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正確なデータ入力一体型サービスも登場—携帯電話や他サービスとの連携も進む

名刺データ管理サービス/ソフト
様々なビジネスシーンで毎日のように交換する名刺。それは新たなビジネスに発展する可能性を秘めた貴重な財産だ。だからこそ、組織的にきちんと活用できる体制を整えることが大切となる。幸い、名刺データ管理のサービスやソフトが充実してきている。一期一会の縁をビジネスに生かすために、最新製品の動向を是非おさえておこう。

人脈形成や新たな商談の起点となる名刺交換。だからこそ、部署単位などで名刺データを効率的に管理・共有したいというニーズは根強くある。だが、名刺に書かれた名前やメールアドレスの文字をいちいち手入力でデータ化するのは面倒であり、組織的にはなかなか長続きしない。せいぜい個人が名刺の束を「紙のまま」五十音順などで保管し、必要な時に互いに声を掛け合って参照させてもらうというのが現実解だったのではないだろうか。

こうした中、組織での活用に焦点を当てた名刺データ管理のサービスやソフトが充実してきている。OCR(光学的文字認識)ソフトと目視によるデータ修正を組み合わせた精度の高いデータ入力サービス、他の業務システムとの連携、携帯電話からの名刺データ参照などが特に目新しい機能だ。

OCRと目視チェック
データ精度は公称99.9%以上

名刺情報の管理・共有において一番やっかいなのは、名刺に記されている文字を「データ化」することにある。スキャナで名刺イメージを読み取り、OCRソフトでデータ化するのが一般的だが、その認識率は決して高くはない。漢数字の「二」をカタカナの「ニ」と認識してしまうような例が少なくないからだ。一定の効率化は図れるが、その後のデータ修正作業はユーザーに負荷をかける。

ここに目を付け、データ修正作業も含めた名刺管理サービスが登場し始めた。代表的なのはイーシステムの「アルテマブルー」と三三の「Link Knowledge」である。2製品とも、名刺情報のデータ化から管理・共有までの機能を統合的に提供することを狙っている。まずはこの2製品の特徴を詳説し、最新の動きを追っていこう。

イーシステムと三三の2社ともに名刺情報のデータ化について「精度は99.9%以上を標榜している」と口を揃える。この水準を保っているのが「目視による確認・修正」だ。

2製品の名刺情報データ化のプロセスはほぼ共通している(図1)。ユーザーはまず、購入もしくは貸与されるスキャナを使って名刺を読み取る。イメージデータはすぐにインターネットを介してサービス業者側のサーバーに送られ、さらにOCRソフトによって文字データに変換。その後、専任オペレータが認識結果と元イメージを付き合わながら確認し、誤りがあれば手作業でデータを修正する。最終的な名刺データは業者が用意するデータベースに格納され、ユーザーはインターネットを介して閲覧できるというものだ。名刺の量にもよるがスキャナで読み取って翌営業日にはデータがアップされる。

図1 目視によるデータ精査を取り入れた統合的な名刺データ管理サービスの名刺データ化の流れ

アルテマブルーの場合、専用スキャナを接続するPCはユーザーが別途用意し、これに名刺スキャン・イメージ送信用のソフトをインストールする。Link Knowledgeでは、スキャナの他に名刺スキャン・イメージ送信の専用端末も合わせて提供される。「自社PCへのソフトインストールを制限している企業でも容易に導入できるよう配慮した」(三三代表取締役社長 寺田 親弘氏)。

データ精査プロセスについては、両社ともに複数のオペレータで多重に確認・修正している。ここでアルテマブルーでは精度向上のためのユニークな仕組みを取り入れている。独自の「イメージ領域分割処理」技術を使い、スキャンした名刺イメージから会社名、名前、住所など細かい単位に自動分割。オペレータに、確認対象が名前なのか住所なのかといった項目をあえて意識させないことで先入観によるミスを最小限に抑える。オペレータは名刺の全体イメージを見られないので、「セキュリティを気にするユーザーにも受け入れられやすい」(イーシステム取締役ASP本部長 三浦 直樹氏)という。

CRMソフトなどと自動連携
携帯電話からも閲覧できる

ほかにもビジネスでの利用を前提にした機能が多数備わる。代表的な機能をまとめたのが表1だ。

表1 目視によるデータ精査を取り入れた統合的な名刺データ管理サービス(料金は税別)

目玉の1つが、他製品・サービスとの連携である。中でも顧客情報管理(CRM)製品への自動データ転送機能が注目だ。アルテマブルーは日本オラクルのSaaS型CRM「Oracle CRM On Demand」と自動連携する。一方のLink Knowledgeは、SaaS型CRMアプリケーション「Salesforce CRM」との自動連携に強みがある。

アルテマブルー、Link Knowledgeとも、ほかにも多数のCRMソフトウェアと連携させることができるが、現状ではCSVファイルや各ソフト専用フォーマットを介した手動でのインポート/エクスポートが多い。両社とも今後はより多くのアプリケーションとの自動連携を促進する考えである。

携帯電話から名刺データを閲覧する機能も急速にニーズが高まっており、2製品とも対応済みだ。オフィスの外でも連絡先を調べられ、ワンタッチで電話できるという利便性が受けている。各社が用意するサーバーに携帯電話から直接アクセスして必要な名刺データを検索・閲覧できる。

