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拡充進めるオラクルのストレージ製品群、テープドライブのロードマップも公開

2011年5月11日(水)

DBMSのみならずミドルウェアや業務アプリケーション、さらには2010年1月に買収したサン・マイクロシステムズのサーバーやストレージといったハードウェアなど、オラクルが扱う製品ラインナップは幅広い。

その中でも、昨今のデータ量の増加に伴って製品群の強化/拡充を加速させているのがストレージ分野だ。具体的にはどのような動きがあるのか。日本オラクルのシステム事業統括 ビジネス推進本部 マネジャー 寺島義人氏に、ストレージ製品群とその特徴について話を聞いた。

同社が提供するストレージは4つに分類される。〈1〉SAN/NASで利用可能なユニファイドストレージ、〈2〉FC SANストレージ、〈3〉SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)搭載ストレージ、〈4〉テープストレージ、である。

〈1〉の「Sun ZFS Storage 7000シリーズ」は、独自のファイルシステム「ZFS」を用いた拡張性と利便性の高さを特徴に打ち出す。LUN(論理ボリューム)を最大417万7655個まで設定でき、「他社製品の多くが数千程度しか設定できないのに対しアドバンテージがあると自負している」(同氏)。ファイルシステムのサイズやファイルサイズは16エクサバイトで、「実質的にファイルシステムの制限はないに等しい」(同氏)。1ファイルあたりの容量が大きな動画などを保存するのに向く。

パフォーマンス向上を見込める「Hybrid Storage Pool」と呼ぶ機能も備える。これは大容量を搭載しにくいRAMの代わりに、SSDをキャッシュとして活用するもの。RAMと同等の性能を引き出すことはできないが、大容量のSSDを搭載することで処理を高速化する。SSDは書き込み用と読み出し用の2種を搭載。比較的安価なSSDを性能要件の低い読み出し用として活用できるよう工夫する。

そのほか、スナップショットやインライン型の重複排除機能を標準で備える。「これらの機能をオプションとして別途提供する製品は少なくない。7000シリーズは追加コストをかけずに必要な機能を利用できる点も売りの1つである」(同氏)。

7000シリーズとして4機種を用意する。「7120」の最大容量は120TB、「7320」の最大容量は192TB、「7420」の最大容量は1.15PB、「7720」の最大容量は720TBとなる。価格は「7120」が281万4000円から(書き込み用となるSSDの容量が96GB、HDDの容量が12TBの場合)。

異なるストレージを束ね ILM環境を構築可能

FC SANストレージの「Sun Storage 6000シリーズ」は、FC SAN専用機として7000シリーズより性能要件の厳しい基幹業務での利用を想定する。

既存モデルからのデータ移行を簡素化する仕組みを備える。6000シリーズはデータを保存するディスク装置をそのままに、データを制御するコントローラ部分のみ交換することができる。例えば、既存モデル「S6140」を後継機「S6180」にバージョンアップしたい場合、コントローラ部を入れ替えるだけで性能向上が可能だ。データを他のディスクにコピーする必要がなく、運用の手間もかからない。

「SAM-FS」(Sun Storage Archive Manager)と呼ぶソフトウェアを用いることで、複数のストレージ製品によるILM(インフォメーション・ライフサイクル管理)環境を構築することも可能だ。6000シリーズのほか、7000シリーズやテープストレージ、さらには他社製ストレージを束ねて1つのファイルシステムを作成する。事前に定めたポリシーに基づいてデータを適切な保存先に格納する。例えば、1年以上アクセスのないデータをテープドライブにアーカイブするといった運用を自動化する。

6000シリーズは3機種を用意する。下位モデル「S6180」は最大112台のディスクを搭載し、最大容量は224TBとなる。中位モデル「S6580」は256台のディスクを搭載し、最大容量は512TB。上位モデル「S6780」は448台のディスクを搭載し、最大容量は896TBとなる。価格は「S6180」が392万3000円から(キャッシュ容量が4GB、HDDの容量が5TBの場合)。

少量でも高速化が可能 Oracle DBの性能向上も

SSDを搭載するストレージについては、1Uサイズの「Sun Storage F5100」が主力製品である。フラッシュモジュールと呼ぶSSD搭載カードを実装することで、最大容量は1.92TBとなる。主にデータベースなどの高速処理を要する用途に向く。

同社のデータベース「Oracle Database 11g R2」と併用する場合、処理性能を引き上げる効果を見込める。Oracle DBが備える「Database Smart Flash Cache」機能により、SSDを2次キャッシュとして利用できる。RAMに格納しきれななくなったデータをディスクではなくSSDに保存することで、ディスクアクセスによるI/Oボトルネックを回避する。「SSDは高価なため大量に実装するのは難しい。しかし少量でも十分な性能改善を見込める」(同氏)という。 SSD製品はこのほかに、PCI Expressインタフェースを用いるサーバー直結型のSSD搭載カードや、2.5/3.5インチのSSDデバイスを揃える。価格は「Sun Storage F5100」が459万5000円から(SSDの搭載容量が240GBの場合)。

ラインナップを拡充し 顧客のテープ資産を保護

テープストレージは、ハイエンドからローエンドまで幅広い製品を揃える。ハイエンド機の「StorageTek SL8500」はメインフレームやUNIX、Linux、Windowsなどの異なる環境のデータをバックアップすることが可能だ。1万本以上のカートリッジを収納し、最大容量は500PBとなる。一方、2Uサイズのローエンドモデル「StorageTek SL24」は、24本のカートリッジを収納し、最大容量は36TBとなる。

データの長期保存を想定し、データ暗号化製品「StorageTek Crypto Key Management System」も提供する。デバイスやOSに依存せずにデータを暗号化し、100万もの復号キーを一元管理する。データ漏えいや不正な改ざんを防止するのに役立つ。

価格は「StorageTek SL24」が73万4000円。SL24の2倍の保存容量となる4Uサイズの「StorageTek SL48」は180万7000円。

なお、ディスクにデータをバックアップする企業が増える中、同社は今後もテープ製品に注力していくという。「顧客が過去に投資したテープ資産を保護するため、オラクルとしてテープ製品を提供し続ける」(同氏)。2015年までのロードマップを公開し、「SL8500」は2013年に最大容量が1エクサバイト、2015年には2エクサバイトまで拡張する予定となっている。

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