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Part1 BI解体新書
BIが再び重要テーマになりつつある。背景には2つの動きがある。
1つは企業側の事情による。景気後退によってIT投資も制限される中、使途により厳しい目が向けられる。このフェーズでは「既にあるもの」を有効活用しようという機運が高まる。システムの棚卸しなどに話が及んだとき、「様々なデータを蓄積しているのに十分に活かせていない」との議論が巻き起こるのが常だ。IT投資のマインドが内向きに振れる中、本当の「情報資産」としてデータを分析し、使い倒すための基盤が求められている。そうでなくても不確実で変化の速い現在においては“データに基づく経営、事業展開”は必然なのである。
2つめはITベンダー側の盛り上がりである。2007年、オラクルやSAP、IBMが立て続けに大手BIツールベンダーを買収。各社とも自社の技術や既存製品との統合を進め、ここへ来てやっとラインナップやマーケティング戦略が明確になってきた。それを受けて、顧客企業に対し、積極的に営業攻勢をかけ始めたのである。
いずれにせよ、経営の「見える化」や「意思決定のスピードアップ」は企業に共通の課題であることは事実。BIは昔からある概念だが、製品の機能は確実に強化されている。この古くて新しいBIが今、再び活況を迎えようとしている。
加速するスイート化の波
あらためてBIとは何かを整理しておこう。BIとは、業務システムなどで蓄積するデータを分析・加工して、経営上の意思決定に役立てる手法を指す。こう書くと何やら仰々しいが、要は「情報活用」である。古くはメインフレーム全盛期に「DSS(意思決定支援システム)」と言われていた仕組みや、その後のOLAP(オンライン分析処理)やデータマイニングといった概念もBIの範疇に含まれる。
データを様々な視点で眺めることで気づきを得て、業務に役立てる。この仮説検証を支えるのがBIツールであり、経営のPDCAサイクルを加速させる基盤となる。
詳しくはPart3に譲るが、BIツールは時代と共に着実に進化を遂げてきた。最近のトレンドは「スイート化」である。業務系の複数のシステムに散在するデータを抽出・変換・ロードするデータ統合ツールや、高度な手法で近い未来を予測・シミュレーションするツール、個人ごとのポータル画面を用意し経営指標をグラフなどで可視化するダッシュボードなど、経営分析や意思決定に役立つ機能をひとまとめにした統合製品が登場し始めている(図1-1)。かつては分析やレポーティングを担うフロントエンドのソフトをBIツールと呼んでいたが、今はその枠を広げ情報活用基盤全体をBIツール群と呼ぶ傾向が強まっている。
道具がますます充実する中、いかにそれらを使いこなすかの知恵が企業の競争力を左右する。情報と行動の間にある「溝」をどう埋めるか。2009年が幕を開けた今、企業はそのためのシナリオを描くことに思いを巡らせなければならない。
Interview
BI導入はシステム部門の株を上げる好機

生熊 清司 氏
アイ・ティ・アール シニア・アナリスト
photo:ITR
ITに限らず、どんな商品を買う場合も同じですが、よい買い物をしたければ、製品そのものをよく知ることが基本中の基本です。これはBIの世界だって例外ではありません。
メガベンダーは「うちの製品は標準的な規格に準拠しているので他社製品とも自由に組み合わせられる」と口を揃えるでしょうが、できれば自社製品一色に染めたいところ。各社の製品を扱うSIerだって、その時々の都合で構築しやすい製品や利益率の高い製品を売りたいと考えるのが普通です。だからこそユーザーが「業者へ丸投げ」の姿勢では、望み通りの買い物などできません。もっともっと目が肥えないとならないのです。
この点、日米のユーザー企業のIT部門には実力差があると感じます。米国企業ではCIO(最高情報責任者)が中心となって、技術や製品について相当の知識を持っている場合が多い。他のシステムに影響を与えない「サンドボックス」内で、新たな製品や技術に対してR&D部門のような技術検証をする部隊を持つ例も少なくありません。経営陣と議論しながら合理的な理由で導入製品を選択し、投資したからにはとことん使い倒す姿勢が一貫しています。
日本は違うとか、企業文化の違いと簡単に片付けては国際競争に勝てません。日本の情報システム部門は、ITによる経営貢献を考えたパフォーマンスを上げることを意識しなければなりません。バックオフィスではなく戦略部門としてもっと最前線で活躍すべきだし、そうした企業には競争力が宿ると思うのです。
その点、BIの導入プロジェクトは情報システム部門の存在価値をアピールする絶好のチャンスです。どの指標をどういうタイミングで見て、どう行動を起こすかは企業戦略と表裏一体であり、当然のことながら経営層を巻き込んで検討しなくてはなりません。一方、業務の現場に対しても、必要な時に必要な情報を見られるようにすることでビジネスの最前線での効果を訴求できます。
適切な選定プロセスを経て導入したBIシステムは、間違いなく企業の「反射神経」を鋭くします。その基盤を作れるのは、経営者でもなく現場担当者でもなく、ベンダーでもない。横断的な人脈や知識を持った情報システム部門の出番であり、その実力が試される場だと思うのです。自覚と責任を持って、ITリーダーはもっと表舞台に立つ存在であってほしいと願います。 (談)
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