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フェルマーの最終定理 —JFEスチール 酒田健氏が選ぶ1冊

2011年5月25日(水)

部屋の両側に本棚を置いています。どの段も、奥と手前に本を収納している“二重駐車”状態(笑)。奥にしまった本をすぐ取り出せないのがちょっと不便です。それでも収まりきらない分は、天井と本棚の間にすきまなくびっしり積んであります。地震のときに、つっかい棒代わりになるかと思ったんですが、実際にはそううまくはいかず、その部分だけ飛び出してしまいました。

フェルマーの最終定理フェルマーの最終定理
サイモン・シン(著)、青木 薫(訳)
ISBN:978-4102159712
新潮社
820円

その中から、まずは「パワーシフト」を。この本が話題になったのは、もう20年も前のことになりますね。実はこれ、私が川崎製鉄(編集部注:JFEスチールの前身の1社)に入社するきっかけになった1冊なんです。修士課程修了を控えて、このまま大学に残って研究を続けるか、それとも企業に就職するか迷っていた時期、この本に出会いました。情報流通によって、社会が変わる。著者のそんな主張を読み、強い衝撃を受けた。そうしたらちょうど、川崎製鉄が情報関連事業を立ち上げるため人員を募集していた。これはと思い応募したところ、無事採用されました。物理学専攻だったのでITは専門外でしたが、新規事業ということで“初心者歓迎”だったのが幸いしたんでしょう(笑)。

専攻したのは物理学ですが、数学者に憧れます。数学って、俗をそぎ落とした最も純粋な学問なんです。物理の世界も、最終的には数論に行き着きます。万物は数字に帰すと思うんですよ。「フェルマーの最終定理」は、そんな純粋な学問に人生を賭ける人々を描いたノンフィクションの力作です。天才数学者は、いかにしてこの難題に取り組み、成功したか。読み応えがありますよ。

連日の残業。厳しい納期。そんなストレスだらけのなか、どうモチベーションを保つか。ITエンジニアに共通する悩みだと思います。それを解決するヒントを与えてくれるのが、「誰も書かなかったSEサバイバルガイド」です。厳しい労働環境のなかで生き残る術はズバリ、やりたいことしかやらないこと。著者はこれを「悪魔の流儀」と呼び、その実践法を4コマ漫画を交えて解説しています。ただ「自分本位に振る舞え」と言っているわけではありません。やりたいことを徹底するには、一本筋の通ったポリシーを持ち、周囲に働きかけること。著者の本来の主張はそこにあります。この悪魔の流儀をマスターしたメンバーが1人いると、チーム内に自由な発想が生まれるんじゃないか。ルールに従う行儀のいいメンバーばかりだと、組織の変化対応力が失われるんじゃないか。読み終わって、そんなことを考えました。

厳密には書籍ではないかもしれないけれど、「東京時代MAP」をいつも鞄に入れています。書店でふと目に留まり、購入しました。現代の地図がトレーシングペーパーに印刷されていて、江戸時代の地図と重ねて見られるんですよ。出先から直帰するときなんかによく、そのエリアのページを見ながら1〜2駅分、歩いてみる。おもしろいですよ。道すがら、「今はコンビニだけど、江戸時代はここに藩邸があったのか」といった発見があります。街の風景が違って見えます。

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