針として決定・公開されました。方針では、冷房需要が急増する7月から9月にかけて、ピーク時の瞬間最大電力が東京電力管内で約1500万キロワット、東北電力管内で最大330万キロワット不足すると見積もったうえで、契約電力が500キロワットを超える大口事業者に対して25%、500キロワット未満の小口事業者には20%、家庭・個人には15~20%の抑制をそれぞれ求めるとしています。

この方針を受けて、企業・組織や業界団体が次々と工場やオフィスの輪番操業やサマータイム適用、タイムシフト勤務、一斉夏季休暇などの節電計画を打ち出している一方、25%抑制という目標があまりにも厳しく、「安心・安全な医療環境を整えられなくなる」「生産能力の大幅な低下を招いて日本経済の停滞にいっそう拍車をかけてしまう」といった危惧の声が各所から上がっています。また、半導体、電子機器のように素材・部品の調達先として日本のメーカーが重要拠点となっている産業においては、及ぶ影響が国内だけにとどまりません。このたびの東日本大震災がいかに想定外の巨大災害であるかをあらためて思い知らされます。

大口事業者に課せられた25%抑制は、IT業界で言えば特に、大量のサーバーやストレージを運用するデータセンター事業者にとって達成が実に困難なものとなります。事業者やベンダーが災害リスクを想定したサービスの投入を次々と発表するなど、ここにきてクラウド・コンピューティングのメリットに注目が集まっていますが、ユーザー企業側の節電対策として、この夏にクラウド/ホスティングの需要が高まったとしても、自社での25%抑制に引っかかり、事業者が受注を断念せざるをえないようなケースが出てくることも考えられます。ネットワーク通信のレイテンシーなど業務システムの要件から海外の事業者を選択できない場合もあるはずで、国内のクラウド・サービスが盛り上がりを見せる機会ではあっても、ユーザー企業が自社のIT電力消費を抑える有効な一手としてクラウドを十分に活用できない──そんな状況も想定されるわけです。

電力危機に関して厳しい事情ばかりが次から次へと浮上し、今年の夏こそ想定外にうーんと涼しくなってくれれば……と天に願いたくもなるこの頃ですが、それでも計画停電、そして最悪の事態である突発的な広域停電を回避するために、企業も個人も各自が工夫し努力を積み重ねていくよりほかはありません。準備期間があまりにもわずかなので、やれることはおのずと限られてきますが、CIOやITリーダーにおかれては、今夏の緊急的な大節電を起点に、Green of IT(ITの省エネ化)とGreen by IT(ITによる省エネ化)の両面からの総合的・長期的なグリーンITロードマップを描かれてみてはいかがでしょうか。

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