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「集約・統合」が加速するIT基盤 仮想化、ブレード、ストレージの展望
1990年前後から、大型汎用機で行ってきたシステム構築を、小型コンピュータが取って代わるという分散化が進んできた。これは、ハードウェアとネットワークの進化によるところが大きい。ハードウェアにおいては、パソコンやUNIXワークステーションといった小型コンピュータの価格性能比が飛躍的に高まった。一方のネットワークについては、イーサネットやTCP/IPを用いた高速で安価な技術が普及してきた。
しかし、最近はシステムの統合化・集中化の議論が盛んになっている(図1)。小型コンピュータを活用したシステムの分散化により、各種機能を実現するシステムが乱立し、システムの規模も肥大化した。これにより管理コストが増大し、情報セキュリティ上の問題も目立つようになってきたからである。
こうした状況を受けて、ソフトウェアメーカーは、サーバーの仮想化によって統合化・集約化の環境を整える方向で、製品機能の拡充を図っている。ハードウェアメーカーはブレードサーバーやストレージシステムなど、ハードウェアの物理的な集約を主眼とした製品ラインナップを強化している。
これらの最新テクノロジは、企業がIT基盤に求める要件をどれだけ満たすものだろうか。以下では、仮想化、ブレードサーバー、ストレージシステムという3つのプラットフォーム技術の現状と展望を見ていく。
ネットワーク、ストレージ
サーバーで普及する仮想化
最初に仮想化について見ていこう。仮想化技術はサーバーだけでなく、ネットワークやストレージなど色々なプラットフォームにおいて浸透してきた。その技術的な位置づけを端的に説明すると、以下のようになる(図2)。
(1) 単一であるものを擬似的に複数に見せる技術
(2) 複数であるものを擬似的に単一に見せる技術
これら2つを組み合わせたケースも考えられるが、基本的には上記のどちらかの特徴を持っている。
仮想化技術そのものは決して新しい概念ではない。すでにさまざまな分野で当たり前のように利用されている。ネットワークの分野ではVLAN(Virtual LAN)や、VPN(Virtual Private Network)と呼ぶ仮想化技術が普及している。VLANは、物理的な接続形態から独立した論理的なネットワーク構成を実現するもの。上記のパターンで言うと、(1)に相当する仮想化技術だ。VPNは多数の人が利用するインターネット空間を1人が利用するプライベート空間として見せる仮想化技術で、上記の(2)に当たる。
ストレージ分野の代表的な例としては、ハードディスクのパーティショニングと、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)がある。物理的に単一のディスクを、論理的に複数のパーティションに分けるパーティショニングは、(1)のパターンの仮想化技術だ。これに対して、複数のハードディスクを1台のディスクとして管理するRAIDは2のパターンである。大規模ストレージで用いられるLUN(Logical Unit Number)は、複数のハードディスクを集約したディスクグループから、一部を論理的なディスクとして切り出すもので、(1)と(2)を組み合わせた仮想化技術といえる。
サーバーの仮想化技術も幅広い。その1つがグリッドコンピューティングだ。複数のリソースを集約して単一システムとして稼動させるグリッドコンピューティングは、(2)のパターンのサーバー仮想化技術。一方、最近になって急速に活用が広がり始めているのは、単一の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを稼動させる、(1)のパターンの仮想化技術である。本稿では、主に後者の仮想化技術について考察する。
サーバーの仮想化に注目が集まる3つの理由
実は、サーバーの仮想化技術は、とりわけ新しい技術というわけではない。メインフレームなどでは、1960年代から仮想化が使われている。IBM社のz/VMの起源とされる仮想化OS CP-67/CMS(1967年)はまさにメインフレーム時代におけるサーバー仮想化技術の代表である(文献[1])。
参考文献[1]
