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【Nehalem実力検証!】プラットフォーム革新のエンジン-Xeon5500シリーズの実力 - 進化するITプラットフォーム Part3
Xeon5500シリーズを支える5つのテクノロジー
- 下野 文久
- インテル
マーケティング本部 ソフトウェア・エコシステム・マーケティング 統括部長
インテルが2009年4月に発表した「Xeon5500シリーズ」は、主に「高性能化」、「仮想化支援」、「省電力化」の3つを長所に打ち出している。では具体的に、どんな技術を備えているのか。注目すべき技術は、(1)QuickPathテクノロジー、(2)バーチャライゼーション・テクノロジー、(3)ターボ・ブースト・テクノロジー、(4)ハイパースレッディング・テクノロジー、(5)インテリジェント・パワー・テクノロジー、の5つである。多くは、既存プロセサに実装済みだが、Xeon5500シリーズでは完成度が高まっているのが特徴だ。以下、各技術を紹介しよう。
(1) メモリー・アクセスを高速化
複数の仮想マシン構築を支援
Xeon5500シリーズをプロセサ単体で見たとき、内部構造を以前の「Coreマイクロアーキテクチャ」から「Nehalemアーキテクチャ」に一新。同時にメモリーコントローラをプロセサに内蔵した。これによりメモリーへのアクセス速度を高めた。利用するメモリーの規格も5400シリーズのDDR2から、5500シリーズではより高性能なDDR3に変更した。搭載できる最大メモリー容量も128GBから144GBになり、例えば複数の仮想マシン環境を構築した際でも、メモリー不足による性能劣化を低減できる。
上述した「QuickPathテクノロジー」は、プロセサ同士、およびプロセサとI/Oを制御するコントローラ間の接続機構だ。これまでの「FSB(フロント・サイド・バス)」の帯域幅(最大12.8GB/秒)よりも広帯域(最大25.6GB/秒)であり、メモリー帯域幅の向上と相まって、システム性能の向上に直結する。
(2) 仮想化環境をハードウェアでサポート
ハードウェアレベルで仮想化環境を支援する「バーチャライゼーション・テクノロジー(VT)」を採用した。これまでもVTを採用したプロセサはあったが、5500シリーズでは完成度が高まっている。仮想化環境での性能が向上したほか、VTの付加機能として「VT FlexMigration」を備える。これはXeon 5500シリーズと、異なる世代(旧世代)のXeonプロセサを搭載するサーバーの間で、仮想環境を停止させることなく移行させる、「ライブ・マイグレーション」と呼ばれる機能である。
プロセサのほか、I/Oを制御するチップセット「5520」でも仮想化環境を支援する。仮想マシンに割り当てたI/Oデバイスを管理し、データを高速に転送できるようにするほか、仮想化に伴うI/Oのオーバーヘッドを削減できる。
(3) 一時的に動作周波数を引き上げパフォーマンスアップ
「ターボ・ブースト・テクノロジー」は、必要に応じてプロセサの動作周波数を自動的に高める技術である。一時的にプロセサの負荷が高くなった際、定格の動作周波数以上の高速動作を行わせることによって、処理性能を向上する(図3-1)。この機能が働くのは熱設計電力の範囲内でプロセサが動作している場合だけである。
1プロセサあたり4つのコアを実装するXeon5500シリーズの場合、4コアすべての動作周波数を引き上げられるほか、2コアだけ動作周波数を引き上げ、残りの2コアは定格のまま動作するといった制御を行う。すべてのコアの動作周波数を上げない仕組みを備えることで、省電力化に配慮している。
(4) 1コアあたり2つの処理に対応
レイテンシー削減で性能向上
「ハイパースレッディング・テクノロジー」は、コアごとに複数の処理を可能にする技術である。「Coreマイクロアーキテクチャ」を採用したXeonプロセサには非搭載だったが、Xeon5500シリーズで復活した。1コアあたり2つの処理を行えるので、プロセサでは最大8つの処理を同時に行えることになる。
同時に2つの処理を行えることで、1処理あたりのレイテンシー(遅延時間)を削減でき、業務の生産性を向上できる。なお、ハイパースレッディング・テクノロジーは、対応するアプリケーションでなければ、並列処理による性能向上は見込めないので注意したい。
(5) 稼働状況を監視して省電力化に貢献
消費電力を抑える技術として、「インテリジェント・パワー・テクノロジー」を採用した。4コアのうち、アイドル状態になっているコアの消費電力を限りなくゼロにできる機能を備える。前シリーズではアイドル時の消費電力が16〜50ワットだったが、5500シリーズでは10ワットまで抑えられる。
負荷に基づいて、自動的に処理に必要な最小限の電力になるよう調整する機能もある(図3-2)。電力管理機能を強化し、負荷が低い際には、より低い電力でシステムを稼働するようにした。
実使用を想定した検証でXeon5500シリーズの性能を測る
- 栗並 賢太郎
- 新日鉄ソリューションズ
ITエンジニアリング事業部 ITアーキテクティンググループ グループリーダー
