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【サーバー編】進化が著しいブレードサーバー - 進化するITプラットフォーム Part4
Part2で見たように、ブレードサーバーは1つのきょう体(シャーシ)の中に複数のサーバーブレードを搭載できる、省設置スペース・高集積が売り物のコンピュータである。Xeon5500シリーズの出荷をきっかけに登場した各社のブレードサーバーも、その点は変わらない。当然、性能はアップしているし、消費電力の制御はより緻密になった。管理ツールも機能強化されているものが多いが、基本アーキテクチャはおおむね旧来機種と同じである。
しかし、ちょっと変わったアーキテクチャを持つユニークな製品も増加している。Part4ではそうした製品─イージェネラの「BladeFrame」、シスコシステムズの「UCS」、それに日立製作所の「BladeSymphony」─を中心に紹介する。これら製品のユニークな点が、ブレードサーバーが向かう進化の方向の1つを示していると考えられるからだ。
イージェネラ「BladeFrame」
高可用性を確保
サーバーに求められる要件として、「停止しない」、「故障しにくい」、「故障が起きても速やかに復旧できる」などがある。特にミッションクリティカル用途になれば、高可用性、高信頼性は必須だ。
こうした要件を満たす仕組みを持つのが、イージェネラの「BladeFrame」である。「ごく一般的なIAサーバーの技術を用いながら、ミッションクリティカル用途に対応するのがBladeFrameのコンセプト。形はブレード機だが、メインフレームの置き換えを狙っている」(同社の保阪武男執行役員 マーケティング本部長)。
ではBladeFrameは、どんな仕組みで可用性を高めているのか。特徴を一言で言えば、「IPアドレスやMACアドレス、OSやアプリケーションといったシステム稼働に必要な情報すべてを物理的なサーバーブレードから切り離し、物理的なブレードとその上で稼働するシステムを、動的に変更できるようにした」ことだ(図4-1)。
BladeFrameには、そのためにシステム全体を制御するコントロールブレード(cブレード)、内部のネットワーク処理を司るスイッチブレード(sブレード)、そして処理を行うプロセシングブレード(pブレード)という、3種類のブレードがある。
このうちpブレードが一般的なブレード機のサーバーブレードに相当するが、pブレードが備えるのはプロセサとメモリー、sブレードとの通信機能、電源だけ。ディスクはもちろん、NIC(ネットワークカード)やHBA(ホスト・バス・アダプタ)カードを持たない。
一方、cブレード上には「PAN Manager」と呼ぶ管理ソフトがあり、稼働させるシステムに関わる情報─ソフトウェアの構成情報やシステムが使用する仮想HBAや仮想NIC、仮想スイッチなど─を、一括管理している。実際にシステムを稼働させる時には、この情報を空いているpブレードに割り当てるのが、基本的な仕組みだ。
最大のポイントは、外部とやりとりするために必要なNICやスイッチなどの設定情報を仮想化していること。これによりpブレードという物理的なハードと、その上で動くシステムを分離した。結果として(1)Webアプリケーションなどで処理能力が不足したとき、空いているpブレードに処理を割り当てて性能を向上できる(リソースプール)、(2)待機系のpブレードを用意しておけば、障害時に即座に処理を引き継げる(高可用性)、といったことを可能にしている。遠隔地に設置したBladeFrame同士で、構成情報を共有しておけば、ディザスタリカバリ体制も容易に構築できる。一般的なブレードサーバーと違い、ブレード上に電源があるので、異なる世代のプロセサやインテル「Xeon」とAMD「Opteron」などのプロセサを搭載したブレードを混在できるのも利点だろう。
シスコシステムズ「UCS」
すべてのシステム資源をネットに