中島丈夫:特集「仮想化の正体」(4)Part4源流/TSSが発端、仮想マシンの40年、ITレポート、ITpro、(2005)、http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20051128/225236/?P=1&ST=system
1990年代後半以降には、商用かオープンソースを問わず、x86アーキテクチャ向けの仮想化ソフトウェアがいくつか存在するようになっていた。代表的な製品であるヴイエムウェアのVMwareもこの頃から世に出始めていた。だが、その目的は、1台のパソコン上でWindowsとLinux両方の環境を利用するといったケースが主で、サーバーの仮想化というより、デスクトップ環境の仮想化と言ったほうが適切かもしれない。
ここにきてx86サーバー向けの仮想化技術がブームになっている背景には、いくつかの理由がある。特に大きいのは以下の3つである。
(1) ハードウェア性能の飛躍的な向上
数年前までは、仮想化した環境で十分なパフォーマンスを確保できなかったため、サーバーの仮想化はそれほど注目されていなかった。しかし、近年はプロセサの高クロック化やマルチコア化が進み、1つのアプリケーション用途でリソースを使い切れないほどにまで、サーバーの性能が向上。複数のアプリケーションを、仮想化環境で安定して稼動させられるようになった。
(2) 運用管理ユーティリティ、付加機能などの充実
運用管理ユーティリティの成熟も、サーバー仮想化の動きを加速させる1つの大きな要因になっている。特にヴイエムウェアの「VMware Infrastructure 3(VI3)」は、運用性・柔軟性・操作性に優れているため、ユーザーからの評価も高い。VI3のように高機能な仮想化ソフトウェアは、IT基盤全体を支える統合ソリューションになりつつあるといっても過言ではない。無償の仮想化ソフトウェアも、運用性能を高める機能の強化が進んできた。「Xen」などは、VMwareと同等程度の運用性を確保しつつある。
(3) IT分野における環境保護意識の高まり
環境保護意識の高まりから、ITの世界で「グリーンIT」という言葉を耳にする機会が多くなった。これが、サーバーの仮想化が脚光を浴びるようになった3つ目の理由だ。ITの利用拡大に伴って急増する電力消費が、CO2排出量の観点から問題視されている。だが、仮想化によるシステム統合によって電力消費を低減できるといった環境保護効果が期待されている。
資源の有効利用から障害耐性の向上まで
サーバーの仮想化技術はまだ進化を続けている段階であり、未成熟なアーキテクチャという見方もある。それでも、現時点で得られるメリットは少なくない。キーワードは「システム統合」、「標準化された仮想ハードウェア環境」、「可搬性の確保」の3つだ。
(1) システム統合
これまでシステム拡張のたびにサーバーの台数は増加の一途をたどってきたが、サーバーを仮想化することでx86サーバーを集約・統合できるようになる。そして、プロセサやメモリーといったリソースの有効利用による初期導入コストの削減や、省電力化・省スペース化の実現、運用管理工数の削減などの効果が得られる。
(2) 標準化された仮想ハードウェア環境
ハードウェアの抽象化も仮想化によって得られる大きなメリットの1つである。メーカーや発売時期によってハードウェアの細かいスペックが違うため、機器の構成や設計に苦労している基盤担当者は多いのではないだろうか。多大な工数を費やして、ハードウェアとOS、アプリケーションの相性や互換性を検証してきたに違いない。しかし、仮想化技術を用いてハードウェアを抽象化し、ハードウェアレベルでの互換性を確保することで、基盤設計が単純化される。バージョンが古いOSのためにリプレースできるハードウェアがないケースにも、この効果は絶大である。ハードウェアの保守切れを心配しなくてもよくなる。
(3) 可搬性の確保
仮想化したサーバーは物理サーバー間を移行しやすい特徴がある。仮想環境上に構築した仮想サーバーは、仮想ハードウェア構成やBIOSの設定、OSやアプリケーションの実態が1つのイメージファイルとしてカプセル化される。そのため、もし物理サーバーに何らかの障害が発生したとしても、仮想サーバーを構成するイメージファイルを別の物理サーバーにコピーして迅速に復旧することが可能になる。この可搬性(ポータビリティ)は、バックアップや災害対策に有効なだけでなく、サーバー運用の柔軟性を広げる効果をもたらす。
