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なかなか理解してもらえない内容を素早く伝える方法(第3回)

テクニカルサポートとのやり取りで、聞きたい内容がなかなか理解してもらえない、なかなか伝わらないということはよく起こることである。「話のわかる人に代わって下さい」といらいらしながら言ってしまうこともしばしばある。テクニカルサポートもスキルの高い人だけではないし、また、ある程度の手順や作法に則らないとうまく伝わらない場合がある。ここでは、テクニカルサポートに問い合わせを行う場合、どのようにすれば的確にかつ素早く内容を伝えることが出来るかについて述べていく。

聞きたい内容がなかなかテクニカルサポートに伝わらない、あるいは、理解してもらえない原因として、以下の4点が考えられる。ここでは、これらの原因およびその場合における対処の仕方について述べる。

1. 結論を急ぎすぎている

第2回でふれたが、テクニカルサポートでは、Tierごとに役割が決まっており、それぞれのTierにおいて問い合わせ内容の確認の方法が異なっている。最初に対応を行うTier1においては、既知の情報と一致するかどうかの検索をどのようにすれば速やかに行なうことができるかという観点で確認あるいは質問を行なう。しかしながら、ユーザーはユーザーなりにある程度絞り込んだ上で問い合わせを行うため、「なんでこんな事を聞かれるのだろうか?」と感じたり、「言っていることを正しく理解してもらえていないのではないだろうか?」というような疑問を持ってしまうことになる。このように、テクニカルサポートはどうしても定められた手順どおりに対応を行おうとするのに対して、ユーザーはユーザーから見て最短距離で結果にたどり着きたいと考えて問い合わせを行う。そのため、なかなか理解してもらえないと感じてしまうことになる。

この場合の対処方法であるが、テクニカルサポートが問い合わせ内容の絞込みが行いやすいように進めていくのが良い。すぐに結論を導き出そうとせずに、以下の3ステップで対応していきたい。

(1)まず、どのような問題が発生しているか、あるいは、どのような点で困っているかという点を伝える。ここであまり細かい点や結論を誘導するようなことは言わない

(2)テクニカルサポートから、切り分けおよび絞込みの質問が来るので、質問に答える。また、ここで持っている情報をできるだけ詳細に伝える

(3)ここで解決できなかった場合には、今後の調査、解析をどのように進めるかを確認する

急がば回れではないが、まずは上記ステップを踏んで進めていただきたい。

2. 複数の問い合わせ内容を一度にまとめて聞こうとする

1度の問い合わせで複数の内容を含んでしまう場合が往々にしてある。ユーザーが意図的に複数の問い合わせを行なう場合と会話の流れの中であれもこれもと聞いてしまう場合とがある。特に、後者の場合には、問い合わせの焦点がぼけてしまうため、テクニカルサポートの方もかなり混乱する。通常、テクニカルサポートでは、ユーザーからの問い合わせが複数の内容になっている場合、問い合わせ内容を区分けしそれぞれ別の問い合わせとして処理を行なうというガイドがある。いわゆる、一問い合わせ一案件という原則である。しかしながら、テクニカルサポートにとっては、問い合わせの最中に案件分けを行うことはなかなか難しい。メールでの問い合わせの場合には、分割してそれぞれ別の管理番号を振った上で対応を行なうことができるが、電話の場合にはなかなかそれができない。このような場合、問い合わせ内容を確認するのに手間取ってしまうということになり、結果としてユーザーからするとなかなか理解してもらえないという問題が発生する。

したがって、複数の問い合わせを一度に行なうのはできるだけ避け、1問い合わせにつき1つの内容とするのが望ましい。どうしても、一度の問い合わせで複数の内容を確認したい場合には、予め何と何を問い合わせますと言う形で宣言するのが良い。そうすれば、テクニカルサポートでも複数の管理番号を割りふるなどして別々に対応するということが可能になる。なお、従量制のサポート方式を取っている場合には、この辺りはかなり厳密にやられるので、注意が必要である。

3. メールでのやりとりを何回も繰り返す

メールでの問い合わせは、ログ情報などを添付できるように便利な面も多い。しかしながら、メールで問い合わせを始めると、どうしてもメールだけのやり取りに終始してしまうことがある。もちろん、メールでのやり取りが円滑に行なわれている場合には問題はない。しかしながら、文字だけで意図を伝える事は難しい部分があり、なかなか理解してもらえないと言うことが起こることがある。

この場合の対処方法としては、電話の活用を考えたい。メールでのやり取りで上手くいっていないと感じたときは、一度電話で話してみるというのが良い。直接会話することで、お互いにすれ違っていた内容を確認することができるので、その後のメールでのやり取りもスムーズに行くようになる。また、メールではとかく過激な表現になりがちな人が多い。そのような人でも、電話での会話では非常に優しくなる場合があるので、これをうまく利用したい。また、これはユーザーに対してだけでなくテクニカルサポートに対しても言えることで、メールでのやり取りがうまく行かない場合には、一度ユーザーに電話して会話するのが良い。