シスコシステムズが2009年4月に発表した「UCS」も、ユニークなアーキテクチャを持つ製品だ。一般的なブレード機と異なり、バックプレーンを持っていない。代わりに各サーバーブレードに装着される「CNA(Converged Network Adapter)」と呼ぶアダプタを介して、イーサネット接続モジュール「UCS 2100 Series Fabric Extender」に接続され、そこから外部ストレージやネットワークに接続される。
このCNAにより、サーバーブレードが持つIPアドレスやMACアドレスなどの情報を、実際の物理ハードウェアと切り離して保存できるのがUCSの特徴だ。サーバーに紐づけられているストレージの属性情報も保存し、この属性情報を他のハードウェアに割り当てることができる。
同社プロダクトマネージメントの河野真祐プロダクトマネージャーは「属性情報を利用して、特定のVLAN(仮想LAN)、SANなどの設定を含んだ情報をグループ化する。特定のアプリケーションを実行するとき、このグループをサーバーに割り当てればよく、サーバーを構築する際の設定を簡素化できるとともに、サーバーのリソースを必要なときだけ利用するので効率的」という。
イージェネラのBladeFrameに類似したコンセプトを持っているわけだ。実際、BladeFrameのPAN Managerと同様、UCSにも「Cisco UCS Manager」と呼ぶ管理ソフトがある。
一方、Xeon5500シリーズの仕様上、使えるメモリー容量がデュアルプロセサ構成で最大144GBなのに対し、UCSでは独自の拡張技術で384GBまで搭載可能にするなど、ハード的にも見るべき点が少なくない。
日立製作所「BladeSymphony」
ハードで仮想化の問題を解消
BladeFrameやUCSと方向性は異なるが、国産ブレードサーバーにもユニークな技術を搭載した製品がある。ハードによる仮想化支援機構「Virtage(バタージュ)」を搭載した、日立製作所の「BladeSymphony」だ。
ソフトウェアによるエミュレーション方式で仮想環境を構築すると、場合によってはオーバーヘッドが大きく、動作が不安定になることもある。例えば、ストレージに対して特別な制御コマンドを発行する可能性のあるクラスタ制御ソフトやDBMSを稼働させた場合、意図しない動作が起こり得る、といったことだ。
そこで同社はメインフレームで培ってきた仮想化技術を転用。専用LSIを作るなどしてハードによる仮想化支援機構を開発した。実際にはVirtageはハイパーバイザと仮想化アシスト機構から構成される。これらにより、I/OのデバイスドライバをゲストOSから透過的に見えるようにする、ゲストOSが扱うI/Oアドレスと物理的なI/Oアドレスを高速かつ安全に変換する、ゲストOSのメモリー空間と物理メモリー空間のアドレス変換を高速に行い、オーバーヘッドを低減する、といったことを可能にしている(図4-2)。
なおミッションクリティカル、大規模用途を想定しているため、相互ホットスタンバイやN+1ディザスタリカバリなどにも対応済みだ。日立のエンタープライズサーバ事業部 第二サーバ本部第三部の庄山貴彦部長は、「仮想化環境をいかに物理環境に近づけるかがVirtageの役割。Xeon5500シリーズの仮想化支援機能と組み合わせながら、さらに進化させる」と語る。
以上、BladeFrame、UCS、そしてBladeSymphonyを見てきた。価格が未発表で「競争力のある価格設定にする」とシスコが表明しているUCS以外は、価格の高さが難点とされる。だが備えるリソースを活用できれば相対的に割高感は薄まるし、待機系やディザスタリカバリ系まで想定すれば、必ずしも高価とは限らない。
一方、ほかの大手サーバーメーカーが何もしないことは考えられない。実際、デルはイージェネラからPAN Managerの供給を受け、自社製品(PowerEdge M610)に組み込んで販売中だ。こうした点で、ブレードサーバーの進化は、これから加速すると言っても過言ではないだろう。
| 製品名/ベンダー名 | 概要 | シャーシ (ブレード搭載台数) |
価格 (サーバー1台あたり) |
|---|---|---|---|
| BladeFrame EX/ イージェネラ |
