富士通は4月23日、大量データの処理を支援するミドルウェア群を発表した。2012年1月に提供開始したクラウドサービス「データ活用基盤サービス」で使用するミドルウェア群をパッケージ化したもの。
ソーシャルメディアやセンサーなどが生成する大量のデータを収集、分析するための環境を自社システムとして構築できるようにする。2012年3月には、第1弾としてApache Hadoopの単一障害点などを解消した企業向けディストリビューション「Interstage Big Data Parallel Processing Server V1」を発表している。
今回は、新たに3つの製品を追加した。1つめは、複合イベント処理(CEP:Complex Event Processing)を実現するミドルウェア「Interstage Big Data Complex Event Processing Server V1」。予め設定したルールに従って、センサーなどから刻々と寄せられるデータをリアルタイムに処理する。
2つめは、分析ソフトウェア「Interstage Business Analytics Modeling Server V1」である。機械翻訳技術を用いて、日本語のテキストを解釈。そこから得られた情報を相互に関連付け、将来予測などを行う。ある製造業は、過去のトラブルやクレームの記録を分析し、自社製品に潜む不具合の発見に活用しているという。
3つめは、インメモリーの分散キャッシュ環境を提供するミドルウェア「Interstage eXtreme Transaction Processing Server V1」。データをメモリー上に保持して、データベースのディスクI/O回数を削減。トランザクションの高速化を可能にする。
機能面や性能面で、今回発表した各ソフトウェアとデータ活用基盤サービスの間に基本的に違いはない。ただし、バッチ高速化のように、社内システムのデータを処理対象とする場合、データをアップロードする必要のないオンプレミス型の方が向く。また、社外にデータを出すことに抵抗がある場合も同様である。
一方、ソーシャルメディア分析のように既存システムとの関係性が薄い場合、あるいは、パイロットプロジェクトのように初期投資を抑えたい場合は、クラウドの方が優位になる。目的に合わせた使い分けを推奨するという。
各ソフトウェアは、相互にデータをやり取りするための仕組みを備えるほか、操作方法を統一するなど一体感を打ち出す。今後もデータ活用基盤サービスの各機能をパッケージとして提供する予定。「クラウドサービスとオンプレミス向けパッケージを合わせ、月あたりの売上高を早期に1000億円以上にしたい」(クラウドプラットフォーム開発本部長の今田和雄執行役員)。
富士通 / Hadoop / Interstage
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