なお、サポートレベルによっては、メールのみの対応という場合があり、電話で会話することができない場合がある。これは、契約上の内容であるためやむをえない。一度、電話での連絡方法をユーザーに出してしまうと、その後、事あるごとに利用されてしまう可能性があり、本来のサポートレベルの違いがなくなってしまうことになる。したがって、通常は電話等の連絡先を教えることはしないのであるが、別の方法で電話での会話ができるようにして頂ければ上記のような問題の解決に役立つと思われる。これに関しては、テクニカルサポート側での検討をお願いしたい。

4. テクニカルサポートのレベルが低い

当たり外れは確かにある。問い合わせの内容に対して十分なテクニカル・スキルを持っていない人にあたってしまった場合には、正しく理解してもらうことはなかなか難しい。また、正しく理解していないため、テクニカルサポート内でのエスカレーションもうまく機能せず、同じ人に同じ対応を繰り返されてしまうということになる。

この場合の対処方法としては、他の人あるいはマネージャに代わってもらうための方法を考えるしかない。この場合、面倒ではあるが今までの経緯を説明し、時間が掛かっているということを明確にした上で、別のアプローチによる早期解決を図るために別の人に代わってほしいと切り出すのが良い。状況をしっかり説明せずにむやみに他の人に代わってほしいとか、とにかく上司を出せというようなやり方は却って逆効果になるので注意したい。なぜならば、テクニカルサポート側から見ると、クレーマーとは言わないまでもかなりわがままなユーザーであると見られ、現在の担当者になんとかユーザーをなだめるようにという指示がでてしまう場合があるからである。そうなると、ますます「なかなか理解されない人」とのやり取りを繰り返さなければいけないことになる。

* * *

上記の4点の他に、実は、テクニカルサポートにおける対応の仕方自体が、ユーザーが期待しているアプローチと根本的に違っているという問題がある。これは、テクニカルサポートでは、問い合わせ内容を元にして準次絞りこんでいくという手法を取るのに対して、ユーザーは、聞きたい内容をあまり前提なしにストレートに述べ、それに対する回答を直接求めようとするという違いである。これにより、なかなか理解してもらえないという問題を引き起こしている。テクニカルサポートで、順次絞り込んでいくという方法を取るのは、以下の2つの理由からである。

1. 手順に沿った対応や切り分けを行いたい

第1話で述べたように、テクニカルサポートではTierごとの役割やエスカレーションのための手順が定められており、それから外れた対応を取ると逆に余計に時間が掛かってしまうことになる。ユーザーから見ると、明らかであると思われる内容や説明しなくてもわかるはずというような内容であっても、テクニカルサポートにとっては必須の内容である場合がある。ユーザーからみると面倒な話ではあるが、これを怠るとなかなか理解してくれないという状況を引き起こしてしまう。

2. 処理の効率化、個人のパフォーマンス評価の基準に則った対応を行いたい

処理の効率化や個人のパフォーマンス評価などは、テクニカルサポート側の勝手な事情で、ユーザーにはまったく関係のないことと思われるかもしれない。確かにその通りであるが、テクニカルサポートもビジネスとして行っている以上、ユーザーもある程度は理解しておく必要がある。あるいは、理解することでスムーズなコミュニケーションが行えるようになるのであれば、そのようにする方が得策といえる。

以上のような根本的な問題点があるため、多少面倒ではあっても、できるだけテクニカルサポートの手法に則った形で問い合わせを行う必要がある。その上で、以下の3点を常に意識し、確認しながら進めるのが良い。

  1. 今までの解析および調査の結果、どこまで分かっていてどこが分からないのか
  2. 現在、どのような解析、調査を行っているのか
  3. 次のステップおよび今後の方針はどのようにするのか

以上、なかなか理解されないという問題点を引き起こす状況とその対処法に関して述べてきた。これらを実践することは簡単ではなく、また、経験が必要である。テクニカルサポートへの問い合わせというのは常時あるわけではないので、なおさら難しい状況ではあるが、上記の内容を頭の片隅に置いて問い合わせを進めていくことにより、改善していくものと思われる。また、テクニカルサポートでは定期的にサーベイや顧客満足度調査を行っている。ユーザーにとっては、一旦終了した問い合わせに関してサーベイ等に協力するのはわずらわしいことではあるが、できるだけ協力し、率直な意見を述べることでテクニカルサポート自体の改善をうながすようにしていきたい。

諸角 昌宏
外資系コンピュータ・メーカーで、ソフトウェアの開発に従事。特に、国際化ライブラリやUNIX、データベースの開発を担当。その後、外資系セキュリティ・ベンダーで、テクニカルサポートのマネージメントを行い、現在は、セキュリティ・ソリューションの日本における立ち上げおよびビジネス・ディベロップメントに携わっている。

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