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標準開発工期は投入人月の立方根の2.4倍——JUAS「ソフトウェアメトリックス調査」から

デスマーチ(death march)−。元々は軍隊での苛烈きわまりない訓練・行軍を指す言葉だが、IT業界では、とても成功するとは思えない開発プロジェクトの有り様を指すものとして使われる。現場のエンジニアがいくら長時間労働で頑張っても明るい未来が見えてこない状況が、あたかも「死の行進」に重なって映るのだ。

要員の絶対的な不足、開発期間や予算についての甘い見積もり、ユーザー企業からの厳しい要求、再三の仕様変更…。あまりの負荷に耐えかねて体調を崩すメンバーが出てくると、さらに現場は悪循環に陥る。

破綻に向かうプロジェクトの要因は様々だが、根本的には、システム開発において一般的に通用する「常識値」が無いことを指摘する声は多い。生産性・品質・工期・価格などに関する、実績に裏付けられた管理指標とも換言できるだろう。

こうした問題意識の下、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、ソフト開発・保守・運用にかかわる代表的な指標を打ち出すべく活動を続けている。「製造業などでは商品の品質や価格、納期などの常識的な目標値が存在する。ソフト産業が健全に発展するには同じようにプロダクト志向の発想を取り入れ“見える化”を徹底しなければならない」(JUAS専務理事の細川泰秀氏)。

例えば標準的な開発工期について導き出したのが「投入人月の立方根の2.4倍」(単位は月)という指標である。これは同協会が実施した「ソフトウェアメトリックス調査2007」で明らかになったもので、102社、357の開発プロジェクトの実態データを収集・分析して算出している。

この計算にのっとれば、1000人月を投入するプロジェクトの場合は24カ月、つまり2年の工期を設定するのが標準的だと分かる。何らかの事情により、この工期より急がなければならないケースでは、その短縮率を計算して対策を考えるべきだとJUASは指摘。それでも「短縮率が30%以上の開発は無謀であり品質を確保できない。まさにデスマーチをまっしぐらに進むことになる」(細川氏)と警鐘を鳴らす。無闇に開発を急ぐのは百害あって一利無し。標準的な開発工期を勘案して、時には機能を削る英断も必要だ。

もちろん、すべての企業に当てはまる万能の指標ではないが、これまでの工期や品質などの実績と照らすことで自社なりの基準値を探れるだろう。「きつい」「帰れない」「給料が安い」など新3K職場と言われるIT業界。明るい産業として前進するには、システムを発注する側のユーザー企業の見識も不可欠だ。しっかりとした指標を持ち、勘、経験、根性への依存から脱却することが求められる。

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