仮想化ソフトウェアは、可搬性の特徴を生かすさまざまな付加機能を備えている。VMwareでは、仮想サーバーを停止せずに別の物理サーバーに移動する「VMotion」と呼ぶ機能がある。障害を検知して仮想サーバーを別の物理サーバーで再起動する機能「VMwareHA」も提供している。
ブレードサーバー導入時に直面する典型的な課題
仮想化に続いて、ブレードサーバーの動向について見ていく。仮想化ソフトウェアと同様、分散したサーバーを集約・統合するために、ブレードサーバーを活用する企業が増えている。まずは、最新モデルの潮流を分析する前に、システムインテグレータである当社がブレードサーバーの導入で感じてきた課題を紹介したい。
(1) 電源容量の肥大化
ラックマウント型サーバーに比べて、ブレードサーバーはシャーシ1台当たりの集約度を高められるといったメリットがある。だが、集約度を高めたことで、大容量の電源が必要になり、結果として、コスト増を招く。プロセサのクアッドコア化は、この傾向に拍車をかけている。クアッドコア化によってプロセサの動作電圧や消費電力が高まるためだ。メーカーによっては200ボルト電源を必須とするモデルも存在する。設備を持ち合わせていなければ、ブレードサーバーの導入時に専用の電源工事が必要になる。
(2) 排熱処理とそれに伴う騒音問題
高密度・高集積のブレードサーバーが抱えるもう1つの課題は、内部で発生する熱を効率的に排熱すること。プロセサやメモリー、チップセットといった、サーバーの構成部品そのものの集積度も高いため、部品単体での発熱量も大きい。ラックマウント型サーバーは内部の空間に余裕を設け、冷却ファンによる排熱で凌いでいた。ところが、ブレードサーバーは空間に余裕が少ないため、強力な冷却ファンを用いてサーバーの内部に空気対流を作り出し、排熱処理をしている。このファンの騒音は意外と大きいことから、ブレードサーバーを導入するには、データセンターなど専用の設置スペースを用意しなければならなくなるケースが多い。
(3) メーカーのアーキテクチャ変更に伴う拡張性の阻害
ブレードサーバーは、専用のシャーシとサーバー本体に相当するブレードで構成されている。シャーシには各メーカーが独自の接続コネクタを搭載しており、ブレードの電源やインフラI/Oのマネジメントを行っている。この独自の設計が拡張性の妨げになることがある。メーカーは技術革新を受けてシャーシの設計を変更する場合、ブレードも新しいシャーシ向けに設計し直す。つまり、従来のシャーシと互換性がないブレードが登場するわけだ。新モデルの発売からしばらくすると、旧モデルのブレードは入手できなくなり、サーバーが拡張できないという事態が現に発生している。
新モデルの機能強化で課題は解消の方向へ
ブレードサーバーの出荷金額ベースの国内シェアは図3の通りである(文献[2])。日本IBM、日立製作所、NEC、日本ヒューレット・パッカードと続く。これら主要メーカーが最近発売した新モデルを見ると、いずれも強化の方向性が似ている。
参考文献[2]
IDC Japan:2006年上半期国内ブレードサーバーのベンダー別出荷金額シェア、ITマーケットデータ年鑑2008、p.44、日経BP社、(2008)
(1) 100ボルト対応モデルの充実
日本の市場特有の環境を意識して、100ボルト対応専用のブレードシャーシがラインナップに加わるようになった。予算や設備の制約から、ブレードサーバーの導入が困難だった中堅・中小企業の市場獲得に本腰を入れ始めたと言えよう。企業の環境保護意識の高まりを受けて、メーカーは消費電力を削減する技術の搭載も積極的に進めている。
(2) 排熱処理の選択肢が増加
前述の通り、これまでブレードサーバーの排熱処理は、強力なファンによる空冷が一般的だった。しかし、最近は水冷式の製品も登場している。データセンターなどの専用設備ではなく、一般のオフィス内に設置することを想定してのことだ。もちろん空冷方式の製品もあるが、ファン形状を改良して風切り音を低減させたり、ブレードサーバーの稼働率が低いときに不要なファンを停止する機能を搭載したりしている。
(3) ブレードシャーシの設計変更は一部
ブレードシャーシの設計変更をしたメーカーは一部に留まった。シャーシの設計を変更したものの、旧型シャーシ向けのブレードを搭載できるように互換性を確保しているメーカーもある。
ブレードサーバーは2001年後半から2002年にかけて、ラックマウント型より集約度が高く、スペースの有効活用と管理効率の向上を実現できるとして登場した。しかし、当初はプロセサの選択肢やメモリーの最大搭載量、I/Oの拡張性がラックマウント型より劣っていた。排熱処理についても課題があり、すべての企業の要求を満たすのは難しかった。現在は、こうした課題の多くが解決されつつあり、全体として製品の成熟度は高まってきた感がある。
