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日産自動車、マイクロソフトと販売店向けシステムを共同開発、日本品質の顧客サービス“おもてなし”を全世界に展開へ

2011年12月27日(火)IT Leaders編集部

新興国に新設する事業拠点の情報システムをどう構築するか?国内で稼働中のシステムを修正して適用するのも、パッケージソフトなどを利用して構築するのも、無理がある。米マイクロソフトと組んでクラウドベースのシステムを新規に構築、世界のどこからでも利用できるようにすることで問題の解消を図るのが、日産自動車だ。

同社は2011年12月、日産自動車の販売店が利用するディーラーマネジメントシステムを米マイクロソフトと共同で構築すると発表した。マイクロソフトの「Dynamics CRM」を基に、クラウドサービス「Azure Platform」経由で提供するシステムを構築。まず日本で利用を開始し、全世界の販売店への展開を目指す。

ディーラーマネジメントシステムとは、自動車の顧客情報や、部品の故障/交換履歴などを管理する販売店の業務を担う中核システム。発表会に登壇した行徳セルソ日産自動車グローバル情報システム本部長(CIO)に言わせれば、「ロシア、中国、ブラジル、タイ、インドネシアなど、グローバルに事業展開する上で必須のシステム。ブランド力と販売を支える根幹」だ。

日産自動車は、20年近く前に構築したシステムを使い続けてきたが、「機能拡張を繰り返してきたことでシステムが複雑化し、改修が困難になった。目まぐるしく変化する市場ニーズに迅速に対応するためには、システムのシンプル化が不可欠だった」(同)。例えば今後をにらむと、ソーシャルメディアの情報を取り込んだり、カーテレマティクスと連携したりといったことが必要だが、改修は容易ではない。当然、既存の日本の販売店向けと新興国の販売店向けでは、求められる業務プロセスや機能も異なる。

新たに構築するシステムでは、不要なプロセスを排除して標準化/シンプル化を実施。市場ニーズに合致するプロセスだけ使い続けるようにする。一方で、ローカルごとに異なるプロセスや日産独自のプロセスを取り入れられるようにすることも検討する。「Dynamics CRMを採用した理由の1つに、グローバルで用いる共通プロセスとローカルごとに異なる独自プロセスを管理できる点がある。全販売店でシステムを一元化することで、運用コストを15~20%削減できる」(行徳氏)。

開発に当たって中核に置くコンセプトが「顧客中心」と「おもてなし」の2つ。「既存のディーラーマネジメントシステムは管理する情報の中心に“車”をおいていた。新システムでは顧客にする。そうすることで、顧客がどの販売店に行っても、おもてなしの対応ができるようになる」(同)。

ソーシャルサービスと連携する機能も備える。例えば口コミ情報から自社の車に対するイメージや不満などを収集。市場のトレンドを的確に把握できるようにする。タブレット端末にももちろん対応し、販売員の的確な顧客応対によるサービス向上に結び付ける考えだ。今後はSCMとも連携し、車や部品の納期なども可視化する予定だという。

新システムは、パイロット版の運用を2012年12月までに開始し、2013年4~9月に国内の一部のディーラで正式な運用開始を目指す。2013年末には海外も含めた全ディーラに展開する予定。海外の中でも、成長著しい中国やタイ、インド、インドネシアといったアジアへの展開を早急に進めていく。

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