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なぜ解決しない、情報子会社問題(vol.11)

情報システム専門の子会社(情報子会社)を持つユーザー企業は、少なくない。1980年代からいろいろな目的を持って設立されたが、事業会社として成功した一部の例を除けば、総じてうまくいっているとは言えない。多くの問題を抱えたまま、将来展望を描けない情報子会社が実に多いのだ。

1990年代の後半から2000年代初期にかけては、情報子会社に対するITベンダーの資本参加やM&Aが、「戦略的アウトソーシング」という美辞麗句のもとにブームのようになった。初期契約期間を経た今、その問題も現れてきている。売却元であるユーザー企業のキャッシュフロー改善など特殊事情を除けば、長期安定収入を獲得できるモデルが、ユーザーとITベンダーのどちらに有利に働くかは、明らかだったはずだ。これも情報子会社の問題に帰着する。

深刻化する情報子会社問題

情報子会社の設立目的は、おおむね(1)肥大化する管理コストの分離や圧縮、(2)ノウハウの集約化によるコスト削減とグループ企業への展開、(3)ノウハウの外販事業展開によるプロフィット化、(4)情報系人材やグループ内人材の受け皿、に集約されると思われる。

しかしこれらの目的は、どれもうまく達成されていない。目的とした親会社の情報コストが下がらない。外販ビジネスが進まず、利益も取れない。技術革新にキャッチアップできず、外注管理に甘んじている……。筆者はこんな状況を、あちこちから聞かされる。

システム部門のベテランが情報子会社に出向・転籍するケースも多いが、それでガバナンスや透明性が保てるのかも疑問だ。放置すれば、内部スキルの低迷や社員のモチベーション・モラルの低下につながり、企業のリスク問題になってしまう。親会社の経営形態がカンパニー制や事業部制に移行した場合などは問題がさらに複雑化している。

外販と情報機能の混在はNG

海外の企業や外資系には見られない、日本独自のユーザー系情報子会社を生かすにはどうすればよいか?それを考えるには位置づけを明確にしなければならない。まず機能子会社なのか、事業子会社なのかという性格である。

100%資本を受けていて、親会社やグループ向けのプロフィットセンターだという言い方は詭弁である。そうではなく、外販の規模がある程度あって継続したいなら、外販事業部分を再分社化して100%事業子会社と100%機能子会社に分離し、他社では容易にできない交流によって人材育成サイクルを作ればよい。外販率が20〜30%程度で、しかも利益率の良くない下請け的な事業が多いのなら、思い切って外販から撤退。内製型の機能子会社として、親会社ならびにグループ会社のコスト貢献に徹すればいい。

こういう判断を子会社に委ねるのは親会社の経営怠慢と言わざるを得ない。システム部門のあり方はもとより、情報子会社のあり方をデザインするのはCIOの役割である。加えて言えば親会社に情報の企画機能だけを残す形の情報子会社は、愚策だと考える。システム運用を見ずしてどうして情報の企画が出来るのだろうか?美しい机上プランだけでは、何も改善されはしない。

子会社の社員を本社に逆出向

筆者自身は、親会社の経営層と議論した上で、2005年から2008年までの3年間、親会社のシステム部門の責任者と情報子会社の社長を兼務した。機能子会社としての性格を明確にするため、外販事業からは段階的に撤退した。その上で子会社の社員には親会社に逆出向してもらい、一体運営によってミッションや情報を共有してもらった。そしてWBS(Work Breakdown Structure:業務分担構成)を可視化して、役割分担や職務分掌を明確にしたうえで、2007年10月に自立性を高めることを条件に、再び出向社員を戻した。

理想は海外企業のように情報システムの企画、開発、運営を、内製と外部サービスの組み合わせでやる形である。しかし日本において雇用は重い。それを前提に情報子会社の将来展望を描かなければならない。解の一つはグループ企業を対象にした、BPO(Business Process Outsourcing:ノンコア業務の委託)ではないかと思っている。業務に工夫のしどころがたくさんあるし、何よりノンコア業務のほとんどは情報システムで動いているからである。

木内 里美
大成ロテック監査役。1969年に大成建設に入社。土木設計部門で港湾などの設計に携わった後、2001年に情報企画部長に就任。以来、大成建設の情報化を率いてきた。講演や行政機関の委員を多数こなすなど、CIOとして情報発信・啓蒙活動に取り組む

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