インテル製プロセサを搭載するpブレードとAMD製プロセサを搭載するpブレードを混在して利用できる。6台までpブレードを搭載できる「BladeFrame ES」もある | BladeFrame用シャーシ(最大24台、pブレード) | 個別見積もり |
| SIGMABLADE Express5800/ NEC |
管理ソフトにより、論理、物理サーバー環境を区別することなく、稼働状況の把握やパッチ配布が可能。RAIDカード専用スロットを装備し、Linux環境でRAID1(ミラーリング)を構築できる | SIGMABLADE-H v2(最大16台) | 26万2500円~(B120aの場合) |
| Sun Blade X6270/ サン・マイクロ システムズ |
X6270はメモリーの最大搭載容量は72GBで、PCI Express 2.0スロットを32基装備する。最大48台までブレードを搭載できるシャーシ「Sun Blade 6048」もある | Sun Blade 6000シャーシ(最大10台) | 32万2963円~ |
| UCS/ シスコ・システムズ |
ブレードサーバーにはフルサイズ版とハーフサイズ版がある。フルサイズ版は、独自技術によりメモリースロットを48個搭載し、メモリーの最大搭載容量が384GBとなる | Cisco UCS 5100 シリーズ ブレード サーバ シャーシ(最大8台、ハーフサイズ版の場合) | 未定 |
| Dell PowerEdge M710/ デル |
マザーボード上にドライバやユーティリティを保存するコントローラを装備し、セットアップ時間を短縮する。USBメモリーなどに仮想化ソフトを入れておくことで、仮想化環境を容易に構築できる | Dell PowerEdge M1000e(最大8台) | 27万480円~ |
| IBM BladeCenter HS22/ 日本IBM |
独自のファームウェア「uEFI」を搭載し、サーバーの起動時間を短縮可能。LEDでサーバーの障害個所を知らせる機能を備える | BladeCenter(S、E、HTなど)(最大12台、HTの場合) | 28万1400円~ |
| HP ProLiant BL 490c G6/ 日本HP |
メモリーの搭載容量が144GBで、SSDを2台まで搭載可能。ネットワークは10Gbイーサネットを2ポートを備えるが、オプションにより最大24ポートまで拡張できる | c7000エンクロージャー(最大16台) | 37万650円~ |
| BladeSymphony BS2000/ 日立製作所 |
独自のサーバー仮想化機構「Virtage」を搭載し、論理サーバーの初期設定や構築が容易に行える。メモリーの最大搭載容量は144GBで、2.5インチのHDDを4台まで搭載できる | BS2000サーバシャーシ(最大8台) | 57万2250円~ |
| PRIMERGY BX900/ 富士通 |
シャーシ内に最大18台のブレードサーバーを搭載でき、メモリーの搭載容量は最大1.29TBとなる。電力効率や冷却効率を改善して消費電力を削減する | PRIMERGY BX900 S1シャーシ(最大18台) | 21万2100円~(BX920 S1の場合) |
Column
ブレードは「重量」に注意
ブ レードサーバーのメリットの1つに、サーバーの集約率を上げて設置スペースを削減できる点がある。だが集約率の向上はイコール、設置スペースあたりの総重量増加であることを忘れてはならない。
総重量が増えると、設置場所の床荷重の制限を超えてしまうことが起こり得る。「データセンターにもよるが、床荷重の制限は1平方メートルあたり500kg。ブレードをフル搭載すると、重量オーバーになるケースがある」(日立製作所エンタープライズサーバ事業部 第二サーバ本部 部長 大黒浩氏)。
そのため日立はブレードサーバーの軽量化に注力しているという。一例がエントリーからミッドレンジ向けの「BS320」。強度が不要な部分を切り取り、冷却システムを工夫して軽量化した。ブレードをフル搭載(10台)したときの総重量は98kg。「110〜130kgの製品が大半の同クラスでは、最軽量」(大黒氏)である。
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