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加速するパラダイムシフト—Part2
電車や街中で携帯電話を片手にメールを送受信したり、Webサイトを閲覧したりする光景は、今では珍しくなくなった。待ち合わせ時刻までのわずかな空き時間に携帯電話のワンセグ放送を視聴する人も少なくない。
振り返れば、携帯電話のインターネットサービス「iモード」がスタートしたのは1999年のこと。それからわずか10年で携帯電話は一気に高機能化が進み、メール、Web、テレビを楽しめるモバイル端末として定着した。
このように真新しさといい、実装までのスピード感といい、消費者向けのIT環境が企業向けのそれよりはるかに先行くケースが目立って増えてきた。野村総合研究所の古明地正俊 技術調査部 グループマネージャーは「最近は端末やインフラだけでなく、特にソフト/サービスにおいて“産消逆転”の現象が多く見られるようになってきた」と話す(Part3を参照)。
企業動向
SNSをビジネスの武器に
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、ソフト/サービス分野で今まさに起きている産消逆転の典型例である。周知の通りSNSは元々、携帯電話やパソコンでネットに慣れ親しんだコンシューマが、ネット上で人脈を醸成・管理する用途で広がった。このため、あくまで「流行に敏感なコンシューマが飛びつくものでビジネス用途には向かない」と見る向きが大多数だった。
ところが、ここにきて風向きが大きく変わってきた。1人ひとりの人脈を経由して次々と情報が伝達されるSNSの特徴に目を付けた企業が、新たなマーケティングツールとして活用し始めたのである。
具体的には、コンシューマ向けのSNSに企業アカウントを登録し、SNS内でキャンペーン告知や割引クーポンを配布することで集客力や売上高の向上を図っている(図2-1)。この種のSNS活用例は、特に米国の小売業で後を絶たない。全国規模でチェーン展開している大手小売業の実に約60%が、主にマーケティング用途でSNSを使っているという(Part4を参照)。
国内では、部門横断型のプロジェクトを手掛ける企業や、社内人脈を充実させる仕組みを模索し続けてきた企業の間で、SNSを社内利用する動きが広がっている。例えば人材サービス大手インテリジェンスは2009年3月に社内SNSを導入。顧客企業に常駐することが多いため社内人脈を充実させるのが難しいエンジニアが、互いに技術情報やノウハウを交換する場として活用している(7月号「ザ・プロジェクト」を参照)。
新興サービス
目を引くサービスが続々
1歩も2歩も先を行く個人向けネットサービスを、ビジネス活動の中にどうやって取り入れるか。そんな検討を企業が始めるそばから、インターネットの世界ではIT戦略に影響を与えそうな新サービスが続々と登場している。2009年に入ってからマーケティングツールとしてにわかに脚光を浴びるようになったマイクロブログ「Twitter」は、その1つに過ぎない。ほかにも「コンシューマ向け」といって軽視できないネットサービスは枚挙に暇がない。
一方で、真新しさばかりに目を奪われるわけにはいかない。ネットに慣れ親しんだ人にとっては当たり前で、とりたてて話題になることが少なくなったコンテンツ配信技術のRSSやAtomは、情報活用基盤という新しい形で企業情報システムに価値をもたらしつつある(Part5を参照)。
そのほか、Webサイトのブックマークを複数人で共有できるソーシャルブックマークや、複数のWebサイトが配信するフィードを収集するフィードアグリゲータは、情報共有を促す仕組みとして注目に値する(Part6を参照)。
基盤技術
新局面を迎える通信環境
もちろん、ネットサービスを支える通信基盤技術そのものも進化を続けている。3、4年前からIPアドレスの「枯渇問題」が声高に指摘され続けてきたが、通信事業者やITベンダーはこれにピリオドを打つべく取り組んできた。具体的には、現行の通信プロトコルIPv4に代わるIPv6でデータ通信できる製品の開発に注力。この1、2年で多くのハードウェアとソフトウェアがIPv6対応を終えた(Part7を参照)。
ネットワーク環境も今、新たな局面を迎えている。2009年7月、新方式の「WiMAX」による新しいブロードバンドサービスが始まった(図2-2)。NTTグループが研究してきた次世代ネットワーク「NGN」も、2008年3月に商用サービスがスタート。さらに、IPを前提としない新発想のネットワークを研究する国家プロジェクト「AKARI」も進行中である(Part8を参照)。
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