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グーグル、クラウド利用に特化したノートPC「Chromebook」発売

2011年5月18日(水)IT Leaders編集部

米グーグルが2011年5月開催の開発者向けカンファレンス「Google I/O」で戦略商品を発表した。クラウド利用を前提としたノートPC「Chromebook」がそれで、まずサムスンとエイサーから市場投入される。いったいどんなものなのかを概説する。

 米グーグルは2011年5月11日、開発者向けカンファレンス「Google I/O 2011(米サンフランシスコ開催)」で、Chromeウェブブラウザをベースにした新タイプのノートPCを発売すると発表した。

 「Chromebook(クロームブック)」と称される製品の第一弾は、サムスンとエイサーから6月15日に発売開始される。価格はそれぞれ、429ドル(約3万5000円)と349ドル(約2万8000円) から。まずは米国と欧州6カ国で発売され、その後順次、各国で発売される予定だ。米国では、アマゾンや量販店ベストバイなどで購入することができる。

Google I/Oメインステージ
Google I/Oメインステージ

 クロームブックは「クラウド利用」に特化した設計となっているのが最大の特徴。従来のように、PC本体に電子メールやワープロ、表計算ソフトといったアプリケーションソフトをインストールすることは全く想定していない。目的に応じたクラウド上のWebサービスを使い、データもクラウド上に置くという新機軸を打ち出す。OS部分が軽く仕上がっているのに加えてSSDの採用もあいまって、起動がわずか8秒という俊敏さもアピールポイントに据える。

Chromebookを紹介するChromeシニアバイスプレジデントSundar Pichai氏
Chromebookを紹介するChromeシニアバイスプレジデントSundar Pichai氏

 グーグルは従来から、Windowsのような従来型OS上でアプリケーションを走らせるのではなく、全てウェブベースで利用できるようにする方向でマイクロソフトに対抗しようとしている。クロームブックは、まさにそれを一歩深く追求し具現化した初のノートPCだ。

Chromebookの設計思想を説明するグーグル共同創業者Sergey Brin氏
Chromebookの設計思想を説明するグーグル共同創業者Sergey Brin氏

 ユーザーにとってみれば、自分が使うアプリケーションやゲームなどのアプリケーション、写真、音楽、映画、ドキュメントといったデータはすべて“雲”の上。クロームブックのみならず、スマートフォンやタブレットなど異なる複数の端末からもアクセスできる。保存場所やバックアップなどを気にせずに済む“開放感”は大きい。システムの自動更新機能や強固なセキュリティ機能もあらかじめ備え、安全性への配慮にも力が注がれている。

 いつでもどこでもネットにつながるように、Wi-Fiのみならず3G接続機能も搭載されている。3Gのデータ通信については、米国ではベライゾンワイヤレスへの接続が月100MBまで2年間無料で利用できる。気になるバッテリー駆動時間は6~8時間とのことなので、外出の際にいちいち電源コードを持ち歩く手間も省けそうだ。

 同社は、世界のChromeユーザーは1億6000万人とする。新発想のクロームブックにどれだけのユーザーが食指を動かすのか。企業システムのクライアント用途としてのポテンシャルはどうなのか。これに関連しグーグルの共同創業者であるセルゲイ・ブリン氏は記者会見で、「クラウドモデルを利用しない企業は今後成功しないことは確かだ」と強調した。

 企業や教育機関向けには、ユーザー、端末、アプリケーション等を遠隔管理できるサービスを組み合わせた月額制プランも提供する。3年間のサブスクリプション形式で、ビジネス向けは1ユーザーあたり月額28ドル、教育機関は同20ドルで、ハードウェア保証、アップグレード、保守管理サポートなどが含まれる。クロームブックは、アンチウイルスソフト・ライセンスやデータバックアップソフトの購入費用を削減し、システム管理を容易にすることで、IT関連総コストを70%削減できるという。

Google I/O会場
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Google I/O会場 Androidコーナー
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