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IFRS対応に向けたソフト&サービス—Part6

増えるIFRS移行支援サービス
会計関連ソフトは随時機能拡張

IFRSの早期/強制適用をにらみ、影響度調査や移行を支援するサービスが登場し始めた。一方でERP(統合業務)パッケージや会計関連のソフトウエアも、日本基準とIFRSの並行運用を視野に機能拡張を始めている。

IFRSへの対応は会計処理方針のみならず業務フローや情報システムの見直しも不可欠となる。様々な領域にまたがる専門知識が必要となるので、プロジェクトの完遂はそう簡単なことではない。

こうした状況を見据え、監査法人やコンサルティング会社は、IFRS移行支援サービスを提供し始めた(表6-1)。現状分析によって影響度を測るとともに、移行計画の策定〜実践、レビューなどを、工程別に支援する。今後もこの手のサービスは充実してくると見られるが、まずは自社の会計業務で付き合いのある監査法人に相談を持ちかけてみるのも一考だ。

表6-1 IFRS移行支援サービスを手がける主要な監査法人/コンサルティング会社
提供元 サービス名 概要
監査法人
あずさ監査法人
(KPMG系列)
IFRS関連サービス 課題分析、実施案策定、コンバージョン実施の3つのフェーズについて、財務報告、ビジネス、人材、ITシステム・プロセス、プロジェクトマネジメントの5つに分けて影響を分析
あらた監査法人
(プライスウォーターハウスクーパース系列)
IFRS関連サービス 世界各国での業種別移行事例を蓄積するなど、各業種特有の移行課題への支援体制を整備。IFRS移行支援の専任組織「PwC Japan IFRSプロジェクト室」を設置
新日本有限責任監査法人
(アーンスト・アンド・ヤング系列)
IFRS関連サービス 影響度調査から移行プロセスの設計、ソリューションの導入やレビューまで、各プロセスに分けて移行を支援する。必要に応じて移行プロジェクトのマネジメント支援や、従業員への研修も提供する
監査法人トーマツ
(デロイト トウシュ トーマツ系列)
IFRS導入サービス 世界各国での業種別移行事例を蓄積するなど、各業種特有の移行課題への支援体制を整備。世界15カ国に独自のIFRS専門家組織を設定し、日系企業海外子会社の移行を支援
虎ノ門有限責任監査法人 IFRS導入サービス IFRS導入にともなう業務プロセスやシステムの変更点を調査するほか、移行スケジュールなどのプロジェクト管理を支援する。財務諸表作成を支援するサービスも用意
コンサルティング会社
アクセンチュア 国際財務報告基準
導入支援サービス
影響度調査、移行計画・設計、システム開発、導入の4つのフェーズに分けて導入を支援。システム面では、勘定コードや組織マスターなどの統合も手掛ける
アビームコンサルティング 国際財務報告基準
(IFRS)
対応支援サービス
公認会計士や会計専門コンサルタントで構成する「IFRSイニシアチブ」を設置し、影響度分析やロードマップ作成、システム要件定義など5つのステップで導入を支援する
クレタ・アソシエイツ 国際会計基準(IFRS)
導入支援サービス
初期評価や従業員向けトレーニングなど、移行の各フェーズに応じたサービス体系を用意。IFRSショート・レビュー・プログラム(約2週間)の料金が90万円
日立コンサルティング 国際会計基準(IFRS)
導入支援サービス
影響度調査に加え、必要となる施策を時系列に把握するためのロードマップを策定する「Smart appraisal service」サービスを提供(1500万円、実施期間約2カ月)
プライスウォーターハウス
クーパースコンサルタント
IFRSクイックレビュー 移行に必要な課題とコストを1週間という短期間で診断するのが特徴。業務プロセスやシステムなど、6つの観点から課題を整理し、緊急対応事項を提示する。価格は300万円
みずほ情報総研 資産除去債務計上
支援コンサルティング
コンバージェンス支援の一環として提供。変更対象の洗い出しや報告内容の整理を実施するほか、日本オラクルと協業してシステム構築も支援する

次にERPパッケージや会計関連ソフトのIFRS対応の動きを見てみよう。前章までの繰り返しになるが、IFRSは対応ソフトの導入だけで万事解決というものではない。自社で会計処理にかかわる方針を定め、それに沿って必要となる情報を日々の業務で入力しなければならない。つまり“器”だけ整えても不十分なことを忘れてはならない。