アルテマブルーでは、携帯電話向け地図・乗り換え案内サービス「NAVITIME」(ナビタイムジャパンが提供)を標準で利用可能だ。携帯電話のGPS機能とも連携しており、出先での移動時に便利に使える。たとえば営業担当者が取引先に突然呼ばれたとき、すぐに名刺データから住所を調べ、現在地からもっとも効率的な経路を確認し、地図を参照しながら駆けつけられる。

OCRパッケージ製品群も充実
複合機や専用ハードなどと連携

これまで見てきた2製品とは異なり、ユーザー自身がデータをチェック・修正することを前提とした名刺管理システムにおいても選択肢は広がっている。多くはOCRソフトと組み合わせたソリューション製品で、様々な提供方式やサービス形態が存在する(表2)。

表2 OCRソフトを組み合わせた主要な名刺データ管理パッケージ(価格は特記なき場合は税込)

その一角にあるのが複合機と組み合わせた製品だ。大塚商会の「セキュア名刺管理ソリューション」は、リコーの複合機とメディアドライブのOCRパッケージ「名刺ファイリング・サーバー」をセットにしている。キヤノンマーケティングジャパンの「ScanToOffice Pro」は、キヤノンの複合機「Color imageRUNNER」「imageRUNNER」専用のソフトウェアという位置付けだ。複合機のタッチパネルを使って、名刺イメージの転送やOCR処理を簡単に指示できる。10枚までの名刺を同時スキャンし、1枚ごとに自動分割して処理する機能を備えている。

企業向けに名刺データ入力に特化した専用機器を用意しているのがビジカ・ビジネスシステムの「BusicaFE」だ。駅の券売機を思わせるハードウェアにはFeliCaカードリーダや名刺挿入口が備わる。ICカード(Suicaやおサイフケータイでも可)で個人認証した後に挿入口に名刺を入れると、内部のスキャナでイメージを読み取り、さらに名刺は鍵付きの収納箱に収まるよう工夫されている。イメージはネットワークにつながった管理者用PCに転送し、そこでOCRによりデータ化。標準では、各自が入力処理した名刺だけが閲覧できる。個人裁量による名刺の現物管理を止め、高いセキュリティ体制の下で名刺データを活用できることが特徴である。

携帯電話からの名刺データ閲覧については、インターネット上のオンラインストレージを介する方式が主流だ。前出のBusicaFEやパナソニック ソリューションテクノロジーの「名刺読取革命」、メディアドライブの「やさしく名刺ファイリングPRO」は、NTTコミュニケーションズの有料オンラインストレージサービスを利用する。OCRソフトでデータ化した名刺情報をオンラインストレージにアップロード、携帯電話で専用サイトにアクセスして閲覧する。

一方、自社ネットワーク内でのサーバー運用で携帯電話からのアクセスを実現する製品もある。例えばメディアドライブの「名刺ファイリング・サーバー」は、セキュリティ上で社内ネットワークに影響を与えないDMZと呼ぶ領域にWebアプリケーションサーバーを設置して実現する。

管理特化型から携帯サービスまで
裾野広がる関連製品・サービス群

OCRソフトを備えず、データ化後の名刺管理に特化した製品もある(表3)。マイクロソフトの「Office InterConnect 2007」は、名刺情報に面会記録や会議メモなどの関連文書を紐付けて一元管理するソフトだ。同社の電子メールソフト「Outlook」の連絡先データと同期し、送受信したメールも管理。その人との関係を芋づる式にたどって把握することが可能となる。

表3 OCRソフトを含まない主要な名刺データ管理サービス/ソフト(価格は特記なき場合は税込)

スキャンアールの「scanR」は、名刺管理だけでなく名刺画像のスキャンまでをカメラ付き携帯電話で行うユニークなサービスだ。名刺を携帯電話のカメラで撮影した後、同社のサーバーに送信。OCR処理後のデータを携帯電話から閲覧・修正できる。「Salesforce CRM」との名刺データの自動連携も可能。名刺に限らず、ホワイトボードの画像や書類の撮影データにも利用できるのが特徴だ。

個人単位で気軽に始められる名刺データ管理製品

PFUの「ScanSnap S510」 写真 PFUの「ScanSnap S510」

当面は会社や部署単位での名刺データ管理を行う予定がないので、まずは個人単位で名刺のデータ管理を始めたいというニーズもあるだろう。「企業内個人」として手軽に取り組める名刺管理製品がいくつか市場に投入されている。うまく使いこなせばその便利さが噂になり、やがて組織的な名刺データ管理へと結びつくかもしれない。

代表格はPFUの「ScanSnap」(写真)とキヤノンの「imageFORMULA」シリーズだ。両製品とも専用スキャナにOCRソフトを同梱。スキャナで読み取った名刺画像をデータ化して管理できる。名刺データをエクスポートできるので、OutlookやInterConnectなどのソフトウェアとのデータ連携も可能だ。

ほかにも小型スキャナ同梱のOCR製品は多数あるが、名刺を手差しで一枚ずつスキャンする必要がある。上記2製品はスキャナに名刺ホルダーを用意。複数枚の名刺を連続でスキャンできる効率の良さが売りだ。

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