Xeon5500シリーズが様々な新機能を備えていたとしても、実際にシステムとして稼働する際にそれが有効に動作し、高い性能を発揮するとは限らない。実際、筆者らは理論性能と実効性能が往々にして乖離することを、少なからず経験している。そこで今回、Xeon5500シリーズが実システムにおいてどの程度の性能を持つのかを検証した。検証したのは、(1)データベース層での処理によるプロセサ基本性能、(2)ミドルウェア層での処理によるメモリー帯域幅拡大の効果、(3)仮想化環境におけるオーバーヘッド、の3点である。
(1) データベース検証
ハイパースレッディングが効果的
まずプロセサの基本性能をチェックするため、Xeon5500シリーズを搭載したDBサーバーの処理性能を検証した。DBサーバーソフトには「Oracle DB 11g」を使用し、比較対象としてクアッドコアとなるXeon5300シリーズ(2.66GHz)で同様の検証をした。
処理内容は、小さいトランザクション処理を多数行い、負荷が増えた際のスループット(処理能力)を測定する。
結果を図3-3に示す。Xeon5300シリーズの最大スループットが1万だったのに対し、Xeon5500シリーズは、ハイパースレッディングなしでは最大スループットが1万7500。ハイパースレッディングありでは最大スループットが2万3000となった。Xeon5300シリーズと5500シリーズでは、約2.3倍の性能差が現れたことになる。
検証結果で注目すべきは、ハイパースレッディングによる性能差である。Xeon5500シリーズでもハイパースレッディングを利用しない場合に比べて、利用すると約30%の性能向上が見込める。高負荷の処理を行う際は有効な技術であることが分かる。
(2) ミドルウェア検証
メモリー帯域幅向上がカギ
次にXeon5500シリーズの強化ポイントの1つである、メモリーのアクセス処理を検証する。検証は、すべてのデータをメモリー上で処理する「分散オブジェクトキャッシュ」を、ミドルウェアで実施するシステムの性能を測定する。分散オブジェクトキャッシュでは(ディスクアクセスが不要なので)低レイテンシーでの処理が可能となるが、プロセサの性能によってさらに処理能力が向上するのかを検証する。
分散オブジェクトキャッシュを行うソフトには、オラクルの「Coherence 3.4.1」を使用し、比較対象にはシングルコアとなるXeonプロセサ(2.8GHz)を用いて検証を行った。
検証結果が図3-4である。Xeon5500シリーズとシングルコアのXeonプロセサの性能差は約12倍となった。メモリー帯域幅の向上によりメモリーアクセスの処理が高速になった点が寄与していると考えられる。データを高速に処理できるミドルウェアである「Oracle Coherence」とXeon5500シリーズとの組み合わせは、システムの性能問題を解決する有効な選択肢になりうるだろう。
(3) 仮想化環境の検証
VT対応の仮想化ソフトが前提
仮想化環境の検証では、仮想化ソフトなしでアプリケーションを実行したときの応答時間と、仮想化ソフト上でアプリケーションを実行した際の応答時間を比較する。仮想化ソフトには、VTには対応していない「Xen 3.1」と、対応済みの「Xen 3.3」を用いた。ソフトだけによる仮想化とハードによる支援がある場合の違いが分かるはずである。
アプリケーションには実際に業務で使用するものではなく、Lmbenchと呼ぶベンチマークソフトを利用した。比較対象には、Xeon5100シリーズ(2.66GHz)を用いて同様の検証を実施した。
検証結果が図3-5である。Xeon5100シリーズでは、ネイティブ(仮想化ソフトなし)の応答時間を1とした際、Xen 3.1仮想化環境の応答時間は約5.5倍に達した。大きなオーバーヘッドがかかっていることが分かる。
Xeon5500シリーズでは、ネイティブの応答時間が0.5程度に縮まっているが、Xen 3.1仮想化環境での応答時間の比率は約3.8と、依然高い値を示している。しかしVT対応済みのXen 3.3仮想化環境における応答時間は、ネイティブと大差がない値を示した。Xen 3.1とXen 3.3ではオーバーヘッドを約20分の1に削減できることが分かった。これまでのVTと違い、Xeon5500シリーズで採用するVTは、プロセサのほかチップセットなど、システム全体で仮想化環境を支援する。このことも性能向上の要因といえるだろう。
なおXen 3.3環境では、Xeon5100シリーズのネイティブよりも応答時間が短くなっていることに注意してほしい。前世代のプロセサを使い、仮想化環境なしでアプリケーションを実行するよりも、Xeon5500シリーズを使って仮想化環境でアプリケーションを実行した方が、高速になることを表している。
ここでのポイントは、VTを採用するXeon5500シリーズを使用していても、仮想化ソフト側がVTに対応していなければ、ほとんど効果を期待できないことである。仮想化ソフトの対応に注意する必要がある。
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