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BPMの今後の方向性・可能性(第6章)
経営管理や情報技術が持ち込まれるようになって、私たちはいろいろな経験をしてきました。これらから学んだことは、考えること・決めること・実行すること・検証すること・継続することの5つに尽きます。つまりPDCAをまわすことです。
システムの歴史でいえば、レガシー・クライアントサーバー・オープン・ネットという環境の変化に呼応するように、手作りする<MAKE>文化からERPなどのパッケージを購入する<BUY>段階を経て、今やオンデマンドでやりたいことをネットの中から探して利用する<USE>という形まで発達してきました。
めまぐるしいほどの流行語や、3文字アルファベットの氾濫に惑わされない。自分の会社の原点に立ち返って、本業の仕事の流れを効率よく体系化し、共有する。トップから現場に至るまで、各自の眼線で日々たゆまぬ継続的な改革を実行できるカルチャーを身に着ける—。これらこそ、私たちにもっとも求められているものなのです。
システムのアーキテクチャーの変貌に対応して、皆さんの会社の「ビジネスのアーキテクチャー」も今一度、設計構築しなおすことをお勧めいたします。言葉を変えれば、ビジネスアーキテクチャーを体系的に見渡し、デザインしなおすしくみがBPMであるとも言えます。
「仕入れる・購買する」「作る・生産する」「品質や在庫を管理する」「営業する・販売する」「分担する・組織する」「学ぶ・研修する」といった、ビジネスの目的を達成するための基本的な一連の業務・作業は、各業種に共通であり、必要不可欠なものです。市場や技術、行政の動き、グローバルな動きに合わせて、これらの基本的な業務の中身や仕事のやり方を常に変えていくことこそが、企業サバイバルの王道なのです。「顧客の顔」を常に最重要視し、扱う商品やデリバリーチャネルをどんどん変化させることで長生きしてきたすばらしい会社が、わが国にはたくさんあります。
明日から皆さんの会社では、本業のビジネスプロセスを「可視化」して「全社で共有する」ことで、今まで見えてこなかったものがはっきり見えてくると考えます。
BPMを運用レベルまで引き上げ、定着させることによって、2つの大きな武器を手に入れることができるのです。
1つは変化対応能力です。BPMによって、市場や顧客の要望に応じた新商品やレベルの高いサービスをすばやく他社に先駆けて展開できるようになるのです。
もう1つは、なんとなく守りの色彩が強かった内部統制の領域を、リスクを最小限に抑えた新事業開発を展開するといった全社的な運用に役立つERM(Enterprise Risk management)の段階にまで引き上げることです。財務経理の分野だけでなく、営業や生産の現場までトータルで体系化することで、ただ法令を遵守するというレベルから大きく飛躍できるのです。この2つを車の両輪として、経営事業戦略というエンジンを中心に据え、多難な道に向かって果敢に突き進んで欲しいと思います。
図に示したように、BPMに取り組むことによって“社内のコミュニケーション”が一段と良くなります。仕事を進めていく仕組みを自分たちで考えて改良していくわけですから、従来のお仕着せや被害者意識とはだいぶ違うものになってきます。
会社の基幹業務を見える化して最適化・共有化するという、本来は真っ先に取り組むべきだったことを当然のごとく捉え、自然体でみんなで力を合わせて実践する。これは厳しい時代に必要なカルチャー作りそのものではないでしょうか。
経営者の立場からは、単なるシステムの構築という考え方ではなく、全社員の英知を結集し、ものづくりから売り方まで、顧客や市場を常に見据えた仕事のやり方に変えていく、願ってもないチャンスであるということを意識してほしいのです。BPMの仕組みを手に入れた企業は、スピード・コスト・スキル・サービスレベルのどれをとっても、競合他社の3歩前を行くことは実証済みです。
今後機会があれば、BPMの実践事例を一歩掘り下げ、設計・構築・運用に役立つようにさらに具体的に解説したいと考えています。
なお、BPM診断ならびに処方箋に関するコメントや質問、BPM全般のサポート要請などについては、事務局[sec@b-p-i-a.com]までご連絡ください。できる限りの対応をしたいと思います。読者の皆さんの会社で、BPMに対する意欲と挑戦に、少しでも役立つヒントを掴んでもらえれば幸いです。
本コラムは、ビジネスプロセス革新協議会(BPIA)で活動するビジネスプロセスマネジメント(BPM)研究会のメンバーが協力して執筆しました。BPIAは、次代の企業にふさわしい組織・業務革新の「あるべきモデル」「導入活用定着手法」を究明し、企業競争優位性の確立とビジネスの生産性向上を目指して1999年に設立されました。また、BPM研究会はITベンダー、ITコンサルタント会社、ユーザー企業で実際に業務革新に取り組んできた専門家が、もっとも効果的/実践的な業務革新の手法を探求しているグループです。
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