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PART5 ERP中心から汎用指向、SOA基盤まで 主要MDM製品の特徴を見る
主要製品のポジショニング
一口にMDM製品といっても、現在のところコンセプトや用途は様々だ。
対象システムを問わない“汎用”を指向した製品が、IBMの「IBM InfoSphere Master Data Management Server(以下InfoSphere MDM Server)」と、インフォテリアの「ASTERIA MDM One(以下MDM One)である。いずれも特定のERPやCRMといったパッケージではなく、様々なシステムに存在するマスターの連携・管理用途を想定している。
SAPジャパンの「SAP NetWeaver Master Data Management(NetWeaver MDM)や日本オラクルの「Oracle MDM Data Hub(Data Hub)」は、それぞれのERPパッケージに含まれるコンポーネント同士のマスター連携からスタート。既存システムや他社のパッケージ・ソフトへと連携対象を広げている。ただしNetWeaver MDMはSOAの基盤ツール、Data Hubは顧客データと製品データにフォーカスする、といった位置づけが異なる。
これらの中間的な存在がサン・マイクロシステムズの「Sun Master Data Management Suite(Sun MDM)」だ。SOAを実装するためのソフトウェア基盤であるSun Java CAPSの一機能要素という位置づけであり、Sun MDM単独でも販売される。
なおマスターデータ管理に使える製品は、これらのほかにもある。データウェアハウス製品などの一部も、MDM的な機能を備えているのだ。日本テラデータの「Teradata Warehouse」、インフォマティカ・ジャパンの「Informatica PowerCenter」、日立製作所の「uCosminexus Information Federator」がその例である。例えばデータウェアハウス構築を前提に、マスターの整備を目指す場合に選定対象になるだろう。
マスターデータ統合の方法
MDMツールを使って、どのようにマスターデータを統合し、管理するのか。分散して存在している複数の既存システムからマスターデータを抽出し、フォーマットを変換したり、欠損あるいは不正確なデータを修正するクレンジング(洗浄)、そしてマスターの統合管理と配信といった大きな流れは共通している。
顧客マスターなどを統合する際には、この段階で名寄せが必要になる。同じ会社であってもマスターに登録されている社名の「(株)」の表記の仕方や英文字とカタカナの違いなどによって、コンピュータ上では同一の会社として扱われないといったことは、よく知られている問題だ。同一社名でも事業所の住所が異なっているがゆえに、違う会社と認識してしまうケースもある。最近では、ある時期を境に社名が変わっているというケースも多い。
名寄せなどの処理をどう効率化するかはマスターデータ統合の大きな課題だが、自動的にこなせるMDM製品は今のところ存在しない。例えばInfoSphere MDM Serverには、「InfoSphere QualityStage」という名寄せのためのソフトがあるが、これで自動化できるわけではない。MDM Oneでは、このあたりの機能をソフト製品ではなく、サービスとして商品化している。
一方、統合後のマスターデータ管理、マスターデータ配信には大きく2通りの方式がある。データハブ型と統合マスター型である。データハブ型は、簡単に言えば任意の既存システムのマスターを「リファレンスマスター」とする方式。既存システムのいずれかをハブにして、マスターを連携させる。分散しているシステムが少ない、つまり比較的小規模な用途に向く。
これに対し統合マスター型は専用のマスターデータベースを構築。そこにすべてのマスターを集約・管理・配信する。より本格的なMDM向けの製品であり、たとえば日本IBMのInfoSphere MDM Serverは、「最大2億件の顧客を持つ企業での運用実績がある」という。多くがこちらの方式だが、インフォテリアのMDM Oneはデータハブ型を採用。準大手から中堅クラスの企業向けを想定しているのに加えて、MDM実現のための費用を低減できるからだ。ただし同社は今秋、統合マスター型を構築できる「MDM One MI」という製品の出荷を予定している(図1)。

コンサルティング/テンプレートなど周辺サービス
マスターデータ管理製品の導入コンサルティングについては、「個別応談」が基本だが、SAPやオラクルが計画から構築、運用まで含むサービスをメニュー化している。例えばオラクルはAIM(Application Implementation Method)という方法論を用意し、フェーズごとにタスクと目標を明確にして、プロジェクトを進める。
テンプレートについては、SAPがSAP ERPのオブジェクト・モデルと同様の顧客、従業員、製品、取引先などの事前定義済みのスキーマを提供しており、インフォテリアはASTERIA MDM one GTというテンプレートの提供を含むコンサルティング支援サービスを今年秋に開始する予定だ。テンプレートがどこまで使えるかは不透明だが、マスターデータ統合に取り掛かるための敷居を引き下げる意味はある。
ライセンス体系
SAPとOracleは、ライセンス価格を公開しておらず、個別に問い合わせるしかない。事実上、ERPパッケージなどとの一括ライセンスになるためと見られるが、他社と比較検討しやすくする意味でも、ライセンス価格、あるいは典型的なケースを想定した価格を公開すべきだろう。一方、明確に回答したのはインフォテリアで中核MDM製品の「MH」が400万円から。これが高いか安いかは別にして、指標の一つになるだろう。
今後の展開
各社とも連携対象とするパッケージ製品の拡充やデータモデル/テンプレートの充実に力を入れる考えだ。「11月のバージョンアップでは、1つのデータベースに複数のマスターを持たせることができるなど、データ設計の制限を緩和する」(SAPジャパンの山澤 雅史NetWeaver担当部長)といった動きもある。
SaaSやBIツール、業務アプリケーションとの連携の強化も各社共通である。オープンコミュニティ上で設計・開発を進めるサン・マイクロシステムズでは、コミュニティからの製品に対する要望を積極的に取り入れていくという。
換言すれば、各社の製品はまだ発展途上の段階とも言える。本特集の冒頭で示したように、マイクロソフトも2009年にはMDM製品をリリースする。今後、選択肢はさらに広がりそうだ。
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