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法施行で変革を迫られる米企業のメール管理
メール管理ルールがない企業が大半
メールは、今やビジネスに必須のツールのはずだ。だが先述の調査によると、メール情報の共有や検索といった、メール管理の明確なポリシーを持ち合わせていない企業は50%以上もある。メールの保存期間や、どんな内容のメールを保存するかといったルールを明確に定めていないと回答した企業は、実に84%に上る。
大企業では毎日、数百万通におよぶメールが飛び交っている。そのほとんどは長期間保存する必要性のないものだ。だが、企業によっては支払い書や契約書にあたるメールが日々発生しており、法律上非常に重要なものを含んでいることも少なくない。
米国では電子情報の開示が義務化
前述の調査に回答した企業の約3分の1は、メールを法的な文書として管理するための指針を持っていない。メールの保存にバックアップ用のテープを利用しており、テープを何週間もかけて調べなければ法律上必要なメールを探し出せない、という企業も約40%ある。
そうしたなか、電子情報の開示に関する法律「eディスカバリー」が法務部やリスクマネジメントの専門家の懸案事項に上りつつある。これは2006年12月に改定された米連邦民事訴訟規則で規定しているもので、電子的に蓄積している情報の中から必要なものを裁判の証拠認定の期間中に提出することを求めている。
メール検索の困難さが悩みの種
期限内の証拠提出には、迅速なメール検索技術が不可欠だ。だが保存量が膨大であるほか、メールが非構造化データであるという特徴も手伝い、検索は一筋縄ではいかない。企業は必要なときに必要なメールを探し出すため、信頼性が高く、かつ効率の良い方法を模索し続けている。
シンシナティに本拠を持つコンサルティングファーム、ノルマンディー・グループのチャック・バーク氏は、メールを効率的に探す方法について、企業は一貫した考え方を持っていないと主張する。「企業は、保存しているメールの中に、どれほど多くの法律上重要な情報が含まれているかを認識できていないのだろう」と語る。
オープンになりにくい“失敗事例”
バーク氏は、全社的なリスクマネジメントの枠組みの中で、メール情報管理を考える必要性を顧客に理解してもらうよう努力している。実際、彼はAIIMの調査結果を裏付けるような実態をいくつも見てきたという。大多数の企業がメール管理方針を持っていないことに加え、方針を持っていると公言する企業でも、大半はきちんと実行できていないというのだ。
バーク氏は、多くの企業がメール管理の重要性を理解していないのは、企業がeディスカバリーに関する失敗について学ぶ機会が少ないからだと考えている。メール情報開示に関する問題は、たとえば機密保持違反の問題とは異なり、マスコミに取り上げられることが少ない。失敗例があったとしても、公判の進行状況はオープンではないため、その事実をメディアは必ずしも報道できていないのだ。結果として、メール情報の管理を怠ったがために、情報開示に大変なコストがかかってしまったという事例があったとしても、企業が目にする機会は少なくなってしまう。
バーク氏は「企業は、他社の実際の経験と照らし合わせる機会がないため、自社がどれほど危険な状態にあるかを理解していない。話題にも上らないので、大きなリスクに直面していることすら認識できていないのだ」と主張する。
ここにきて、少しずつではあるがニュースに取り上げられる例も出てきている。最近では、無線通信技術大手の米クアルコムと通信機器用半導体メーカーの米ブロードコムとの裁判が有名だ。クアルコムは訴訟案件に関連するメール情報を期間内に見つけ出し、提出することができなかったのである。裁判所はクアルコムに対し、州法による制裁措置の適用と、ブロードコムが出費した裁判費用850万ドルの支払いを課した。
法対応だけでなく情報活用の効率化にも目を
企業が直面する問題は、メール情報を蓄積しているかどうかではなく、裁判所が定めた期間内で必要な情報を探せるかだ。調査回答企業の4分の1は、公判で必要となる情報を提出するのに1カ月以上はかかると回答している。社員が契約上の義務や責任について記述したメールを整理、抽出できる自信がないという企業は、半分以上に達する。
メール情報を適切に管理できていないことは、不必要な法律上のリスクを抱えることだけではない。「メール利用者を泥沼の中に落とし込むことになる」と、AIIMの市場調査責任者で、この調査の実施者であるダグ・マイルズ氏は指摘する。
「eディスカバリーへの対応だけが課題ではない。メールをビジネスツールとして使用する人にとって、過去のメールを探し出して利用しやすくすることは重要な課題の1つだ。メール量は日々増大しているという事実にも注目する必要がある」(マイルズ氏)。
本記事は米国の有力ITメディア「CIO INSIGHT」
(提供はZiff Davis Enterprise)の記事を翻訳したものです。
ⓒ2009 Ziff Davis Enterprise, Inc.
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