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本格回復には大胆なコスト削減が必要 [伊藤忠テクノソリューションズ(証券コード4739)]
ビジネス環境の変化
CTCを取り巻くビジネス環境は大きく変化している。これを端的に示しているのが図1だ。2002年度と2008年度を比べた時の最大の違いは、サーバーやネットワーク、ストレージといったハードウェアの売上比率の低下である(02年度52.1%→08年度27.9%)。
ハードは利益率が低いので、メーカーではないCTCにすれば売上比率が低下した方が収益の上昇が見込める、とも考えられる。しかしCTCは、サン・マイクロシステムズ(以下、Sun)を中心としたハードウェアを総代理店として販売し(フロー)、その保守で数年間の継続課金(ストック)を得るという、“一粒で2度おいしい”ビジネスを展開してきたため、そうとは言い切れない。むしろハードウェアと継続課金の売上減少に対応できるビジネスモデルの再構築を迫られている。
CRCと合併、減益基調が続く
同社が、こうした状況に手をこまぬいていたわけではない。奥田陽一社長の「ビジネスモデルを変革せよ」という掛け声のもと、製品販売からサービス・ソフトウェア開発および運用ビジネスの拡大を指向。06年5月には、システム構築・運用に強いCRCソリューションズと合併した。これによりソフトウェア開発の売上比率は、17%(06年度)→22%(07年度)、運用を含めたサービスは32.8%(06年度)→37.9%と、ソフトウェア開発・サービスの売上比率を上昇させた。
しかし営業利益をみると、06年度の254.6億円(前年比+30.6%)をピークに、07年度250.1億円(同▲1.8%)、08年度216.8億円(同▲13.3%)、今期の会社計画は210億円(同▲3.2%)と、3期連続で減益の見通し。総括すれば、合併後、売上は増えて売上バランスも整いつつあるものの、その効果は利益として結実していないと言えるだろう。
もちろん厳しい経済環境下でよくしのいでいるともいえるのだが、増収基調ながらなぜ減益なのだろうか? コストを含めた同社の利益動向を見ていくことにしよう。図2に、同社の売上高前年比率、売上総利益率(売上高に占める売上総利益の割合=粗利)、売上高販管費率を示した。
売上総利益率は、2006年度の24.2%を底に2007年度25.2%、2008年度26.1%と上昇。前述のビジネスモデルの変革によるソフトウェア開発・運用の伸長の成果と言える。問題は売上高販管費率。06年度15.6%、07年度17.4%、08年度17.3%と合併後、高水準で推移している。その中核は人件費で06年度236億円(前年比+14.9%)、07年度301.3(同+27.6%)、08年度311億円(+3.2%)となっている。
通常、システムエンジニアなどの人件費は、売上原価に算入される。販管費に算入される人件費は、バックオフィスや部署配属前の新人、稼働していないエンジニアなどであり、これが減益の大きな要因と筆者は考えている。
CTCの今後の業績動向
これを踏まえて、同社の業績動向について見てみよう。今期および中長期的な考え方として、製品販売の大幅な伸長が期待できない分、売上高は大きく伸びない、むしろ減収が続く可能性が高い。となると、どこまでコストを適正化できるかが、今後の業績を考える上での最大のポイントとなる。
今期(09年度)のコストに関しては、外注先の選別強化、社内間接コストの削減、人員増の抑制などで販管費は前年比▲1.7%の575億円にとどまる見通し。筆者は売上高について会社計画(3,020億円)を若干下回る2970億円を予想しており、上記コストを差し引いた筆者の営業利益予想は、197億円(会社計画210億円)と考えている。
来期(10年度)についても、ビジネス環境が大きく好転する可能性は低く、売上はほぼ横這いの2989億円、営業利益は192億円を予想する。販管費の大幅減がなければ、引き続き減収減益が継続する見通しだ(図3)。増益へのカギは繰り返しになるが、販管費削減に向けた施策だろう。この点で参考になるのが、NTTデータの取り組みだ。同社はバックオフィス部門からフロント部門への人員配置を進め、05年度売上高販管費率19.%を、06年度には16.1%、07年度には15.4%に減少させている。
なお米オラクルによるSun買収について、同社への影響は中立と見ている。オラクルのラリー・エリソンCEOはSun買収に際しての電話カンファレンスにおいて、「Sunのハードウェアは引き続き維持する」とコメント。Sunのハードウェアを販売し続ける方針を示した。一方、オラクルの製品との相乗効果でSun製品の競争力が上昇するというポジティブなシナリオは、CTCの業績に織り込むには時期尚早だろう。
CTCの理論株価
同社の理論株価を考えてみよう。今期のEPS(一株あたり純利益)の予想は185.9円。これとITサービスセクターの標準PER(株価収益率)である13倍を掛け合わせると、理論株価は2416円。5月22日終値2435円は今期の減益を織り込んでいる水準といえる。
株価が下ぶれする要素としては、さらなる業績の落ち込みがあるが、下値目途は同社のBPS(一株あたり純資産)である2300円程度とみる、一方、上振れる要素としては、コスト削減による業績の拡大が考えられる。CTCは、CRCとの合併についてシナジーが発揮されて合併の効果があったとコメントしているが、これは売上構成での面が大きい。コスト削減によって、本当の合併効果が発揮されると筆者は見ている。
- 長橋 賢吾
- ITアナリスト
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