今後は仮想化を応用した「ユーティリティデータセンター」や「リソースオンデマンド」といった技術の強化が進むと共に、ネットワークやストレージ、PCI Expressなどの外部I/Oの仮想化を実現する製品の投入が予想される。さらには統合運用管理ツールも充実し、大規模なITインフラを抱える企業の運用面・コスト面の課題に応えられる製品に進化していくと考えられる。
「集約・統合」への動きが顕著な共有ストレージ
最後に、ストレージの最新動向をまとめる。ご存知のように、ストレージは海外製品が多い。主要部品となるハードディスクドライブ(HDD)のメーカーがほとんど海外勢なのが影響しているのだろう。もちろん、かつては国内メーカーもHDDを扱っていたが、急激に低価格化が進行したため、事業を売却・譲渡して市場から撤退。現在国内でHDDを生産しているのは、日立グローバルストレージテクノロジーズだけになった。
国産製品が減ったという状況はともかくとして、ストレージもサーバーと同じように「集約・統合」の流れが顕著になってきている。ストレージを集約することによって、サーバーをメンテナンスする際にデータをバックアップ用のディスクに移行する、といった運用の手間を軽減できるからだ。システムで処理・管理するデータ量が増えるのに合わせて、ディスク容量を拡張しやすいといったメリットもある。実際、ブレードサーバーでは共有ストレージを用いるのが一般的になっている。
低価格なディスク構成や無停止バックアップが可能に
集約・統合に向けて機能強化が進むストレージにおいては、「低価格化」、「最新インタフェースの搭載」、「ディスクの仮想化」、「無停止バックアップ」という、大きく4つの技術トレンドがある。それぞれについて、詳しく解説する。
(1) 低価格ディスクと低価格な高速インタフェース
従来、共有ストレージには高信頼性HDDが使用されてきた。高信頼性HDDは、24時間365日連続稼動を前提に設計されており、平均故障間隔時間は150万時間〜175万時間程度(171年〜199年)を誇る。だが、高い信頼性を確保するのと引き換えに、価格が高いといった短所がある。
一方、パソコンに使われている低価格HDDはコストを抑えるために、駆動部を構成するモーターや軸受けの部材、内部構造を簡略化した。その結果、平均故障間隔は40万〜60万時間(45年〜68年)と、高信頼性HDDに劣る。
現在の共有ストレージは、これらのHDDを混在させることができる。例えば、一次バックアップ領域など重要度が低いデータの保存領域に低価格HDDを用い、それ以外に高信頼性HDDを活用するといった使い方ができる。2つのタイプのHDDを組み合わせて適切に共有ストレージを構成することで、コストの最適化を図ることが可能になっている。
HDDの接続方式も変化している。共有ストレージ用の高信頼性HDDの接続方式はFC(Fiber Channel)SCSIが主流だったが、今はSAS(Serial Attachment SCSI)が主流になっている。SASとは、FC SCSIと互換性を保ちつつ転送方式をシリアル化して、Ultra320 SCSIよりも高速な接続を可能としたものである。
FC SCSIは最大4Gbpsの高速接続が可能だが、FC SCSI対応の高信頼性HDDは高価というデメリットがある。対するSASの転送速度は最大2.4GbpsでFC SCSIに及ばないが、インタフェースを構成する部品が安い。このため、高速なディスクI/Oを求めない場合、導入コストを削減できるといったメリットがある。
(2) SANに取って代わることが期待されるiSCSIの出現
サーバーと共有ストレージを接続するインタフェースも進化している。これまでは光ファイバを用いるFC-SAN(Fiber Channel-Storage Area Network)と呼ぶ仕様が中心だったが、最近はEthernetを活用してTCP/IPで通信するiSCSI(Internet SCSI)のインタフェースを備える製品が増えてきた。Gigabit Ethernetのように、超高速のネットワーク接続技術が利用できるようになったためだ。もっとも、現時点でiSCSIを実装している共有ストレージは限られているが、多くのメーカーが今後発表する新モデルに搭載することを表明している。
