[ユーザー事例]

ユーザーが実際に体験したこと (Part 3)

2011年6月14日(火)

「技術の限界」を常に意識し 合理的な備えに知恵絞る 今回の大震災において、ユーザー企業の情報システム部門は何を経験し、どう行動したのか。 いくつかのユーザー企業の対応からは、企業情報システムが見据えるべき 今後の教訓が浮かび上がってくる。栗原 雅/鳥越 武史[ 編集部 ]

東日本大震災は、東北地方や関東地方に拠点を置く企業に大きなダメージを与えた(表3-1)。その時、企業のITインフラや業務システムは、どのような状況に直面し、反省点として何が明らかになったのか。いくつかの企業の実態を見ていこう。

表3-1 今回取材した主なユーザー企業の被災状況
ユーザー企業名 概要
JFEスチール 東日本製鉄所(千葉・京浜地区)の高炉を生産設備などの点検のために一時停止(現在は通常操業)。グループ会社のJFE条鋼仙台製造所と東北スチールに被害
ツムラ 茨城工場を生産設備などの点検のために一時操業停止(現在は一部を除いて通常操業)。石岡センターを一時操業停止(現在は通常操業)
富士フイルム
コンピューターシステム
(富士フイルムグループ)
東北に物流センターがあるグループ会社に建屋損傷が発生。原子力発電所の避難地域に立地していた2個所のグループ会社の生産工場の従業員と家族を東京に避難
山崎製パン 仙台工場に建物及び設備の一部に損傷等の被害が発生し、一時操業停止(2011年3月23日から順次復旧)
ヤマトホールディングス 東北の11店舗が全壊、9店舗が半壊(使用不能)。一部損壊(使用可能)が東北/関東地方で61店舗(2011年4月22日現在)
リコー 神奈川県の厚木事業所や、東北/関東のグループ会社5社が一時操業停止(2011年3月15日から順次操業を再開)

1. コミュニケーション・インフラ
過度の「携帯依存」は危険
複数手段の組み合わせを

災害時、何よりも優先しなければならないのは「人命」だ。この震災においても、各企業は真っ先に従業員の安否確認に注力した。ただし、そこには思わぬ落とし穴があった。携帯電話が「使えなかった」のである。

個人に普及した携帯電話は、安否確認にうってつけと思われていた。有事に、メールや機械音声などで自動的に従業員の状況を確認する「安否確認サービス」(本号「製品サーベイ」参照)を導入する企業は増え、平時の訓練では効果を確認できていた。ところが“想定外”の規模の地震においては十分に機能しなかった。

基地局の被災や断線によって被災地で携帯電話が不通になっただけでなく、首都圏においても広範につながらない状態が続いた。携帯キャリア各社が、重要通話を確保する目的で通信規制に乗り出したからだ。音声より通信負荷の小さい携帯メールについても、送信の集中でメールサーバーの負荷が極度に高まったことなどで大幅な遅延が生じた。

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