SAP ERPやOracle E-Business SuiteなどメジャーなERPパッケージはIFRSを適用した欧州企業が使っている実績があり、機能面ではすでに対応が整っている。管理項目の追加などはパラメータの設定で対処する。ERP以外の主要会計関連ソフトも着々とIFRS対応を進めている段階にある(表6-2)。

表6-2 主要な会計関連ソフトのIFRS対応状況
提供元 製品名 概要
ERP系
IFSジャパン IFS Applications 棚卸資産の取得原価と時価とを比較して低い方の価格を簿価とする「低価法」への対応のため、在庫品目のマスターに時価の項目を用意。他の機能も随時拡張
SAPジャパン SAP ERP 複数元帳機能により、複数の会計基準に基づく会計処理が可能。IFRS対応で機能を変更する際には、設定用のコンサルティングサービス(有料)も別途用意
NEC EXPLANNER/
Ai会計
簡易連結機能を備える「グループ会社管理」(オプション)や、ビジネストラストの連結会計ソフト「連結大王SUMMIT」(別売)との連携によってIFRS対応の財務諸表を出力
日本インフォア・グローバル・ソリューションズ Infor ERP LN/LX 複数元帳を持てる「Advanced General Ledger」を2010年1月末に国内提供予定。他にIFRS対応の基本機能を備える財務会計システム「Infor SunSystems」も用意
日本オラクル E-Business Suite 複数元帳機能により、複数の会計基準に基づく会計処理が可能。同社が主催する「IFRSパートナーコンソーシアム」で、テンプレートの機能強化などを実施
日立製作所 GEMPLANET 管理会計用としてセグメント別の情報管理機能を備える。IFRS対応の財務諸表については国内基準のコンバージェンス/アドプションの状況に合わせて機能を拡張
富士通 GLOVIA/SUMMIT、GLOVIA smart会計 セグメント報告に対応した専用データウエアハウスFDWH(Financial DataWareHouse)を搭載し、IFRSでの財務報告に合わせた多様なデータ分析が可能
マイクロソフト Dynamics AX ダンガード(デンマーク)が開発したERPソフトが母体で、IFRSに対応する基本的な機能を備える。強制適用までは日本基準での処理も可能
ワークス
アプリケーションズ
COMPANY ACM 財務会計・連結会計機能の「COMPANY Financial Management」では、会計制度の変更に応じて、無償バージョンアップで標準機能として提供
連結会計系
SAPジャパン SAP BusinessObjects Financial Consolidation 経営管理製品群「SAP BusinessObjects EPM solutions」の1製品。各会計基準向けの財務連結テンプレートを用意する
NECソフトウェア北陸 GroupVision EAIに仕訳データ連係機能を付加したソフトウェア。IFRS関連では、セグメント財務報告に対応済み
ディーバ DivaSystem IFRS適用に向けた会計制度の変更に合わせて随時機能拡張。個別会計システムでのデータの持ち方についてもアドバイスする
電通国際情報サービス STRAVIS IFRS適用に向けた会計制度の変更に合わせて随時機能拡張。会計システムやERPシステムの出力デ-タの勘定科目やコードの変換が可能
日本オラクル Oracle Hyperion Financial Management 経営管理製品群「Oracle Hyperion Performance Management Applications」の1製品。同社主催の「IFRSパートナーコンソーシアム」で、テンプレートの機能強化などを実施
ビジネストラスト 連結大王SUMMIT/D3 CSV経由で各財務会計システムとデータ連携(有料オプションにより自動化可能)。公認会計士のコンサルティングサービスを提供
プライマル Conglue グループ内に複数の上場企業が存在する場合、グループ全体の連結ではなく、必要な部分のみ切り出して連結処理するサブ連結が可能

海外にいくつもの子会社を持つようなグローバル企業で、IFRS対応を経営基盤強化につなげたいという場合は、グループ全体のシステム統一も検討材料になる。選択肢の筆頭としてERPを検討するケースが多いと思われるが、その場合もソフト導入だけでは不十分で、勘定科目の名称や会計処理のルールまでも徹底して統一を図ることが欠かせない。まずは法対応を優先し、IFRSに沿った連結財務諸表を出力する体制作りを急ぎたいという企業なら、連結会計ソフトの動向に注目したい。STRAVIS(電通国際情報サービス)、DivaSystem(ディーバ)など、主要製品はいずれも日本基準のIFRSへのコンバージェンス/アドプションの状況を見ながら、随時機能を拡張する姿勢だ。

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