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電話・メールでの的確な問い合わせ方法(第5回)

テクニカルサポートの基本的な問い合わせ方法は、電話あるいはメールである。メールでは、なかなか意図が伝わらない場合も多いし、電話では伝えられる情報量が少ないという問題がある。今回は、どのような時に電話を使用し、どのような時にメールを使用すべきかについて述べていく。なお、ウェブサイトを使用した問い合わせや、チャットによる問い合わせができるサービスを提供している場合があるが、ここでは電話およびメールにフォーカスして述べる。

まず始めに、電話およびメールがテクニカルサポートでどのように処理されていくのかについて述べていく。

1.電話への処理方法

テクニカルサポートでは、巨大なヘルプデスクのような自動化されたシステムとまではいかないまでも、電話が掛かってきてからエンジニアが対応を行うまでの一連のコールを管理するシステムを使用している。PBXは、一般的に導入されているが、そのほかにコール対応向けの多機能電話やコールセンター用のシステム等が導入されている。また、IVR(Interactive Voice Response)やACD(Automatic Call Distribution)を用いることで、あらかじめユーザーからの問い合わせ内容を分類し、適切なエンジニアに問い合わせを割り振ることができる。

IPテレフォニーの利用によるコスト削減やさまざまなルーティング機能を用いた処理を行っているところもある。特に、24時間365日のコールセンター運営を行うためには、分散したコールセンターでの運用や海外のコールセンターとの協調した運営を行う必要がある。そのためには、IPテレフォニーが使用され、また、ワークフロー制御も可能なシステムが導入されている。さらに、CTI(Computer Telephony Integration)技術を利用することにより、問い合わせ処理と問い合わせ管理データベースとの統合を行い、幅広い管理・サービスの提供ができるようになっている場合もある。

実際にコールを受けるエンジニアにとって特に有効なのは、コールフローの制御である。コールを割り振る優先順位を設定することにより、エンジニアのスキルや役割に応じた効率的なコールの割り当てができるようになっている。コールを受けていない時間のコントロールもできるため、コールの後処理中や休養中には電話がかからず、他の対応可能なエンジニアに割り振られるような設定も可能になっている。

2.メールへの処理方法

テクニカルサポートにおいて、メール対応用の自動化されたシステムを使用しているところは少ないと思われる。もちろん、CRMを使用して、問い合わせや顧客管理をしながら、メールの送信・受信をCRMのツールから自動的に実行するようにしている場合もある。一方、問い合わせ専用のメールボックスを用意し、そのメールボックスを使用したメールを送受信しているという場合が多い。

さて、ユーザーからメールが来てからそのメールがテクニカルサポートのエンジニアに割り当てられるには、基本的には人手による割り当て作業(ディスパッチ)が行われる。ディスパッチされたメールに対して、エンジニアの方で確認しユーザーへ返信するわけだが、この部分はCRMを使用するかどうかで分かれてくる。

CRMを使用している場合には、ユーザーからのメールは簡単に問い合わせ管理用のデータベースに保存され、エンジニアがユーザーに回答する場合にもCRMのツールから自動的に配信することができる。CRMを使用せずにメールボックスを使用する場合には、ユーザーからのメールをメールボックスから取り出して問い合わせ管理用のデータベースに手動で移す。ユーザーに返信する場合にも、返信メールを作成し、メールボックスのアドレスを用いてユーザーに送信することになる。したがって、間違ったアドレスに送ってしまうことがないように細心の注意を払っている。

以上のような形でテクニカルサポートでは電話およびメールによる問い合わせに対応している。

ここで、テクニカルサポートの観点から見て、電話およびメールでの問い合わせのどちらが便利で効率的であるかに関して簡単にふれておく。

テクニカルサポートにとって電話での問い合わせは、マネージャ等の管理する側の人間からすると非常に便利である。それは、コールシステムからの統計情報がとりやすいため、エンジニアのパフォーマンスの評価やリソース計画を立てやすいからである。また、問い合わせ時のユーザーとのやり取りを録音することができるため、エンジニアの対応状況の確認やソフトスキルの教育も行いやすい。反面、エンジニアにとっては、どうしても行っていた作業を中断し電話対応をしなければならないため、問い合わせ処理という観点からはあまり効率的ではない。

