情報の分野では様々な3文字の用語が使われる。必ずしもきちんと定義づけられた専門用語ではない。むしろ多くがマーケティングのためだったりする。事業部門出身だったせいか、筆者も3文字用語にはずいぶん悩まされた。たった1つの訳のわからない用語で文脈や思考や理解が途切れるのだ。会話の中で使われたら、知らない者にはたまったものではない。
その感覚から筆者は、経営層と話す時には3文字用語を使わないように努めた。そうしなければ間違いなく忌避されるし、コミュニケーションを悪化させるだけだからだ。仲間内で使うにしても、正確な意味を理解しないままお互いがわかったような気になっていることが多いので、注意が必要だ。
2つのMDM、BYODも登場
3文字用語で最近よく耳にする言葉に「MDM」がある。待ち合わせ場所の符丁で使われるMDM(明大前:東京の地名)は別として、情報用語として2つあるから厄介である。マスターデータ管理(Master Data Management)とモバイル端末管理(Mobile Device Management)だ。
本誌読者の皆さんには自明のことだが、マスターデータとは業務で使う基本情報のこと。商品や部品、顧客、社員、会計科目など様々なマスターデータが、コンピュータの有無に関わりなくある。小さな事業なら台帳で済むが、多くは情報システムに組み込まれる。
これが悩ましい問題を生んだ。1990年代のオープンシステム以降、部門や事業所などでシステムが個別に作られてきた。その結果、マスターデータがあちこちに散在し、全社的な視点で見た時や複数システムを連動させる時に、データの不備や不整合が起きる事態になったのだ。これに対し、複数のマスターデータを統合化して整合性を保ち、管理を容易にするのが1つめのMDMだ。潜在的な課題でありながら、なかなか解決できていない問題である。
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