iSCSIによって、共有ストレージは必ずしも高価なSANスイッチを必要としなくなる。ストレージを二重化するのも一般的なIPベースの考え方を応用できるため、企業はコストと技術の両面でメリットを享受できる。具体的には、FC-SANに比べて、3分の2程度の価格で共有ストレージを導入できる。
(3) 「仮想化」を実現するメーカー独自のアーキテクチャ
仮想化の機能を備える共有ストレージも出てきた。ここで言う仮想化の機能とは、ストレージに搭載した複数のHDDを1つのHDDとして処理するものだ。メーカーにより細かな違いはあるが、いずれもデータをコンテナという最小単位で分割して仮想化したストレージ内で管理し、それらを冗長度に応じて適切にHDDに分散配置する。
システム担当者は物理ディスクの構成にとらわれることなく、RAIDレベルや容量を柔軟に設計できる。システムの稼働中に容量を拡張する機能を備えた製品もあり、システム運用の効率を高めるのに役立つ。従来の共有ストレージは、割り当てる物理HDDやサーバーごとにRAID構成を設定する必要があった。
ただし、今のところ、仮想化機能を備えているのは一定規模以上の共有ストレージに限られる。中小規模向けの共有ストレージは備えていないケースが多いので注意が必要だ。
(4) 共有ストレージ側のバックアップ機能
最近の共有ストレージは、バックアップ専用領域を設けて対象データを瞬間的にコピーする機能を備えている。システムを止めずにデータをテープにバックアップできるようにするためである。これは「スナップショット」や「クローンコピー」と呼ぶ機能だが、メーカーによって実現方法や設計思想が大幅に異なっている。
特に、VMwareなどの仮想化ソフトウェアと共有ストレージのバックアップ機能を併用する際は、各社が提供する機能の特徴を十分に把握しておくことが重要である。それぞれに制約事項があるので、当社も仮想化インフラを提案する際のバックアップについては毎回悩まされている。ある程度標準化を推し進めるなど、メーカー側に改善を期待したいところである。
「分散」と「統合」が可能な“さび付かない”システムへ
ここまでサーバーの仮想化、ブレードサーバー、ストレージという3つの切り口で、集約・統合に向けたIT基盤の最新動向を紹介した。終わりに大切なことを述べておきたい。それは、これらの技術の導入は「手段に過ぎない」ということである。
言うまでもないが、システムを導入するに当たり一番大切なことは、目的を明確にすることだ。サーバーの仮想化やブレードサーバー、共有ストレージによって、どのような課題を解決するのか。狙いを明らかにすることが、システム導入を成功に導くポイントとなる。
システムの集約・統合による業務効率の向上やコスト削減ではなく、ビジネスの継続性を確保するという視点でIT基盤の全体最適を図ることもあるだろう。この場合、目標復旧時間(RTO: Recovery Time Objective)や、目標復旧ポイント(RPO: Recovery Point Objective)を定め、サーバーの仮想化技術やブレードサーバー、ストレージをいかに組み合わせるかを検討する。
システムアーキテクチャが将来変わるかもしれない、という心構えも常に持っておきたい。運用管理負荷の増大や内部統制を強化するニーズの高まりによって、今は分散したシステムの集約・統合が求められている。だが、技術進歩や時代の要請に応じて、システムを分散させたほうが得策という時期が来るかもしれない。そのときに備えて、分散し易い技術を用いてシステムの集約と統合を進めることが肝要である。
「分散」と「集中・統合」−。相反するシステム要件を満たすカギは、サーバーの仮想化技術とブレードサーバー、共有ストレージが握っていると、我々は考えている。今後もこれらの技術動向を逐次把握して、“さび付かない”システムの導入を目指したい。
参考文献[3]
西村崇、 森山徹:仮想化が変えるシステム基盤、日経SYSTEMS 2008.2、pp.19-41、日経BP社、(2008)
インテック
- 馬場 昭宏
- ITプラットフォームサービス事業部 事業推進課主任
- 神保 岳大
- ITプラットフォームサービス事業部 事業推進課
- 木本 佳成
- ITプラットフォームサービス事業部 システム第二課
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