メールでの問い合わせは、管理する側からするとあまり便利ではない。確かに、メールでの問い合わせ数やユーザーとのやり取りの頻度や回答時間等の統計情報を取ることは可能であるが、回答の作成にどのくらいの時間がかかっているかなどのエンジニアのパフォーマンスの評価やリソース計画には使用しにくい。しかしながら、効率面から見ると、エンジニアは自分のペースで作業が進められるため効率的であると言える。

それでは、次に電話およびメールで対応を行う場合の利点および問題点についてそれぞれ述べていく。

1.電話での問い合わせの利点

電話で問い合わせを行なう場合の利点は、以下の2点である。

  • すぐに対応を開始できる

    電話の利点のまず1点目は、テクニカルサポートにすぐに対応してもらえる点である。これは、特に緊急の対応が必要となる場合に有効である。もちろん、電話がつながらないであるとか、順番待ちのキューに入ってしまうというようなことが起こる可能性はあるが、メールなどと比較して圧倒的に迅速に対応してもらうことができる。

    なお、テクニカルサポートによっては、第4回で述べたシビラティ1あるいはシビラティ2の問い合わせの場合には、必ず電話で連絡してもらうように規定している場合もある。裏返すと、メールでの問い合わせの場合、たとえシビラティ1あるいはシビラティ2の問い合わせだったとしても、緊急対応をしてもらえない可能性があるので注意すべきだ。

  • 直接会話することができる

    電話の利点の2点目は、テクニカルサポートのエンジニアと直接会話できることである。第2話で述べたが、メールのように文字だけで意図を伝えることはなかなか難しい。また、メールではとかく過激な表現になってしまう場合もある。もちろん、電話でも過激なことを言ってしまう場合もあるが、やはり直接会話することでスムーズなやり取りになることが多い。

2.メールによる問い合わせの利点

メールによる問い合わせの利点は以下の2点である。

  • 問い合わせに必要となる情報を的確に送付することができる

    メールでは、ログ等を添付して送ることができる。また、テクニカルサポートが必要とする情報をあらかじめテンプレート化しておき、それを埋めていく形で作成し送付することができる。したがって、テクニカルサポートの対応もスムーズに進む場合が多い。反面、問い合わせ内容を文字に落とすことはなかなか難しく、問い合わせ内容自体を的確に伝えるという点では注意が必要である。

  • 時間に拘束されない問い合わせができる

    緊急でない問い合わせの場合には、メールは非常に便利である。たとえば、空き時間や夜間等に問い合わせメールを作成してテクニカルサポートに送付しておくと、あとでテクニカルサポートからの回答を受け取ることができる。

以上、電話およびメールで問い合わせを行なう場合のそれぞれの利点に関して述べた。ここで、もう1つ電話およびメールの利用において、日本に特有なことについて述べてみたい。それは、日本人はメールで問い合わせを行なうことが電話よりも圧倒的に多いということである。客観的なデータではないが、筆者が経験したところでは、全問い合わせに対するメールでの問い合わせの割合が、日本では80%以上、そのほかの国では40%程度であった。この理由がどこにあるのかは良くわからないが、面白いデータではある。

確かに、外人と話をしなければならない時に、英会話に難のある筆者としてはメールあるいはチャットで行ないたいのであるが、「電話してこい。その方が話が早い」と言われることが多々ある。しぶしぶ電話して四苦八苦するわけであるが、どうも他の国の人にとっては、いちいちメールで文章を書くよりは直接電話で話す方が効率的という考え方があるようである。外資系の企業を相手にする場合には考慮しておくと良いだろう。日本人がメールを利用することが圧倒的に多いという点に関しては、今後分析を進め、日本人にとって効率的な問い合わせ方法はどういうものであるかということに結び付けていきたいと考えている。

最後に電話およびメールでの問い合わせを効果的に行う方法について述べる。

すでに述べてきたように、電話およびメールそれぞれの利点を生かした問い合わせを取るのが良い。緊急の対応が必要な場合には、たとえメールでログや内容を送るとしても、電話で一報を入れるのが良い。緊急度が低い場合には、メールを利用して効率的に問い合わせするのが良い。また、やり取りがうまくいかない場合には、電話で直接会話することをお勧めする。

諸角 昌宏
外資系コンピュータ・メーカーで、ソフトウェアの開発に従事。特に、国際化ライブラリやUNIX、データベースの開発を担当。その後、外資系セキュリティ・ベンダーで、テクニカルサポートのマネージメントを行い、現在は、セキュリティ・ソリューションの日本における立ち上げおよびビジネス・ディベロップメントに携わっている。

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