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イノベーションにまつわる6つの誤解を解く

Six Myths of Innovation By Samuel Greengard

「イノベーション」という言葉の意味を問えば、CIOの数だけ別の回答があるだろう。あなたがイノベーションに関して持っている知識が、すべて正しいとは限らない。CIO INSIGHTでは、専門家やCIOへのインタビューを基に、イノベーションにまつわる誤解をまとめた。(1)イノベーションの原動力はテクノロジーである、(2)イノベーションを追求すれば必ず現実のものとなる、(3)イノベーションの閃きは部外者の知見によってもたらされる、(4)ビジネスプロセスを社員にオープンにすると問題が起きる、(5)ITをビジネスに生かす方法はベンダーの方がよく知っている、(6)緊縮予算はイノベーションへの取り組みを阻害する、という6つの間違った理解だ。

誤解その(1)
イノベーションの原動力はテクノロジーである

多くの人がこの手の話を聞いたことがあるだろう。簡単に忘れてしまいがちだが、テクノロジーはイノベーションを実現する手段に過ぎない。ソーシャルネットワークやクラウドコンピューティング、仮想化といったトレンド技術は、イノベーションの本質ではない。

実際、闇雲にテクノロジーに手を出してしまうと、イノベーションの効果が拡散したり、希薄化してしまうだけでなく、余計な管理対象が1つ増えてしまうだけ、という結果に陥る可能性もある。保険業であるICWグループのケビン・ハリスCIOは、「多くのCIOは、採用すべきテクノロジーは決めていても、それで何を実現すべきかまで明確化できていない」と指摘する。

誤解その(2)
イノベーションを追求すれば必ず現実のものとなる

不幸なことに、正しいと思ったことをいくらやっても結果が伴わないことがある。企業はイノベーションチームを組織したり、従業員に興味あるアイデアを考えさせることはできる。だが本当に必要なことは、従業員が果敢にリスクをとったり、不確かなアイデアであっても追及してみたり、失敗を恐れなくてよい環境を用意することだ。アイデアを罵倒したり愚弄するような会議は、イノベーションの努力を無にする。「自由にものが言えない環境では、イノベーションは期待できない」とハリス氏は語る。

一方で、実現が難しいアイデアは早めの撤退が肝心だと同氏は指摘する。「何がうまくいき、何がうまくいかないかを常に分析し続けることが重要だ」。

誤解その(3)
イノベーションの閃きは部外者の知見によってもたらされる

ビジネスの課題を今までとは違った新しい視点から見ることは確かに意味がある。社外のコンサルタントやアナリスト、社内の他部門の従業員が示すこれまでとは異なった見方が、最終的にイノベーションに拍車をかけることがあるからだ。

だが、こうした「アウトサイドイン」の見方だけでは十分ではないと、ハーバード・ビジネス・スクールのアンドリュー・マカフィー准教授は指摘する。特に中長期視点に立てば「自社のビジネスモデルを理解し、どのマーケットに対してどのように新しい価値を提供したら良いかを知る当事者ならではの『インサイドアウト』の視点も不可欠」。アウトサイドインのアプローチでイノベーションに取り組んでいる企業があまりに多すぎ、インサイドアウトの視点が不十分だというのが、マカフィー氏の見方だ。結果として、多くの企業が解決策を求めるばかりで、不必要に多くのテクノロジーに手を広げてしまっている。

誤解その(4)
ビジネスプロセスを社員にオープンにすると問題が起きる

マカフィー氏は、「情報に対するアクセス権を従業員に与えてイノベーションのプロセスを公開すると、知的財産が外部に漏れてしまうと信じている企業幹部は多い」と指摘する。確かに、データの盗難や知的財産流出のリスクは増す。

だが現実には、潜在的に獲得できるメリットの方が、リスクによる損失を上回る。アイデアや提案を出すことに喜びを感じている従業員がほとんどだからだ。エンドポイントセキュリティの強化といった統制をしっかりとすることにより、「問題はそれほど頻繁には発生しない」とマカフィー氏は言う。

誤解その(5)
ITをビジネスに生かす方法はベンダーの方がよく知っている

ビジネスを抜本から変えたり、生産性を飛躍的に高めたりする最新鋭の製品を持つベンダーは多い。これらのツールやシステムの多くは、適切な環境下では素晴らしい結果をもたらす。だが、イノベーションに関するコンサルティング会社イノサイトのスコット・アンソニー社長は、「ベンダーは、ビジネス実務や特定の要求事項についてその会社の従業員以上には理解できない」と語る。「自社組織の中でITをどのように適用すべきかを熟考することが重要。イノベーションを達成するのは技術やシステムではなく、人間だからだ」。

誤解その(6)
緊縮予算はイノベーションへの取り組みを阻害する

厳しい経済環境では、新システムやソリューションへの投資は困難になる。だがそれがイノベーションの実行を阻むわけではない。むしろその逆だ。「緊縮予算の下でもイノベーションは可能」とアンソニー氏は指摘する。不況下では組織そのものがよりターゲットを絞り、保有するあらゆる資産を最大限に活用しようと努力する。結果として業務効率の改善につながることが多い。「潤沢さからはイノベーションは生まれない。制限があってこそ、これまで前提としていたことに疑問を持ったり、まったく異なったアプローチをしようという考えに行き着く」と氏は考えている。

本記事は米国の有力ITメディア「CIO INSIGHT」(提供はZiff Davis Enterprise)の記事を翻訳したものです。
ⓒ2009 Ziff Davis Enterprise, Inc.

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